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ICT・DX化を推進する
障害福祉サービスの経営者・管理者の皆様、日々の事業運営、誠にお疲れ様です。
「サービス提供実績記録票の押印が廃止されたけど、具体的にどう対応すればいいの?」 「署名や電子確認って聞くけど、うちの事業所にはどれが合っているんだろう…」 「監査で指摘されたらどうしよう…」
このような疑問や不安を抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
サービス提供実績記録票の押印は不要になりましたが、利用者様によるサービス提供内容の確認プロセスは、今後も変わらず重要です。
この変更点を正しく理解し、事業所の状況に合わせた適切な代替方法を導入することで、コンプライアンスを守りつつ、将来的には業務効率化にもつなげることが可能です。
この記事では、サービス提供実績記録票の押印廃止への対応に悩む方に向けて、
押印廃止の背景と具体的な変更点
押印に代わる利用者確認の具体的な方法(署名、電子確認など)
押印廃止に伴う運用上の注意点とよくある質問
上記について、長年、福祉現場のICT化に携わってきた私の経験も交えながら、分かりやすく解説しています。
制度変更への対応は不安に感じるかもしれませんが、ポイントを押さえれば難しくありません。
ぜひこの記事を参考に、自信を持って新しい運用体制を整えていきましょう。
この記事でわかること
障害福祉サービスにおける「サービス提供実績記録票」の押印廃止の背景と対象サービス
押印の代わりとして認められる3つの利用者確認方法(自署・電子サイン・その他)
様式変更の要否や監査対策など、押印廃止に伴う実務的な運用と対応ポイント
この記事の目次

サービス提供実績記録票への押印が不要になった、という話は耳にされているかと思います。
しかし、「いつから?」「なぜ?」「具体的に何がどう変わったの?」と、正確な情報を把握しきれていない方もいらっしゃるかもしれません。
まずは、今回の制度変更の基本を押さえておきましょう。
今回の押印廃止の流れは、国全体で進められている行政手続きにおける「脱ハンコ」の動きの一環です。
デジタル庁の創設など、行政手続きのオンライン化・デジタル化を推進する中で、慣習的に行われてきた押印の必要性が見直されました。
障害福祉サービスの分野においても、事業者や利用者の負担軽減、そして手続きの効率化を目的として、各種書類への押印が順次廃止されています。
サービス提供実績記録票もその一つというわけですね。
これにより、例えば訪問先で印鑑をお借りしたり、保護者の方にわざわざ押印のためだけに来所いただいたり、といった手間が省けるようになります。
押印廃止の方針自体は、2021年頃から厚生労働省より示されていました。
そして、障害福祉サービスにおいては、令和3年度(2021年度)の報酬改定に関連する通知等で、サービス提供実績記録票を含む多くの書類で押印が不要であることが明確化されています。
対象となるのは、以下のとおり。
居宅介護
重度訪問介護
同行援護
行動援護
療養介護
生活介護
短期入所
重度障害者等包括支援
施設入所支援
自立訓練(機能訓練・生活訓練)
就労移行支援
就労継続支援(A型・B型)
就労定着支援、自立生活援助
共同生活援助(グループホーム)
計画相談支援
地域移行支援
地域定着支援
児童発達支援
医療型児童発達支援
放課後等デイサービス
居宅訪問型児童発達支援
保育所等訪問支援
福祉型障害児入所施設
医療型障害児入所施設 など
基本的に全ての障害福祉サービス及び障害児通所・入所支援が該当します。
ほぼ全てのサービスで押印が不要になった、と考えて良いでしょう。
ここで非常に重要な点があります。
それは、「押印は不要になったが、利用者によるサービス提供内容の確認自体は引き続き必要である」ということです。
サービス提供実績記録票は、利用者(または代理人)が確認し、それに基づいて市町村への給付費請求が行われる、というプロセスの根幹をなす書類です。確認の頻度はサービスの種類によって異なります。訪問系サービス(居宅介護、重度訪問介護など)では原則としてサービス提供の都度確認が必要ですが、入所系サービス(共同生活援助、施設入所支援、療養介護)では月に一度の確認でも差し支えありません。
つまり、押印という「形式」は不要になりましたが、サービス提供の事実を利用者が確認したという「実質」は、これまで通り、あるいはこれまで以上に重要になるのです。
万が一、利用者確認が行われていない、あるいは確認の記録がない場合、サービスの提供実績が証明できず、給付費の返還などを求められるリスクがあります。
押印廃止=確認不要、ではない点をしっかり理解しておく必要がありますね。

では、押印の代わりに、どのようにして利用者確認を行えば良いのでしょうか。
厚生労働省の通知などでは、具体的な方法がいくつか示されています。
ここでは代表的な3つの方法について、メリットや注意点を解説します。
自事業所の状況や利用者の特性に合わせて、最適な方法を選びましょう。
最も確実で分かりやすい代替方法が、利用者本人(または代理人)による自署(サイン)です。
メリット: 誰が確認したかが明確に残るため、証拠能力が高い。 特別な機器やシステムが不要で、導入しやすい。 利用者や家族にとっても、従来の方法(押印)に近く、理解を得やすい。
注意点: 利用者によっては、身体的な理由や認知的な理由で自署が困難な場合がある。 訪問サービスの場合、ヘルパーが記録票を持ち歩き、毎回サインをもらう手間が発生する(押印と同様)。 代筆の場合のルール(誰が代筆できるか、代筆理由の記録など)を明確にしておく必要がある。
自署が困難な利用者様が多い場合や、訪問サービスで記録票のやり取りが煩雑な場合には、他の方法も検討する価値があります。
ICT化の流れを受け、電子的な方法による確認も認められています。
タブレット端末上でサインを入力してもらったり、専用のシステムやアプリ上で確認ボタンを押してもらったりする方法です。
メリット: ペーパーレス化につながり、書類の印刷、保管、管理の手間やコストを削減できる。 記録の検索や集計が容易になり、データ活用にもつながる。 遠隔地にいる家族などがオンラインで確認できる場合もある。 ヒューマンエラー(転記ミスなど)を減らせる可能性がある。
注意点: 初期導入コスト(タブレット端末、システム利用料など)がかかる。 職員や利用者(または家族)への操作説明や研修が必要。 利用者のICTスキルによっては利用が難しい場合がある。 なりすまし防止や改ざん防止など、セキュリティ対策が重要。 厚生労働省の『医療情報システムの安全管理に関するガイドライン』に準拠したシステムを使用する必要があります。具体的には、改ざん防止機能(タイムスタンプ)やアクセスログ管理が必須です。
「うちの事業所でも電子化を進めたいけど、何から始めれば…」
と感じる方もいらっしゃるでしょう。
まずは、無料トライアルがあるシステムを試してみたり、同業他社の導入事例を参考にしたりするのも良い方法です。
自署や電子サイン以外にも、利用者や事業所の状況に応じて、より簡易的な確認方法が認められる場合もあります。
例えば、以下のような方法が考えられます。
確認印(スタンプ): 利用者固有の確認印(氏名やマークが入ったものなど)を作成し、それを使用する方法。ただし、印鑑とは異なるため、紛失や盗用のリスク管理が必要です。
チェックボックス等へのチェック: 記録票に確認欄(チェックボックス)を設け、利用者(または代理人)にチェックしてもらう方法。簡便ですが、誰がチェックしたかの証拠能力は自署より劣る可能性があります。
口頭確認と職員による記録: やむを得ない状況(緊急時や利用者の状態急変時など)においては、口頭でサービス内容を確認し、その旨を職員が記録する方法も考えられます。ただし、これは例外的な対応と捉え、原則としては避けるべきでしょう。記録には確認日時、確認者(職員名)、確認方法(口頭確認)、口頭確認となった理由などを詳細に残す必要があります。
どの方法を選択するにしても、「利用者の意思に基づいてサービス内容が確認された」という事実を客観的に記録・証明できることが最も重要です。
事業所内で確認方法のルールを明確にし、利用者・家族にも丁寧に説明して同意を得ておくことがトラブル防止につながります。

押印に代わる確認方法を決めたら、次は実際の運用についてです。
「記録票の様式は変えないといけない?」「監査では何を見られるの?」といった疑問にお答えします。
スムーズな移行と適切な運用のためのポイントを押さえましょう。
押印廃止に伴い、サービス提供実績記録票の様式を必ず変更しなければならない、という決まりはありません。
厚生労働省から標準様式は示されていますが、必須項目(サービス提供日、内容、時間、利用者確認欄など)が記載されていれば、事業所独自の様式や既存の様式を継続して使用することも可能です。
例えば、宝塚市の事例では、既存様式の『確認印』を『確認欄』に修正することで継続使用が可能です。自治体によっては『障害』を『障碍』表記に変更する独自修正も認められています。(参考:障害福祉サービス実績報告書の押印欄廃止について|宝塚市)
推奨される記載例: 押印欄を削除し、「利用者確認欄」または「署名欄」を設ける。 代筆の場合は、「代筆者氏名」と「代筆理由」を記載する欄を設ける。 電子確認の場合は、「電子確認済」「〇〇(システム名)にて確認」など、確認方法がわかるように記載する。
様式を見直す際は、厚生労働省のホームページなどで最新の標準様式やQ&Aを確認することをおすすめします。
確認方法を変更する場合、特に電子的な方法を導入する際には、利用者やその家族への丁寧な説明と同意が不可欠です。
「なぜ確認方法が変わるのか」「新しい方法は具体的にどうするのか」「個人情報はどう扱われるのか」といった点を、分かりやすい言葉で説明しましょう。
説明のポイント: 押印廃止の背景(国のデジタル化推進、負担軽減など) 新しい確認方法の具体的な手順 新しい方法のメリット(例:手間が省ける、記録が正確になる) 個人情報の取り扱いやセキュリティについて 不明点や不安な点がないかを確認する機会を設ける
同意を得る際は、口頭だけでなく、説明内容を記載した書面に署名をもらうなど、記録として残しておくとより確実です。
利用者様の状況によっては、複数回に分けて説明したり、図やイラストを用いたりする工夫も有効でしょう。
サービス提供実績記録票の保管方法と期間については、押印が廃止されても基本的な考え方は変わりません。
関連法規(障害者総合支援法など)に基づき、サービス提供が完了した日から原則として5年間(自治体によっては異なる場合あり)は保管する義務があります。
紙媒体で署名をもらった場合は、これまで通りファイリングして保管します。
電子サインやシステムで確認した場合は、電子データとして保管することになります。この場合、以下の点に注意が必要です。
真正性の確保: データが改ざんされていないことを証明できる仕組み(タイムスタンプ、アクセスログ管理など)。
見読性の確保: 必要に応じて、データを紙に印刷したり、ディスプレイに表示したりして、内容を確認できる状態にしておくこと。
保存性の確保: データが消失・破損しないよう、バックアップ体制を整えること。
電子データで保管する場合は、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」なども参考に、適切な管理体制を構築しましょう。

実地指導(監査)においては、サービス提供の事実と、それに対する適切な利用者確認が行われているかが重要な確認ポイントとなります。
押印廃止後は、代替となる確認方法が適切に運用され、記録されているかがチェックされるでしょう。
監査での主な確認ポイント: 利用者確認が行われた記録(署名、電子ログなど)が適切に残っているか。 代筆の場合、代理権の確認や代筆理由が記録されているか。 電子確認の場合、セキュリティ対策や本人の同意記録が整備されているか。 サービス提供時間や内容と、記録票の記載内容に整合性があるか。
Q1: 利用者が毎回サインするのが難しい場合は? A1: 代理人(家族など)によるサインが可能です。その際は代筆者名と理由を記録しましょう。電子的な簡易確認方法(チェックボックスなど)を導入する場合は、事前に利用者・家族の同意を得て、運用ルールを明確にしておくことが重要です。
Q2: 電子サインシステムは導入すべき?費用は? A2: 業務効率化やペーパーレス化を目指すなら有効な選択肢です。費用はシステムによりますが、月額数千円から利用できるものもあります。費用対効果や操作性、サポート体制などを比較検討しましょう。無料トライアルを活用するのも良い方法です。
Q3: 押印欄のある古い様式を使い続けても良い? A3: 直ちに不適切となるわけではありませんが、混乱を避けるため、押印欄を削除または修正した様式に変更することが推奨されます。「確認欄」などを設け、署名やチェックができるようにすると良いでしょう。
不明な点があれば、管轄の自治体の障害福祉担当課や、都道府県の運営指導担当部署に問い合わせて確認するのが最も確実です。

今回は、サービス提供実績記録票の押印廃止について、悩みを抱える障害福祉サービスの経営者・管理者の皆様に向けて、
押印廃止の背景と利用者確認の重要性
押印に代わる具体的な利用者確認方法(自署、電子確認など)
押印廃止後の運用ポイントと注意点
上記について、制度のポイントや実務的な対応策を中心にお話してきました。
押印が不要になっても、サービス提供の事実を利用者様が確認するプロセスは不可欠です。
しかし、その方法は自署や電子確認など、事業所の状況に合わせて柔軟に選択できます。
この変更を正しく理解し、適切な代替方法を導入・運用すれば、監査等のリスクを恐れる必要はありません。
むしろ、業務の見直しや効率化を進める良い機会と捉えることもできるでしょう。
この記事で解説した内容を参考に、ぜひ自事業所に合った確実な確認プロセスを構築してください。
そして、日々の利用者様へのより良い支援に、さらに力を注いでいきましょう。

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