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現場知識を得る
「IADLについて調べているけど、専門用語ばかりで何を意味しているのか分かりづらい…」 「認知症の方のケアに関わるようになったけど、IADLとADLの違いがいまいち理解できていない…」
このような悩みを抱えている方は少なくないでしょう。
IADLとは「手段的日常生活動作」のことで、その正確な理解と評価は、認知症の早期発見や高齢者の自立支援に直結する重要な指標です。
介護施設や医療現場での実践的なIADL評価を身につければ、より質の高いケアを提供できるようになります。
この記事では、介護・医療の現場で働く方や、ご家族の介護に関わる方に向けて、
IADLの基本的な定義と評価項目
IADLとADLの明確な違いと関連性
認知症ケアにおけるIADL評価の実践的活用法
上記について、20年以上の介護現場での経験を持つ介護施設経営者の視点から解説しています。
明日からの介護実践ですぐに活かせる知識が満載ですので、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
IADL(手段的日常生活動作)とADLの定義の違いと、認知症の早期発見における重要性
国際的な標準指標「Lawton(ロートン)尺度」を用いた8つの評価項目と具体的な採点・活用方法
利用者の残存能力(できること)を活かして自立を促し、QOLを高めるための具体的な支援アプローチ
この記事の目次

IADLとは「Instrumental Activities of Daily Living(手段的日常生活動作)」の略称で、買い物や金銭管理など、社会的に自立した生活を送るために必要な活動のことを指します。
IADLの評価は、認知症の早期発見や高齢者の自立度を知る重要な指標となるため、介護の質を大きく左右します。多くの場合、IADLの低下は認知機能の変化を示す初期サインであり、適切な評価を行うことで、必要な支援を早期に開始できるのです。
では、IADLの定義や評価項目、ADLとの違いについて詳しく見ていきましょう。
IADLとは、日常生活を送るうえで必要となる「手段的」な活動のことです。
これらは基本的な身の回りのケア(食事や入浴など)よりも複雑で、認知機能や判断力を必要とする活動に焦点を当てています。
「どうしてこれらの活動が重要なの?」と思われるかもしれません。
IADLは社会生活を送るために必要な能力を反映しており、その低下は認知機能や身体機能の変化を早期に示す重要なサインとなるからです。
IADLの評価で最も広く使用されているのは、Lawtonの8項目です。具体的には以下の活動が含まれます:
電話の使用: 電話番号を調べて電話をかけたり、適切に応答したりする能力を評価します。スマートフォンの操作も含まれることが多いでしょう。
買い物: 必要な食料品や日用品を選び、支払いを行う能力を評価します。単に店舗に行くだけでなく、必要なものを判断する能力も重要です。
食事の準備: 栄養バランスを考えた食事を計画し、調理する能力を評価します。火の管理や調理器具の適切な使用も含まれます。
家事: 掃除や整理整頓など、住環境を適切に維持する能力を評価します。生活空間の衛生状態を保つことができるかがポイントです。
洗濯: 衣類の洗濯、乾燥、アイロンがけなど、衣類の管理能力を評価します。
移動手段の利用: 公共交通機関の利用や運転など、外出するための交通手段を適切に利用できるかを評価します。
服薬管理: 処方された薬を正しい量と時間に服用する能力を評価します。健康管理において特に重要な項目です。
金銭管理: 家計の管理、請求書の支払い、貯金の管理など、お金に関する管理能力を評価します。
これらの項目は0点から満点までの段階で評価され、合計点数で全体的なIADL能力を判断します。
日本の介護現場では、文化的背景を考慮した改変版が使用されることも多く、例えば電話の使用に関しては、「緊急時に助けを呼べるか」という観点での評価が重視される傾向にあります。
IADLの評価は単なる点数化ではなく、その人の生活の質や自立度、必要な支援の内容を明らかにする重要なプロセスなのです。
IADLとADLは混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。
ADL(Activities of Daily Living)は「基本的日常生活動作」を指し、食事、排泄、入浴、着替え、移動、整容といった生命維持に直接関わる基本的な活動です。一方、IADLは先ほど説明した「手段的日常生活動作」で、より複雑で社会生活を営むために必要な活動を指します。
「なぜ両者を区別して評価する必要があるのでしょうか?」
最も重要な理由は、IADLは認知機能低下の初期段階で影響を受けやすく、ADLより早期に低下する傾向があるからです。このため、IADLの評価は早期介入の機会を提供してくれるのです。
IADLとADLの主な違いは以下のとおりです:
必要とされる能力の違い: ADLは主に身体機能に依存する活動であるのに対し、IADLはより高度な認知機能、計画能力、判断力を必要とします。例えば、入浴(ADL)は主に身体動作ですが、金銭管理(IADL)は計算力や判断力が求められます。
低下する順序: 一般的に、機能低下は「IADL→ADL」の順に進行します。つまり、買い物や金銭管理などのIADLができなくなった後に、食事や入浴などのADLにも支障が出てくる傾向があります。
評価の目的の違い: ADLの評価は主に身体介護の必要度を判断するために行われますが、IADLの評価は認知機能低下の早期発見や、社会生活を送るための支援計画立案に役立ちます。
支援の内容の違い: ADLの低下に対しては直接的な身体介護が中心となりますが、IADLの低下に対しては認知機能をサポートする環境調整や、段階的な支援が重要になります。
介護現場では、IADLとADLの両方を評価することで、その人の全体的な生活機能を把握し、適切な支援計画を立てることができます。
例えば、IADLの評価で「金銭管理」と「服薬管理」に低下が見られても、その他の項目が自立している場合、お金の計算を一緒に確認する時間を設けたり、お薬カレンダーを導入したりすることで、その人の自立した生活を支援できるのです。
IADLの評価は単に「できない」ことを見つけるのではなく、「できること」を活かしながら、必要な部分だけを支援する個別ケアの基盤となります。

IADLの評価は認知症ケアの質を大きく左右する重要な要素です。
適切なIADL評価を行うことで、認知機能の低下を早期に発見し、個別性の高い支援計画を立案することができます。
これにより、認知症の方の自立支援と尊厳ある生活の維持につながり、より効果的なケアが実現可能となるのです。
IADLの評価がなぜ重要なのか、具体的にどのように認知症ケアに活かせるのかを詳しく見ていきましょう。
IADLの低下は認知症の初期段階でよく見られるサインです。
認知症の早期発見において、IADLの変化に気づくことは非常に重要な意味を持ちます。
IADLは認知機能と密接に関連しており、特に実行機能や判断力を必要とする複雑な活動(金銭管理や服薬管理など)は、認知機能の低下に敏感に反応する指標となります。
「最近、お母さんが料理の手順を間違えることが増えた」「父が通帳の記入を急に嫌がるようになった」など、日常生活での些細な変化に気づいたことはありませんか?
IADLの低下として特に注目すべき変化には、以下のようなものがあります。
服薬管理の乱れ: 薬の飲み忘れや重複服用が増える、薬の管理ができなくなるといった変化は、記憶力や判断力の低下を示唆しています。
金銭管理の困難: お金の計算ミスが増える、通帳や請求書の管理ができなくなる、不自然な買い物が増えるなどの変化が見られます。
電話の使用の変化: 電話のかけ方を忘れる、メモを取れない、伝言を忘れるといった症状が現れることがあります。
交通手段の利用困難: よく知っている道で迷う、公共交通機関の利用に不安を感じるなどの変化が見られます。
これらの変化は、基本的なADL(食事や入浴など)がまだ自立している段階で現れることが多く、認知症の早期発見の重要な手がかりとなります。
医療・介護の専門家によるLawtonのIADL尺度などを用いた評価では、このような変化を客観的に測定することができます。
IADLの低下は認知症だけでなく、うつ病や身体疾患が原因となることもあるため、変化に気づいたら専門家への相談が望ましいでしょう。
IADLの変化に早期に気づき、適切な支援につなげることで、認知症の進行を遅らせ、本人の生活の質(QOL)を維持することが可能になります。
介護現場でIADL評価を効果的に活用するには、日常生活の中での細やかな観察と適切な記録が不可欠です。
具体的な観察ポイントと記録方法を理解することで、より質の高い認知症ケアを提供することができます。
「何を見れば良いのか分からない」「どう記録すれば他のスタッフと情報共有できるか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
以下に、介護現場で実践できるIADL評価の観察ポイントと記録方法を紹介します。
観察の基本姿勢: 利用者の残存能力を尊重し、「できること」と「支援が必要なこと」を明確に区別することが大切です。できないことだけでなく、できることにも注目して記録しましょう。
客観的な観察ポイント: 電話の使用(番号を調べて自分でかけられるか、応答できるか)、買い物(金額の計算ができるか、必要な物を選べるか)、食事の準備(手順を覚えているか、安全に調理できるか)、家事(掃除や洗濯を計画的に行えるか)、移動手段(バスや電車を利用できるか、道に迷わないか)、服薬管理(薬の種類や飲む時間を理解しているか)、金銭管理(請求書の支払いや預金の管理ができるか)など、具体的な行動レベルで観察します。
段階的な評価: 「全介助が必要」「一部介助が必要」「声かけや見守りが必要」「自立している」のように段階的に評価することで、支援の必要度が明確になります。
変化の記録: 「いつから」「どのような状況で」「どのように変化したか」を具体的に記録します。例えば「2週間前から、買い物の際にお釣りの計算ができなくなり、店員に確認するようになった」というように、時期や状況、変化の内容を具体的に記述します。
記録方法としては、チェックリスト形式やエピソード記録など、施設の状況に応じた方法を選びましょう。
重要なのは、単なる点数評価だけでなく、具体的な状況や本人の感情面も含めた総合的な記録を残すことです。
このような丁寧な観察と記録は、ケアカンファレンスでの情報共有や、ケアプラン作成の貴重な基礎資料となります。
また、継続的な評価により、支援の効果を測定したり、状態の変化を早期に発見したりすることも可能になるでしょう。
IADLを的確に評価し記録することは、認知症の方の尊厳を守り、その人らしい生活を支えるための第一歩なのです。

高齢者や認知症の方のIADL(手段的日常生活動作)を正確に評価するためには、標準化された評価ツールであるLawtonスケールの正しい理解と使用法が不可欠です。
このスケールを適切に活用することで、利用者の「できること」と「支援が必要なこと」を客観的に把握でき、個別性の高いケアプラン作成や自立支援につなげられます。
ここからは、介護やリハビリの現場で実際に役立つLawtonスケールの評価基準と採点方法、そして日本の介護現場での実践例について詳しく解説していきます。
Lawtonスケールは、高齢者のIADLを評価する国際的に認められた標準ツールです。
このスケールでは、電話の使用、買い物、食事の準備、家事、洗濯、移動手段の利用、服薬管理、金銭管理という8つの基本的な項目を評価します。
「認知症の方のIADLをどう評価すればいいのか分からない…」という悩みを持つ介護職の方も多いのではないでしょうか。
Lawtonスケールの採点方法は非常に明確で、各項目は0点(依存)か1点(自立)の2段階、あるいは0〜2点または0〜3点の多段階で評価されます。
具体的な評価基準は以下の通りです。
電話の使用: 自分から電話をかけることができるか、番号を調べて電話をかけられるか、または電話に応答するだけかなどを評価します。自立していれば1点、依存状態であれば0点となります。
買い物: すべての買い物を自力で行えるか、少量の買い物なら可能か、すべての買い物に付き添いが必要かを評価します。完全自立なら1点、依存状態であれば0点です。
食事の準備: 献立を考え、材料を集め、適切に調理して配膳できるかを評価します。自分で計画を立てて調理できれば1点、そうでなければ0点となります。
家事: 掃除や整理整頓など、家事全般を自力で行えるか評価します。日常的な家事を自立して行えれば1点、援助が必要であれば0点です。
洗濯: 自分の衣類を洗濯できるかを評価します。自分でできれば1点、できなければ0点となります。
スケールの満点は女性で8点、男性で5点となるケースが多いですが、文化的背景によって異なる場合があります。
評価時は、実際に行っているかではなく、「行う能力があるか」という視点で判断することが重要です。
例えば、食事準備を家族が担当していても、本人に能力があれば「自立」と評価します。
Lawtonスケールの結果は、数値が高いほど自立度が高いことを示し、利用者の強みと弱みを明確にするために役立ちます。
日本の介護現場では、文化的背景や生活習慣を考慮したIADL評価が重要です。
Lawtonスケールを基本としながらも、日本の高齢者の生活様式に合わせた評価方法や工夫が各現場で実践されています。
「海外の評価基準をそのまま使っても、日本の高齢者の実態に合わないのでは?」と疑問に思う方もいるでしょう。
日本の介護現場での実践例としては、以下のような工夫が見られます。
評価項目の文化的調整: 例えば、「食事の準備」では和食の調理が可能かどうかを具体的に評価したり、「家事」では布団の上げ下ろしができるかといった日本の住環境に適した項目を加えたりします。
性別による偏りへの配慮: 従来のLawtonスケールでは、性別によって評価項目が異なる場合がありました。しかし現代では、男女問わず全項目を評価する方法が主流になっています。例えば、男性でも「食事の準備」や「洗濯」の項目を評価することで、より正確な生活機能の把握が可能になります。
多職種での評価実施: 介護職だけでなく、看護師、作業療法士、ソーシャルワーカーなど多職種でのカンファレンスを通じて評価を行うことで、多角的な視点からIADLを評価できます。グループホームや特養などでは、日常的に利用者と関わる介護職員の観察結果を重視しつつ、専門職の意見も取り入れる方法が効果的です。
継続的な評価の実施: 月1回など定期的に評価を行い、変化を追跡することで、わずかな機能低下も見逃さない体制を構築している施設も増えています。これにより、早期介入の機会を逃さず、重度化予防につなげることができます。
評価結果の見える化: レーダーチャートなどを活用して評価結果を視覚的に表示することで、本人や家族、多職種間での情報共有がスムーズになります。これにより、「できること」と「支援が必要なこと」が一目で分かり、強みを生かしたケアプランの立案が容易になります。
実際の介護現場では、こうした工夫を取り入れることで、単なる点数化ではなく、その人らしい生活を支えるための具体的な支援方法の検討につなげています。
特に認知症ケアでは、IADLの低下パターンを詳細に分析することで、認知機能障害の特性を把握し、残存機能を活かした支援計画の立案が可能になります。
介護記録にIADL評価結果を記載する際は、数値だけでなく具体的な状況や変化も併記することで、ケアの継続性と質の向上に貢献できるでしょう。

IADLを維持・向上させる支援は、高齢者の自立と尊厳を守るためのケアの要となります。
適切な支援アプローチを実践することで、認知症の方でもできる限り自分らしい生活を続けることが可能です。
これから、IADLを効果的に支援する方法として、「できること」を活かした個別ケア計画の立て方と、生活の質を高めるための具体的なサポート方法について解説していきます。
IADLの支援では、「できないこと」を補うだけでなく、「できること」を見つけて活かすことが重要です。
個別ケア計画の立案においては、まず本人の残存能力を丁寧にアセスメントし、その人らしい自立を促す工夫が必要となります。
「この人にはまだできることがあるはず」という視点で観察することで、思いがけない能力に気づくことも少なくありません。
具体的なケア計画立案のポイントは以下のとおりです。
ストレングス視点でのアセスメント: 問題点だけでなく、本人の強みや残存能力に注目しましょう。例えば、金銭管理は難しくても、食事の準備はできる場合があります。すべてのIADL項目を個別に評価し、できる部分を明確にすることが大切です。
段階的な目標設定: 一度にすべてを求めるのではなく、小さな達成可能な目標から始めます。例えば、「一人で買い物に行く」という目標の前に、「買い物リストを一緒に作る」という段階を設けるなど、成功体験を積み重ねられるように工夫しましょう。
環境調整と補助具の活用: 環境を整えることで、IADLの遂行がしやすくなります。例えば、服薬管理が難しい方には、一週間分の薬をケースに分けておく、スマートフォンのアラーム機能を活用するなどの工夫が効果的です。
本人の好みや生活史の反映: これまでの生活習慣や価値観を尊重したケア計画を立てることで、意欲を引き出せます。「前は料理が得意だった」という情報があれば、簡単な調理から再挑戦してもらうなど、生きがいにつながる支援を考えましょう。
「自分でできないと思っていたことができた」という体験は、高齢者の自信回復と意欲向上に大きく貢献します。
また、支援者側も「すべてを手伝わなければ」という思い込みから解放され、相手の力を引き出す喜びを感じられるようになるでしょう。
個別ケア計画は定期的に見直し、状態の変化に応じて柔軟に調整することが、効果的な支援の鍵となります。
IADLへの支援は単なる機能回復ではなく、その人らしい豊かな生活を実現するための手段です。
ここでは、IADLの各項目に対する具体的なサポート方法をご紹介します。
これらの方法は、認知症の方だけでなく、さまざまな理由でIADLに困難を抱える高齢者の生活の質向上に役立つでしょう。
IADL項目ごとの効果的なサポート方法は以下のとおりです。
電話の使用: 連絡先リストをわかりやすく大きな文字で作成し、電話機の近くに貼っておきます。シンプルな大型ボタンの電話機への変更や、よく使う連絡先をワンタッチで呼び出せるよう設定するのも効果的です。「いつも電話で話す相手の写真を飾っておくと、電話をかけるきっかけになるかもしれない」と考えてみてはいかがでしょうか。
買い物: 買い物リストの作成をサポートし、よく買う品物の写真付きリストを準備します。慣れた近所の小さな店から始め、店員さんにも協力を依頼すると安心です。初めは同行し、徐々に見守る形に移行していくのがポイントです。
食事の準備: 調理手順をイラスト付きで示したレシピカードを用意します。電子レンジや炊飯器など、安全な調理器具の使用から始め、徐々に範囲を広げていきましょう。料理教室など、集団で楽しく学べる機会を活用するのも一案です。
服薬管理: 一週間分の薬をケースに分け、飲む時間ごとに色分けしておきます。服薬カレンダーを使用したり、スマートフォンのアプリでリマインダーを設定することも有効です。薬の効果や重要性を丁寧に説明し、管理の意欲を高めることも大切でしょう。
金銭管理: シンプルな家計簿をつけるサポートをしたり、一定額だけを財布に入れて管理してもらう方法が有効です。必要に応じて、見守り機能付きのキャッシュカードや家族信託制度の活用も検討しましょう。
「何でも手伝ってあげたい」という思いから、必要以上の介助をしてしまうことは、かえって相手の能力低下を招きます。
必要最小限の支援を心がけ、「見守る勇気」を持つことが、IADLの維持・向上には欠かせません。
また、定期的な評価を行い、できることが増えていることを本人と共に喜び合うことで、次へのモチベーションにつなげていくことが大切です。

IADLについて抱かれるさまざまな疑問にお答えします。
介護・医療の現場では、IADLに関連する疑問が数多く寄せられています。これらの質問に適切に答えることで、より良いケアの実践につなげることができるでしょう。
以下では、IADLに関する代表的な疑問について、現場で役立つ情報を交えながら解説していきます。
IADLが低下する主な原因は、認知機能の低下、身体機能の衰え、精神・心理的要因の3つに大きく分類されます。
認知機能の低下は、IADLの中でも特に複雑な判断や処理が必要な活動(金銭管理や服薬管理など)に影響を与えることが多いです。認知症の初期段階では、基本的なADLが保たれていても、IADLにはすでに支障が出ていることがよくあります。例えば、料理の手順が分からなくなる、通帳の記帳ができなくなるといった変化が見られることがあるでしょう。
「最近、利用者さんが薬の飲み忘れが増えたけれど、これは何か認知機能の変化があるのかしら…」と感じることもあるかもしれません。
身体機能の衰えも、IADLの低下に直結します。筋力低下や関節の硬さ、バランス感覚の悪化などにより、買い物や掃除といった活動が困難になることがあります。特に高齢者の場合、フレイル(虚弱)の進行によって、活動量が減少し、IADLの低下が加速することも少なくありません。
精神・心理的要因としては、うつ状態や意欲の低下が挙げられます。気分の落ち込みや無気力状態によって、これまでできていた家事や外出などの活動に取り組む意欲が減退することがあります。長期間の社会的孤立も、IADLの低下を招く要因となります。
また、環境的な要因も見逃せません。以下のような状況がIADLの低下に関与することがあります。
居住環境の変化: 引っ越しや施設入所などで生活環境が変わると、新しい環境での買い物や移動手段の利用に適応できず、IADLが一時的に低下することがあります。
社会的サポートの不足: 家族や友人など、支援してくれる人の不在は、IADLの維持を困難にする要因となります。特に独居高齢者では、この影響が顕著に表れることがあります。
生活習慣の変化: 配偶者との死別などによる生活習慣の大きな変化も、IADLに影響を与えることがあります。特に、亡くなった配偶者が担当していた家事などのIADL項目が困難になるケースが見られます。
IADLの低下は単一の原因ではなく、複数の要因が組み合わさって生じることが多いため、総合的な評価と対応が重要です。
IADLの評価結果をケアプランに反映させる際は、「できること」を活かしながら「困難なこと」を適切に支援する視点が重要です。
まず、IADLの評価結果を詳細に分析しましょう。Lawtonのスケールなどを用いて、8つの項目(電話の使用、買い物、食事の準備、家事、洗濯、移動手段の利用、服薬管理、金銭管理)それぞれの自立度を把握します。項目ごとの細かな評価が、効果的なケアプランの基盤となります。
「全てを支援するのではなく、できることは自分でやっていただく。それがその人の尊厳を守ることにつながるんだ」と考えることが大切です。
次に、IADLの評価結果を以下の視点からケアプランに反映させていきます。
残存能力の活用: 完全に自立している項目や、一部介助があればできる項目については、その能力を維持・向上させるための支援を計画に盛り込みます。例えば、料理の一部の工程だけを支援し、できる部分は自分で行ってもらうなどの工夫が考えられます。
優先順位の設定: 全ての項目を同時に支援することは難しいため、本人の希望や生活上の重要度を考慮して優先順位をつけます。特に服薬管理や金銭管理など、生活の安全や安定に直結する項目は優先的に対応しましょう。
環境調整の検討: IADLの低下が環境要因に起因する場合は、環境の調整や福祉用具の導入を検討します。例えば、電子レンジの使い方が複雑で食事準備が困難な場合は、シンプルな操作のものに変更するなどの対応が有効です。
多職種連携の活用: IADLの支援には、介護職だけでなく、看護師、作業療法士、ケアマネジャーなど多職種の視点が重要です。それぞれの専門性を活かした総合的な支援計画を立てましょう。
さらに、定期的な再評価を計画に組み込むことも重要です。IADLの状態は変化するものであり、3か月ごとなど定期的に再評価を行い、支援内容を調整していくことが効果的です。
具体的なケアプランへの記載例としては、以下のような方法があります。
ニーズの明確化: 「買い物に行くことが困難」「服薬管理ができない」など、IADLの評価から導き出されたニーズを明確に記載
長期目標と短期目標の設定: 長期目標として「6ヶ月後には買い物を付き添いで行えるようになる」、短期目標として「2ヶ月後には買い物リストを自分で作成できる」など、段階的な目標設定
具体的な支援内容: 「週2回、ヘルパーと一緒に買い物に行く」「一週間分の薬をカレンダー式のケースにセットする支援を行う」など、具体的な支援方法を記載
IADLの評価結果をケアプランに反映させることで、その人らしい生活を支援する個別性の高いケアが実現します。

今回は、介護現場で専門用語の理解に悩む新人スタッフや、より質の高いケアを提供したいと考える介護専門職の方に向けて、
IADLの定義と8つの評価項目
IADLとADLの違いと認知症ケアとの関連性
効果的なIADL評価方法と支援アプローチ
上記について、介護現場25年の経験から得た知見を交えながらお話してきました。
IADLの正確な理解と評価は、認知症ケアの質を高める第一歩です。
「できること」と「支援が必要なこと」を明確にすることで、利用者様の尊厳を守りながら適切な支援が可能になります。
明日からの介護記録やカンファレンスでIADLの視点を取り入れることで、認知症の早期発見や個別性の高い支援計画につながるでしょう。
利用者様の生活の質向上と自立支援に直結する大切な視点です。
ぜひLawtonスケールを活用したIADL評価を実践し、その結果をケアプランに反映させてみてください。
きっと新たな気づきがあり、あなたのケアに対する自信にもつながるはずです。

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中元 秀昭
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