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経営のヒントを得る
介護施設での看取り加算について調べている方なら、
「看取り加算という制度があるのは知っているけど、算定要件が複雑で理解できない…」 「うちの施設でも算定したいけど、必要な体制や書類が何なのかわからない…」
このような悩みをお持ちではないでしょうか。
看取り加算は、利用者の尊厳ある最期を支える介護施設へのインセンティブであると同時に、質の高い終末期ケアの提供体制を確保するための重要な制度です。
算定要件を正確に理解し、適切な体制を整えることで、利用者様の尊厳ある最期を支えながら、施設の経営基盤も強化できるのです。
この記事では、介護施設で看取りケアに携わる施設長や介護事務、看護職の方に向けて、
看取り加算の定義と社会的意義
施設種別ごとの算定要件と単位数
算定に必要な体制整備と書類の準備方法
上記について、20年以上にわたり介護施設を運営してきた経験と、ICTツール開発者としての視点を交えながら解説しています。
看取り加算の算定は、終末期ケアの質向上と施設経営の安定化を両立させる重要な取り組みです。
ぜひ参考にして、あなたの施設における看取りケアの質と収益の向上にお役立てください。
この記事でわかること
特養・グループホーム・特定施設など、施設種別ごとの看取り加算の算定要件と単位数の違い
看取り加算の算定に必須となる書類(看取りに関する指針や同意書など)と具体的な体制整備の進め方
請求時のよくあるミスと対策、およびICTツールを活用して終末期ケアの質と収益向上を両立させるポイント
この記事の目次

看取り加算とは、介護施設で終末期ケアを行った場合に算定できる介護報酬上の加算制度です。この制度は、利用者が人生の最期を住み慣れた施設で尊厳を持って過ごせるよう支援する施設に対して、経済的インセンティブを提供するものです。
高齢化社会が進む日本では、医療機関だけでなく介護施設での看取りニーズが年々高まっています。看取り加算は、そうした社会的背景を踏まえ、質の高い終末期ケアを提供する施設を評価し、経済的に支援する仕組みとして重要な役割を果たしているのです。
ここでは、看取り加算の基本的な定義と設けられた背景・社会的意義、そして算定できる介護施設の種類と適用条件について詳しく解説していきます。
看取り加算とは、利用者の尊厳ある最期を支えるための終末期ケアに対して支払われる介護報酬の加算制度です。
この制度が設けられた背景には、「人生の最終段階を病院ではなく、住み慣れた場所で過ごしたい」というニーズの高まりがあります。かつては、ほとんどの方が病院で最期を迎えていましたが、近年は「終の棲家」として介護施設を選ぶ方も増えています。
「施設で最期まで過ごしたいが、急変時の対応などが不安...」と感じる利用者やご家族も少なくないでしょう。
看取り加算制度は、そうした不安を解消するため、24時間の連絡体制や医療機関との連携など、適切な終末期ケア体制を整えた施設を評価し、経済的に支援する目的で創設されました。単なる収益向上策ではなく、利用者の希望に応える質の高いケアを促進するための制度なのです。
厚生労働省の調査によると、高齢者の約4割が「最期は自宅や施設など、住み慣れた環境で迎えたい」と回答しており、この傾向は年々強まっています。看取り加算は、そうした社会的ニーズに応えるための重要な施策と言えるでしょう。
施設にとっては、看取り加算を算定することで収益向上につながるだけでなく、「最期まで責任を持ってケアする施設」としての評価を高め、入居希望者の増加にもつながる可能性があります。
看取り加算の社会的意義は、終末期ケアの質向上と施設経営の安定化を両立させる点にあり、利用者・施設双方にメリットをもたらす制度設計となっています。
看取り加算は全ての介護施設で算定できるわけではなく、特定の施設種別に限定されています。
主に以下の3種類の施設で算定が可能です。
特別養護老人ホーム(特養): 介護老人福祉施設および地域密着型介護老人福祉施設での看取り介護加算として算定できます。介護度の重い方が多く入居する特養では、看取りケースも多いため、この加算の意義は大きいといえるでしょう。
グループホーム: 認知症対応型共同生活介護での看取り介護加算として算定できます。認知症の方が住み慣れた環境で最期を迎えられるよう支援する体制を評価する制度です。
特定施設入居者生活介護: 介護付き有料老人ホームや軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(一部)などが対象となります。地域密着型特定施設も含まれます。
「うちの施設でも看取り加算が算定できるのだろうか?」と疑問を持つ方も多いかもしれません。
これらの施設で看取り加算を算定するためには、以下の基本的な条件を満たす必要があります。
看取りに関する指針を整備し、職員に周知していること
医師、看護師、介護職員等による多職種連携のカンファレンスを定期的に開催していること
利用者または家族の同意を得ていること
看取りケアの実施記録を残していること
特に重要なのは「看取りに関する指針」の整備です。この指針には、看取りケアの基本方針、対象となる利用者、医療連携体制、職員の役割分担、家族への支援などを明記する必要があります。
施設種別によって細かい算定要件や単位数は異なりますので、詳細は介護報酬の告示や通知を確認することをお勧めします。
看取り加算が算定できる施設と条件を正確に理解することで、適切な体制整備と確実な加算算定を実現できるでしょう。

看取り加算は施設の種類によって算定要件や単位数が大きく異なります。
これは各施設の特性や提供するケアの内容、医療体制の違いを反映したものであり、施設運営者にとっては自施設に合った適切な要件を知ることが収益管理の観点からも重要です。
以下では、主要な3種類の施設における看取り加算の具体的な算定要件と単位数について詳しく解説していきます。
特別養護老人ホーム(特養)の看取り介護加算は、死亡日以前45日を上限として算定できる段階的な加算制度です。具体的には下記表の通りです。
看取り介護加算(Ⅰ) | 看取り介護加算(Ⅱ) | |
|---|---|---|
死亡日以前31日以上45日以下 | 72単位/日 | 72単位/日 |
死亡日以前4日以上30日以下 | 144単位/日 | 144単位/日 |
死亡日の前日及び前々日 | 680単位/日 | 780単位/日 |
死亡日 | 1,280単位/日 | 1,580単位/日 |
この加算を算定するためには以下の要件を満たす必要があります。 看取り介護加算(Ⅰ)の要件
「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うこと。
看取りに関する協議の場の参加者として、生活相談員を明記する。
施設サービス計画の作成にあたり、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努めること。
看取り介護加算(Ⅱ)の要件
加算(Ⅰ)の算定要件を満たしていること
入所者に対する注意事項や病状等についての情報共有、曜日や時間帯ごとの医師との連絡方法、診察を依頼する場合の具体的状況等について、配置医師と施設の間で、具体的な取決めがなされている
複数名の配置医師を配置、又は配置医師と協力医療機関の医師が連携し、施設の求めに応じて24時間対応できる体制を確保している
「看取り介護加算の算定要件が複雑で、どこから手をつけていいか分からない…」と感じる施設担当者も多いかもしれません。
特に注意すべき点は、利用者の状態低下時に再度本人・家族の同意を得ることと、看取りケアの内容や多職種連携の状況を記録することです。
これらの要件を満たすことで、質の高い看取りケアの提供と適切な加算算定の両立が可能となります。
グループホームにおける看取り介護加算は、認知症高齢者の特性を考慮した終末期ケアを評価するものです。単位数は下記表の通りです。
看取り介護加算(Ⅰ) | |
|---|---|
死亡日以前31日以上45日以下 | 72単位/日 |
死亡日以前4日以上30日以下 | 144単位/日 |
死亡日の前日及び前々日 | 680単位/日 |
死亡日 | 1,280単位/日 |
看取り介護加算(Ⅱ)の算定はありません。
グループホームで看取り介護加算を算定するための主な要件は以下の通りです。
<施設基準>
看取りに関する指針を定め、入所時に本人又は家族に対して内容を説明し、同意を得ていること。
看取りに関する職員研修を行っていること。
医師、看護職員、介護職員、介護支援専門員等による協議の上、看取りの実績等を踏まえ、看取り指針の見直しを実施
<入所者>
医師が医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断された者。
医師、看護職員、介護支援専門員、その他の職種の者により共同で作成した計画について、内容の説明を受け同意した者。
看取りに関する指針に基づき実施される介護についての説明を受け、同意した上で介護を受けている者。
<その他の基準>
医療連携体制加算を算定していること
「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うこと
「認知症の方の終末期ケアは意思確認が難しく、どう対応すればよいか悩む」という声をよく聞きます。
グループホームでは、認知症高齢者の特性を踏まえた意思確認の工夫や、これまでの生活歴を考慮したケアプランの作成が重要です。
早い段階から本人・家族と終末期に関する話し合いを重ね、できるだけ本人の意向を尊重したケアを提供することが、質の高い看取りの実現につながります。
特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホームなど)における看取り介護加算は、入居者の希望に沿った終末期ケアの提供を評価するものです。
看取り介護加算(Ⅰ) | 看取り介護加算(Ⅱ) | |
|---|---|---|
死亡日以前31日以上45日以下 | 72単位/日 | 572単位/日 |
死亡日以前4日以上30日以下 | 144単位/日 | 644単位/日 |
死亡日の前日及び前々日 | 680単位/日 | 1, 180単位/日 |
死亡日 | 1,280単位/日 | 1,780単位/日 |
特定施設での看取り介護加算の算定要件は以下の通りです。 看取り介護加算(Ⅰ)の要件
「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うこと。
看取りに関する協議の場の参加者として、生活相談員を明記する。
看取り介護加算(Ⅱ)の要件
加算(Ⅰ)の算定要件を満たしていること
看取り期に夜勤または宿直で看護職員が配置されていること。
「有料老人ホームでは自立度の高い入居者も多く、急な状態変化に対応できるか不安…」という声もあるでしょう。
特定施設では、入居者の状態に合わせた柔軟な支援体制が求められ、特に看取り期に入った際の医療機関との連携強化が重要です。
協力医療機関との連携体制を明確にし、日頃から情報共有を密に行うことで、入居者の急変時にも適切に対応できる体制を整えることが、質の高い看取りケアの実現につながります。

看取り加算を算定するためには、単に終末期のケアを行うだけでは不十分です。
厚生労働省が定める具体的な体制整備と書類の準備が必要となります。
これから、看取り加算の算定に欠かせない3つの要素である「看取りに関する指針の作成」「多職種連携」「本人・家族への説明と同意取得」について詳しく解説していきます。
看取り加算の算定には、まず施設独自の「看取りに関する指針」を作成し、全職員に周知することが不可欠です。
この指針は単なる形式的な書類ではなく、施設における看取りケアの質を担保するための重要な基盤となります。
「どのような指針を作成すればいいのか分からない…」と悩む事務担当者や管理者の方も多いでしょう。
指針に盛り込むべき主な項目は以下の5点です。
施設における看取りケアの基本理念:
利用者の尊厳ある最期を支えるという理念を明記し、施設としての看取りケアに対する姿勢や考え方を示します。
医師や医療機関との連携体制:
協力医療機関との連携方法、夜間・休日の対応方法、急変時の対応手順などを具体的に記載します。
看取りに関する職員研修の実施方針:
定期的な研修の内容や頻度、対象職員の範囲、外部研修への参加推進などについて明記します。
看取り介護の実施方法:
終末期の状態の見極め方、段階に応じたケア内容、医療的ケアと介護的ケアの役割分担などを記載します。
家族への支援体制:
終末期における家族への情報提供方法、心理的サポート体制、看取り後のグリーフケアなどについて明記します。
作成した指針は、全職員が常に確認できるよう、各フロアに配置するとともに、定期的な研修を通じて内容の理解を促進することが重要です。
厚生労働省の2021年度の調査によれば、看取り加算を算定している施設の約95%が職員研修を定期的に実施しており、これが加算算定の継続につながっているとされています。
指針の作成と周知は一度きりではなく、実際の看取りケアの経験を踏まえて定期的に見直し、より実践的な内容に改訂していくことが、質の高い看取りケアの提供と確実な加算算定につながります。
看取り加算の算定には、利用者の状態変化に迅速に対応するための多職種による定期的なカンファレンスの実施が必須条件となります。
多職種連携のカンファレンスは、看取りケアの質を高める上で欠かせません。
カンファレンスでは、医師、看護師、介護職員、ケアマネジャー、栄養士、機能訓練指導員など、様々な職種が参加し、それぞれの専門的視点から利用者の状態を評価し、ケア方針を決定します。
カンファレンスの記録には、以下の内容を必ず含めるようにしましょう。
開催日時と参加者(職種を含む)
利用者の現在の状態と変化の経過
各職種からの評価と提案
今後のケア方針と具体的な対応策
次回カンファレンスの予定
記録様式は施設独自のものでも構いませんが、第三者が見ても経過や決定事項が明確に分かるよう、簡潔かつ具体的な記載を心がけてください。
これらの体制整備は、単に加算算定のためだけでなく、利用者と家族に安心感を提供し、施設全体の看取りケアの質を向上させることにつながります。
看取り加算の算定には、本人や家族に対する丁寧な説明と、文書による同意取得が不可欠です。
この過程は単なる事務手続きではなく、本人・家族の意向を尊重した看取りケアを実現するための重要なプロセスです。
「家族への説明、何から話せばいいのか不安…」と感じる看護師や相談員も多いのではないでしょうか。
本人・家族への説明と同意取得は、以下の4つのステップで進めることをお勧めします。
適切なタイミングの見極め: 入所時から終末期の意向を確認しておくことが理想的ですが、病状の変化や医師の判断により終末期に入ったと考えられる時点で、改めて具体的な看取りケアについての説明を行います。この際、本人の状態や家族の受け入れ準備が整っているかを慎重に見極めることが大切です。
説明内容の準備: 看取りに関する指針の内容、施設で提供できるケアの範囲、医療との連携体制、状態変化時の対応方法、看取り加算の内容と費用負担などを、分かりやすい資料にまとめておきます。専門用語は避け、イラストや図表を活用すると理解が深まります。
説明の実施と意向確認: 説明は、プライバシーが確保された静かな場所で、十分な時間をかけて行います。医師からの病状説明後、施設長や看護責任者、生活相談員などが同席し、多角的な視点から説明することが望ましいです。説明後は質問に丁寧に答え、本人・家族の意向を確認します。
同意書の取得と定期的な再確認: 同意書には、看取りケアの内容、医療との連携方法、看取り加算の算定について明記し、本人(可能な場合)と家族の署名を得ます。同意後も状態変化に応じて意向を再確認し、必要に応じて同意内容を見直します。
同意書の様式は施設独自のものでも構いませんが、少なくとも以下の項目を含めるようにしましょう。
施設での看取りケアを希望すること
提供される看取りケアの内容
医療機関との連携方法
急変時の対応方針(救急搬送の希望など)
看取り加算について(単位数と自己負担額を含む)
同意の日付と署名(本人・家族・説明者)
説明と同意取得の過程では、家族の心理的負担に配慮し、必要に応じて複数回に分けて行うことも検討してください。
また、同意取得後も定期的に意向を確認し、状態変化や家族の思いの変化に柔軟に対応することが、信頼関係の構築と質の高い看取りケアの実現につながります。

看取り加算の算定方法と請求の際の注意点を正しく理解することは、介護施設の収益確保と質の高い看取りケア提供の両立に不可欠です。
介護施設では、終末期ケアの提供に伴い、多くの人的・物的リソースが必要となります。看取り加算はそうした負担に見合った報酬を得るための重要な制度ですが、算定条件や請求方法を誤ると、介護報酬の返還や監査での指摘につながるリスクがあります。
ここでは、各施設種別における看取り加算の算定期間と単位数の計算方法、請求時によくあるミスとその対策、そして効率的な記録管理のためのICTツール活用について詳しく解説します。
看取り加算の算定可能な期間と単位数は、施設種別によって異なります。
また看取り加算には『看取り介護加算(Ⅰ)』と『看取り介護加算(Ⅱ)』の2種類があり、それぞれ要件が異なります
例として特別養護老人ホーム(特養)の場合、45日を上限として下記のようになります。
看取り介護加算(Ⅰ) | 看取り介護加算(Ⅱ) | |
|---|---|---|
死亡日以前31日以上45日以下 | 72単位/日 | 72単位/日 |
死亡日以前4日以上30日以下 | 144単位/日 | 144単位/日 |
死亡日の前日及び前々日 | 680単位/日 | 780単位/日 |
死亡日 | 1,280単位/日 | 1,580単位/日 |
「期間の計算が難しい…」と感じる方もいるかもしれません。日数は暦日で数え、死亡日を1日目として逆算していきます。例えば、11月30日に亡くなった場合、10月16日までの45日間が最大の算定対象となります。
算定の際に重要なポイントは以下の通りです。
医療機関で死亡した場合の扱い: 医療機関に入院し、そこで死亡した場合でも、入院前に施設で看取りケアを行っていれば、入院前日までの期間について加算を算定できます。
看取り介護加算の起算日: 看取り介護加算は、医師が終末期であると判断し、利用者または家族の同意を得た日から算定が可能です。ただし、同意を得た日が死亡日から30日以上前の場合は、死亡日から遡って30日間のみが対象となります。
複数月にまたがる場合の請求: 看取り期間が複数月にまたがる場合は、各月の介護報酬請求時に当該月分を請求します。最終的に利用者が亡くなった後に、さかのぼって請求するものではありません。
施設種別ごとの具体的な単位数や最新の算定要件については、介護報酬改定の情報を常に確認しておくことが大切です。
看取り加算の請求では、いくつかの典型的なミスが起こりがちです。
これらのミスを防ぐためには、請求前の確認体制を整えることが重要です。よくあるミスと対策を以下に紹介します。
同意書の取得漏れや日付の誤り: 看取り介護の開始時に本人または家族からの同意書を取得し忘れたり、日付の記載を誤ったりするケースが多く見られます。対策としては、看取りケア開始前のチェックリストを作成し、同意書取得を必須項目として徹底確認することが有効です。
看取り介護計画書の不備: 計画書が作成されていない、または内容が不十分なため、算定要件を満たさないケースがあります。個別の状況に応じた具体的な計画を、多職種で協議して作成することが重要です。
カンファレンスの記録不足: 多職種連携のカンファレンスを実施しても、記録が不十分で算定要件を証明できないことがあります。カンファレンスの日時、参加者、協議内容、結論を詳細に記録する習慣をつけましょう。
死亡日からの日数計算の誤り: 30日間の上限を誤って計算し、算定期間を間違えるケースがあります。死亡日を1日目として、カレンダー上で正確にカウントする習慣をつけることが大切です。
加算単位数の誤り: 死亡日、死亡日前日・前々日、それ以前の日の単位数を間違えて請求してしまうことがあります。請求ソフトのチェック機能を活用するとともに、複数の目でのダブルチェック体制を構築しましょう。
「監査で指摘されたらどうしよう…」と不安に思う方も多いでしょう。実際、看取り加算は監査でよく確認される項目の一つです。適切な体制を整え、必要書類を整備し、正確な算定を心がけることが重要です。
看取り加算請求の際は、請求前に以下のチェックポイントを確認するとよいでしょう。
看取りに関する指針の整備と職員への周知実績
本人または家族の同意書(日付と署名の確認)
24時間連絡体制の証明資料
看取り介護計画書の作成状況
多職種連携のカンファレンス記録
看取りケアの実施記録
算定期間と単位数の正確性
これらのポイントを定期的にチェックする体制を作ることで、ミスを未然に防ぐことができます。
看取りケアの質向上と加算の確実な算定には、ICTツールの活用が大きな助けとなります。
現在、様々な介護記録ソフトやシステムが開発されており、これらを活用することで、記録の漏れを防ぎ、多職種間の情報共有を円滑にすることができます。例えば、タブレット端末で入力できる介護記録システムを導入することで、現場でリアルタイムに記録を残せるようになり、後から「あの時の状況をどう記録しようか」と悩む必要がなくなります。
ICTツール活用のメリットは以下の通りです。
記録の標準化と漏れ防止: システムに必須入力項目を設定することで、看取り加算に必要な記録項目の漏れを防止できます。例えば、バイタルサイン、食事・水分摂取量、排泄状況、痛みの有無などの項目をテンプレート化しておくことで、誰が記録しても一定水準の情報が残ります。
リアルタイムでの情報共有: クラウド型のシステムを使用すれば、医師や看護師、介護職など多職種間でリアルタイムに情報を共有できます。利用者の状態変化にすぐに気づき、適切なケアにつなげることができるだけでなく、夜間オンコール対応の医師や看護師も事前に状況を把握できます。
加算算定管理の自動化: 介護報酬請求ソフトと連携したシステムでは、看取り介護の開始日、同意取得日、死亡日などの情報から、自動的に加算日数や単位数を計算し、請求ミスを防止できます。
監査対応の効率化: システム内に保存された記録は、監査時に必要な情報をすぐに取り出せるため、対応が容易になります。紙記録の場合、保管場所から該当書類を探し出す手間が省けます。
「どのICTツールを選べばいいのか分からない」と迷う方も多いでしょう。選定ポイントとしては、操作のしやすさ、他システムとの連携性、サポート体制の充実度、コストパフォーマンスなどが挙げられます。また、導入前に実際に使用している施設の評判を聞いたり、トライアル期間を設けたりすることも重要です。
ICTツール導入時の注意点としては、職員全員が使いこなせるようになるまでの研修期間を設けること、セキュリティ対策を徹底すること、システム障害時のバックアップ体制を整えることなどがあります。初期投資や月額費用がかかりますが、長期的に見れば業務効率化やミス防止によるメリットの方が大きいでしょう。

看取り加算の算定は単なる収益向上の手段ではなく、利用者の尊厳ある最期を支える質の高いケアの提供があってこそ意味があります。
施設の経営面からも、看取りケアの質を高めつつ加算を適切に算定することで、安定した運営と良質なサービスの提供という好循環を生み出すことができるのです。
ここでは、看取りケアの質と加算算定を両立させるための具体的なポイントを解説します。
質の高い看取りケアを提供するためには、職員の教育と精神的なサポートが不可欠です。
看取りに関わる職員は、医学的知識だけでなく、終末期の心理や家族支援などの幅広い知識とスキルが求められます。
「自分の対応が適切だったのか」「もっと良いケアができたのではないか」という自問自答を繰り返し、精神的に疲弊してしまう職員も少なくありません。
このような課題に対応するため、以下のような取り組みが効果的です。
定期的な看取りケア研修の実施: 看取りの基礎知識から実践的なケア技術、家族支援の方法まで、段階的に学べる研修プログラムを整備しましょう。厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」などを参考にした内容を取り入れることで、職員の知識とスキルを体系的に向上させることができます。
多職種によるケースカンファレンスの開催: 看取りケースごとに振り返りの場を設け、良かった点や改善点を共有することで、次のケアに活かせます。この場では批判ではなく、互いの気づきを共有する雰囲気づくりが大切です。
職員のメンタルケアの体制整備: 看取りに関わった職員の感情や思いを表出できる場を設けることで、燃え尽き症候群を予防できます。管理者は「看取りケアは施設の重要な役割である」というメッセージを伝えながら、職員を孤立させないようなサポート体制を構築しましょう。
看取りケアに関する研修は、単に知識を提供するだけでなく、職員同士が経験や感情を共有できる場としても機能させることが大切です。
研修とメンタルケアの両面から職員をサポートすることで、質の高い看取りケアの提供と職員の定着率向上という二つの成果を得ることができるでしょう。
看取り加算を単体で考えるのではなく、他の加算制度と組み合わせることで、より効果的な運用が可能になります。
適切な加算の組み合わせは、質の高いケアの提供と安定した収益確保の両立に貢献します。
「看取り加算だけでは十分な収益にならない」と考える方もいるかもしれませんが、関連する加算を適切に組み合わせることで、経営的にも満足できる結果を得られる可能性があります。
看取り加算と相性の良い主な加算制度には以下のようなものがあります。
ターミナルケア加算(訪問看護): 訪問看護と連携して看取りを行う場合に算定できます。施設内の看護体制と訪問看護ステーションの専門性を組み合わせることで、より質の高い医療的ケアの提供が可能になります。
退院・退所時連携加算: 医療機関から看取り目的で入所する利用者に対して算定できる場合があります。医療機関との連携を強化し、シームレスなケアの提供に努めましょう。
看護体制加算: 手厚い看護体制を評価する加算です。看取りケアでは医療的ニーズが高まるため、看護体制の充実は質の高いケア提供の基盤となります。
栄養マネジメント強化加算: 終末期の栄養管理は極めて重要です。個別の嗜好や状態に合わせた食事提供によりQOL向上に寄与します。
加算の組み合わせを検討する際は、単に算定要件を満たすことだけでなく、それによって利用者へのケアがどう向上するかという視点が重要です。
加算を取るための体制整備ではなく、質の高いケアを提供するための体制整備の結果として加算が取れるという考え方で取り組むことで、利用者・家族の満足度向上と収益確保の好循環を生み出すことができるでしょう。
成功している施設の看取りケア体制から学ぶことで、自施設の取り組みを改善するヒントが得られます。
先進的な取り組みを行っている施設に共通するのは、看取りケアを施設の重要な機能と位置づけ、全職員が同じビジョンを共有していることです。
「どうせ自分たちの施設では難しい」と諦める前に、成功事例から学び、できることから取り入れてみましょう。
具体的な成功事例としては、以下のような取り組みが挙げられます。
ICTツールを活用した情報共有システムの構築: ある特別養護老人ホームでは、タブレット端末を活用した記録システムを導入し、看取り期の利用者の状態変化を24時間リアルタイムで共有できる体制を整えました。これにより、職種間の情報伝達ミスが減少し、状態変化に迅速に対応できるようになったとのことです。
看取りケアパスの導入: あるグループホームでは、看取り期の経過に応じたケアの指針「看取りケアパス」を作成し、職員の不安軽減と標準化されたケア提供を実現しています。ケアパスは単なるマニュアルではなく、個別性を重視した柔軟な運用がポイントです。
家族支援プログラムの充実: ある介護付き有料老人ホームでは、看取り期の家族に対するサポートプログラムを整備し、家族の心理的負担軽減と意思決定支援を行っています。そのような取り組みが、口コミで広がり入居率向上にもつながったという事例もあります。
地域の医療機関との連携強化: 24時間対応可能な在宅療養支援診療所と緊密な連携体制を構築している施設では、医師との信頼関係に基づいた看取りケアが実現し、家族からの評価も高いと報告されています。
看取り後の振り返りとグリーフケア: 看取り後の振り返りカンファレンスを定期的に行い、ケアの評価と改善点の抽出を行うとともに、関わった職員のグリーフケア(悲嘆ケア)も行っている施設では、職員の燃え尽き症候群予防にも効果を上げています。
これらの成功事例に共通するのは、看取りケアを特別なものではなく、日常的なケアの延長線上に位置づけている点です。
日々のケアの質を高め、利用者一人ひとりの意思を尊重する文化があってこそ、質の高い看取りケアが実現し、結果として看取り加算の算定にもつながるというプロセスを意識することが大切でしょう。

看取り加算に関して、多くの介護施設の担当者が同じような疑問を抱えています。
介護報酬制度は複雑で、特に看取り加算の算定条件や適用範囲については誤解が生じやすい部分です。
ここでは、看取り加算について最もよく寄せられる質問に対して、明確で具体的な回答を提供します。
看取り加算は特定の介護施設に限定して算定できる加算制度です。
この加算を算定できるのは、主に以下の3種類の施設です。
特別養護老人ホーム(特養): 介護老人福祉施設および地域密着型介護老人福祉施設における看取り介護加算として算定できます。特養では看取りケアの提供体制を整備することで、最大で死亡日以前45日を上限として段階的に加算を算定することが可能です。
グループホーム: 認知症対応型共同生活介護における看取り介護加算として算定できます。認知症の方の特性を考慮した看取りケアの提供が評価され、特養と同様に死亡日からさかのぼって段階的に加算されます。
特定施設入居者生活介護: 介護付き有料老人ホームや軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などが該当します。地域密着型特定施設入居者生活介護も含まれ、施設の体制や提供するケアに応じて加算が認められています。
「うちの施設でも算定できるのだろうか」という疑問を持つ方も多いでしょう。
しかし、老人保健施設(老健)や療養型医療施設、通所系サービス、訪問系サービスでは看取り介護加算は算定できません。
算定できない施設では、類似の目的を持つ他の加算(例:ターミナルケア加算など)が設定されている場合があるため、施設の種類に応じた適切な加算を確認することが重要です。
各施設種別によって単位数や算定要件が異なるため、自施設の種別に合わせた最新の介護報酬の告示や通知を確認することをお勧めします。
看取り加算を算定するためには、いくつかの重要な書類を整備し、適切に記録を残す必要があります。
主に必要となる書類は以下の通りです。
看取りに関する指針: 施設における看取りケアの基本方針や考え方、対応方法などを明文化した文書です。この指針には、看取りに関する考え方、終末期の利用者に対する介護の方法、医師や医療機関との連携体制、看取りに関する職員教育や研修に関する事項などを記載します。この指針は全職員に周知され、いつでも確認できる状態にしておく必要があります。
本人または家族への説明と同意書: 看取りケアの開始にあたっては、利用者本人(意思表示が困難な場合は家族等)に対して、施設の看取りに関する指針を説明し、同意を得る必要があります。この同意書には、説明を行った日時、説明者、同意を得た内容と範囲、同意者の署名などを記録します。
看取りケアの実施記録: 日々の看取りケアの内容や利用者の状態変化、多職種による検討内容などを詳細に記録します。特に、医師、看護師、介護職員、栄養士、生活相談員などの多職種が参加したカンファレンスの内容や、それに基づく具体的なケア計画とその実施状況を記録することが重要です。
看取り介護に関する計画書: 利用者の状態や意向に基づいて作成した具体的な看取りケアの計画書です。これには、医療的ケア、日常生活援助、精神的サポート、家族支援などの内容と、それを担当する職種を明記します。
「書類の作成が負担になる…」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、これらの書類は単なる事務手続きではなく、質の高い看取りケアを提供するための重要なツールであり、チームで情報共有するための基盤となります。
加算算定の際の監査で最も指摘を受けやすいのが書類の不備です。
書類は日頃から丁寧に作成・保管し、定期的にチェックする体制を整えておくことが望ましいでしょう。
看取り加算の算定可能期間は、施設の種類によって異なりますが、基本的には死亡日を含めて段階的に設定されています。
主な施設種別における算定可能期間は以下のとおりです。
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設): 死亡日以前45日を上限として、以下の4段階で算定できます。
看取り介護加算(Ⅰ) | 看取り介護加算(Ⅱ) | |
|---|---|---|
死亡日以前31日以上45日以下 | 72単位/日 | 72単位/日 |
死亡日以前4日以上30日以下 | 144単位/日 | 144単位/日 |
死亡日の前日及び前々日 | 680単位/日 | 780単位/日 |
死亡日 | 1,280単位/日 | 1,580単位/日 |
グループホーム(認知症対応型共同生活介護): 死亡日以前45日を上限として、以下の4段階で算定できます。
看取り介護加算(Ⅰ) | |
|---|---|
死亡日以前31日以上45日以下 | 72単位/日 |
死亡日以前4日以上30日以下 | 144単位/日 |
死亡日の前日及び前々日 | 680単位/日 |
死亡日 | 1,280単位/日 |
特定施設入居者生活介護: 死亡日以前45日を上限として、以下の4段階で算定できます。
看取り介護加算(Ⅰ) | 看取り介護加算(Ⅱ) | |
|---|---|---|
死亡日以前31日以上45日以下 | 72単位/日 | 572単位/日 |
死亡日以前4日以上30日以下 | 144単位/日 | 644単位/日 |
死亡日の前日及び前々日 | 680単位/日 | 1, 180単位/日 |
死亡日 | 1,280単位/日 | 1,780単位/日 |
「最大45日間も算定できるのか」と驚かれる方もいるかもしれません。
ただし、看取り加算を算定するためには、単に期間の条件を満たすだけでなく、その間のケア内容や記録が重要です。
例えば、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した利用者について、本人・家族の同意を得て、看取りに関する計画を作成し、医師、看護師、介護職員等が共同して、随時本人または家族への説明を行い、同意を得ながらケアを行うことが求められます。
また、算定期間中であっても、病院に入院した場合や、他の施設に移った場合には、その期間中は算定できません。
看取り加算の算定にあたっては、最新の介護報酬改定情報を確認し、自施設の種別に応じた正確な算定要件と単位数を把握することが重要です。

今回は、介護施設で看取り加算の算定に悩む方に向けて、
看取り加算の定義と設けられた社会的背景
施設種別ごとの算定要件と単位数の違い
算定に必要な体制整備と書類の作成方法
質の高い看取りケアと加算算定を両立させるポイント
上記について、20年以上介護施設を運営してきた経験を交えながらお話してきました。
看取り加算は単なる収益向上の手段ではなく、利用者の尊厳ある最期を支えるための制度です。
適切な体制整備と質の高いケア提供があってこそ、確実な加算算定と施設経営の安定化が実現できるのです。
ICTツールを活用した情報共有や記録管理を導入することで、多職種連携がスムーズになり、看取りケアの質向上と加算算定の両立が可能になります。
さらに、職員への研修や精神的サポートを充実させることで、施設全体で看取りケアに取り組む文化を醸成できるでしょう。
まずは自施設の看取りに関する指針を見直し、多職種連携のカンファレンスを定期的に開催してみてください。
質の高い看取りケアを提供しながら、適切な加算算定を実現し、利用者と施設の双方にとって価値ある終末期ケアを目指していきましょう。

CareViewerは「介護現場の紙をなくすため」に
つくられた地域密着型サービス特化の介護記録
アプリです。
介護事業所運営企業が現場での使いやすさ
にこだわり開発。だれでもかんたんに使えます。
記録
・紙の介護記録をデジタル化
・かんたんテンプレ・音声入力
計画
・計画と記録の連携
・帳票作成の負担が少ない
コミュニケーション
・チャットツール連携
・関係者との連携を円滑に
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CareViewerは「介護現場の紙をなくすため」につくられた地域密着型サービス特化の介護記録アプリです。
介護事業所運営企業が現場での使いやすさにこだわり開発。だれでもかんたんに使えます。

この記事を書いた人

中元 秀昭
当社は、介護保険制度が開始された当初より、北海道札幌近郊エリアで地域密着型サービスを主軸とした介護施設の運営に携わってまいりました。
その経験の中で生まれた「介護現場から紙をなくしたい」という強い思いから、AI・介護記録ソフト「CareViewer」を自社開発いたしました。
「CareViewer」は、現場の視点を何よりも大切にし、ITに不慣れな方や外国籍のスタッフでも直感的に使える、分かりやすさにこだわって開発されています。
さらに、障害福祉分野にも事業を拡大し、障害福祉サービス事業所を開設するとともに、同サービスに対応したAI障がい福祉記録ソフト「CareViewer challenge」も開発・提供しております。


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