介護現場のICT活用で業務効率化!メリットデメリット・導入事例・生産性向上推進体制加算について解説介護現場の生産性向上が急務となる中、2024年度(令和6年度)の介護保険制度改正でテクノロジー導入などを要件とする「生産性向上推進体制加算」が新設されたことで、ICT化の重要性がますます高まっています。利用者ごとに一月あたり10単位(II)もしくは100単位(Ⅰ)の加算となるため、取得に向けた準備を始めている事業者の方も多いでしょう。この記事では、介護サービスを運営する事業者の皆さまへ向けて、介護現場におけるICT化とは何か、生産性向上推進体制加算の概要、加算取得のためのポイントについてわかりやすく解説します。また、介護現場のICTのメリットやデメリット、導入事例についてもあらためて解説しますので、ICT化に不安を抱えている方も、効率的な取得を目指す方もぜひ記事を最後までチェックしてみてください。この記事の目次介護現場におけるICTとはICT(Information and Communication Technology)化とは、インターネットのようなICT(情報通信技術)を活用して、生産性向上や業務効率化を図ることを指します。近年は介護業界でも積極的なICT化が推進されており、具体例としては「スマートフォンやタブレットなどによる介護記録・管理」、「センサーやロボットを活用した利用者の安全・快適さの向上」などがあります。介護現場のICT化については、以下の記事でも解説しています。→【介護記録アプリ】システムの導入で作業を効率化!ICT化とは?介護現場でICT化が求められる背景近年、介護現場でICT化が加速しているのは、*介護現場の人手不足が大きな理由*です。介護の現場は、少子高齢化や離職率の高さなどから慢性的な人手不足が続く一方で、介護需要は増加しています。このような状況下で、限られた人材で質の高い介護サービスを提供するためには、ICTの活用による業務効率化が欠かせません。また、現場で働くスタッフの負荷を減らし離職率を防ぐことも重要な課題です。生産性向上推進体制加算の新設でICT化がさらに重要にテクノロジー導入は以前から進められてきたものの、厚生労働省の調査研究によれば「介護業界全体ではテクノロジーの導入が幅広く進んでいるとはいえない状況」だといいます。そこで、2024年度の介護保険制度改正で新設となったのが、テクノロジー導入などを要件とする「生産性向上推進体制加算」です。加算を取得することはつまり、ICTによって業務効率化や介護職員が働きやすい環境整備を実現することでもあります。ここからは、生産性向上推進体制加算について詳しく見ていきましょう。生産性向上推進体制加算とは生産性向上推進体制加算は、2024年度の介護報酬改定で新設された制度です。介護事業者がICTやテクノロジーを活用して業務効率化や介護の質の向上に取り組むことを評価するもので、要件に応じた加算を取得できます。「加算(Ⅰ)」と「加算(Ⅱ)」の2つの区分があり、利用者ごとに一月あたり10単位(II)、100単位(Ⅰ)が加算となります。算定のためには、委員会の設置やテクノロジー機器の導入・効果的な活用だけでなく、実績データの提出なども求められるため、最初に制度についてしっかり理解しておくことが重要です。生産性向上推進体制加算について、詳しくはこちらの記事もあわせてご覧ください。→【介護報酬改定】厚労省、テクノロジー活用の「生産性向上加算」の詳細を通知 導入から運用までトータル実践を評価対象となる介護サービス生産性向上推進体制加算の対象となるのは「施設系サービス」「短期入所系サービス」「居住系サービス」「多機能系サービス」の4種類です。通所系および訪問系サービスは対象外となるため注意しましょう。区分と要件生産性向上推進体制加算には、「加算(Ⅰ)」と「加算(Ⅱ)」の2つの区分があります。(Ⅰ)は上位の加算で、同時取得はできず、(Ⅱ)を取得してから(Ⅰ)の取得を目指すことが想定されています。ただし、新設以前から生産性向上の取り組みを進めている場合は、要件を満たすことで最初から(Ⅰ)の取得も可能です。区分単位数要件加算(Ⅱ)10単位/月・利用者の安全、介護サービスの質の確保、職員の負担軽減に向けた委員会の開催(3ヶ月に1回)や必要な安全対策を実施する・「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン」に基づいた業務改善を継続的に行う・生産性向上の取組に関する実績データを厚生労働省に報告する(事業年度毎に1回)・1つ以上のテクノロジー機器(見守り機器やインカム、介護記録の作成を効率的に行えるICT機器など)を導入する加算(Ⅰ)100単位/月・加算(Ⅱ)の要件を満たしている・加算(Ⅱ)の実績データから生産性向上の取組による成果が確認されている・テクノロジー機器を複数導入する(見守り機器/インカム/介護記録ソフトウェア等の介護記録の作成の効率化ICT機器のすべて導入。見守り機器は全ての居室に設置。インカムは同じ時間帯に働く全ての介護職員が使用)・職員間の適切な役割分担の取り組みを行っている(介護助手の活用など)加算(Ⅱ)は環境改善に取り組むこと自体が要件である一方、加算(Ⅰ)は取り組みの成果が求められることが大きな違いです。導入により良い結果が得られているか、データで示す必要があります。加算取得に向けた5つのポイント「加算取得のために何をしたらいいかわからない」という方は、重要なポイントの把握から始めましょう。加算取得に向けた準備で大切なポイントは、以下の5つです。1. 委員会の設置・運営2. 「生産性向上ガイドライン」について理解を深める3. 取り組みによる実績データの提出4. 職員間の適切な役割分担(介護助手の活用など)5. ICT化のためのテクノロジーの導入まず、加算取得には委員会の設置義務があります。3年間の経過措置があり本格的に義務化となるのは2027年度からですが、未設置の場合は次回改定で減算となる可能性も考えられるため早めの対応を検討しましょう。厚生労働省が公開している『介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン』の理解も欠かせません。ツールの効果的な活用方法や取り組みについても詳しく解説されているため、必ず目を通しておきましょう。算定には取り組みによる業務改善データの提出が必要です。加算ごとに求められるデータが決まっているため、対象データの収集とPDCAを回していきましょう。加算(Ⅰ)を目指す場合は、職員間の適切な役割分担(介護助手の活用など)も求められます。また、加算(Ⅰ)と加算(Ⅱ)のいずれの場合も欠かせないのが、ICT化のためのテクノロジー機器の導入です。導入するテクノロジー機器は問題解決に必要なものを選定する必要があるため、委員会などを通じて現場の課題の洗い出しを行っておきましょう。介護現場でのICT導入事例ここでは、介護現場でのICT導入事例を「生産性向上推進体制加算の対象となるICT活用事例」と「その他のICT活用事例」に分けて紹介します。生産性向上推進体制加算の対象となるICT活用事例生産性向上推進体制加算の加算(Ⅰ)・加算(Ⅱ)の取得にあたって共通して求められるのが、「見守り機器・インカム・介護記録ソフト」の3種類です。 1. 見守り機器見守り機器とは、利用者の動きを検知するセンサーを設置し、スタッフに知らせる機器のことです。センサーを活用してリアルタイムで見守ることで、利用者の安全確保につながり、スタッフの負担を軽減できます。2. インカム離れた場所にいる職員同士の連絡手段に役立つのが、インカムです。現場に駆けつけたり、電話をかけて伝えなければいけなかった情報も、インカムを使えば手間なくスムーズに共有できます。スタッフ間のコミュニケーションをリアルタイムで行うことで、緊急時の対応や業務の効率化が可能です。3. 介護記録ソフト介護記録ソフトは、利用者の情報やサービス提供状況の記録・保存などが行えるソフトウェアです。パソコンやスマートフォン、スマートフォンやタブレットからも入力が可能なため、介護記録の作成を大幅に効率化できます。また、紙やファイルでの保管とは異なり、知りたい情報をすぐに、簡単に探し出せることもメリット。申し送りや引継ぎの効率化、ペーパーレス化による経費削減効果も期待できます。その他のICT導入事例この他にも、介護の現場ではさまざまなシステムが活用されています。1. 勤怠管理・給与計算システム勤怠管理・給与計算システムは、複雑なシフト勤務になりがちな介護業界に特化したシステムです。手間のかかるシフト作成・管理を自動作成することで作業時間を減らせるだけでなく、業務負担を可視化することで改善につなげられるメリットもあります。2. 介護請求ソフト介護請求ソフトは、介護事業所で必要となる請求業務を効率化するシステムです。介護報酬の自動計算、請求書・明細書の作成、国保連合会へのデータ送信などの機能があり、事務作業にかかる手間を大幅に軽減できます。3. 誤薬防止システム誤薬防止システムは、薬の管理・投薬ミスを防ぐためのシステムのことです。利用者ごとに薬の服用データを一元管理できるだけでなく、ヒューマンエラーによる誤薬の防止、職員の業務負担軽減などを実現できます。4. オンライン面会オンライン面会は利用者とその家族の利便性向上だけでなく、面会制限下でも家族とコミュニケーションを図ることで利用者のQOL(生活の質)向上にもつながります。また、感染リスクを抑えられるためスタッフの消毒の手間などを減らせることもメリットです。5. 排泄予測機器排泄予測機器とは、超音波センサーによって膀胱内の尿量をリアルタイムで測定し、排尿のタイミングを知らせる機器のことです。適切なタイミングでトイレ誘導や排泄ケアができるようになることで、利用者のQOLの向上、介護負担や費用の軽減につながります。介護現場にICTを導入するメリット介護現場にICTを導入することで得られるメリットは、以下のとおりです。人材不足を解消できるスタッフの負担軽減・ミス減少につながる業務効率化により残業時間を削減できる働きやすい職場づくりができ離職率の低下につながる情報共有・連携がスムーズになる介護サービスの質の向上につながる補助金を活用できる上記のように多くのメリットがあることに加え、2024年度の介護報酬改定では「生産性向上に資する委員会」の設置が義務化されました。生産性向上には介護ロボット・ICTなどテクノロジーの導入・活用が必要不可欠とされており、可能な限り早い段階で準備を進めて行く必要があるでしょう。介護現場にICTを導入するデメリット一方で、介護現場へのICT導入には以下のようなデメリットもあります。導入費用がかかる(解決策→補助金の活用)スタッフの教育が必要になる(解決策→マニュアル作成や研修の実施、使いやすいツールの導入)情報漏洩のリスクがある(解決策→ガイドライン策定、ルールの周知・徹底)これらはICT導入において避けられないことでもあるため、デメリットに対する解決策を取っておくことが大切です。近年はICT化の推進のため政府や自治体が補助金・助成金を用意しているため、こういった制度をうまく活用すれば導入にかかる費用は軽減できます。導入時のスタッフの教育、情報漏洩のリスクについては事前にマニュアルやガイドラインを作成し、職場全体でICT化に取り組める体制を整えておくことが大切です。介護現場のICT化に活用できる補助金とは?介護の現場のICT化を進めるため、経費を補助する「介護テクノロジー導入支援事業」が2024年度の予算(地域医療介護総合確保基金)に盛り込まれました。介護ロボットICT介護現場の生産性向上に係る環境づくりその他(介護ロボットやICTなどの活用するためのICTリテラシー習得に必要な経費)主に上記の4つの分野が補助対象になります。実施主体は「都道府県」となるため、補助内容や要件など詳細については各都道府県のHPをチェックしましょう。介護現場のICT化ならAI・介護記録ソフトCareViewerが便利!「事務作業に手間がかかり残業が発生している」「離職を防止して採用力を強化したい」「簡単に導入できすぐに使いこなせるソフトを探している」このようなお悩みには、誰でも簡単に使いこなせるAI・介護記録ソフト『CareViewer』がおすすめです。CareViewerは、介護事業を運営する『さくらCSホールディングスグループ』が実際の介護現場の声を聞きながら改善を繰り返して開発した介護記録ソフトです。上記の8つの機能・4つの特徴で介護現場の業務効率化・生産性向上をしっかりサポート。誰でも簡単に使いこなせる操作性・デザイン性が大きな特徴で、5分で簡単に導入可能です。ICT活用で介護現場の生産性向上・業務効率化を実現しよう!人材不足や業務効率化の課題に対する有効な解決策として、介護現場でのICT化が急速に進められています。新設された「生産性向上推進体制加算」もICT機器の導入・活用を要件としており、今後ICTはこれまで以上に介護現場に欠かせないものとなっていくことが考えられるでしょう。ICT機器の導入はスタッフが働きやすい職場づくりにもつながるため、離職防止・採用力強化の面から見てもICT導入には大きなメリットがあるといえます。『CareViewer』は、介護現場の業務効率化・生産性向上につながるAI・介護記録ソフトです。「実際の画面や使用感を確かめたい」という方のためにデモ環境をご用意していますので、介護現場へのICT導入にお悩みでしたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。