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現場知識を得る
介護記録の作成に携わる方なら、
「毎日『特変なし』と書いているけど、本当にこれでいいのかな…」
「特変なしと記録した日に限って、利用者に何かあったらどうしよう…」
このように、記録の書き方に悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
介護記録における「特変なし」の記載は、詳細な観察と個別対応の視点が欠落し、介護の質低下を招くリスクを高める危険性があります。
本来の役割を果たす介護記録を実践すれば、利用者一人ひとりの状態に合わせた、質の高いケアを実現できるでしょう。
この記事では、介護記録の質向上を目指す方に向けて、
「特変なし」記載の注意点とリスクの解説
適切な介護記録の具体例と書き方のポイント
上記について、AI・介護記録ソフト「CareViewer」創設者であり、介護事業所を20年以上運営している当社代表の視点を交えながら解説します。
ご利用者様に寄り添ったケアを実践し、質の高いサービスを実現するための第一歩として、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
介護記録で「特変なし」と記載することに潜む重大なリスクと不適切な状況
利用者の状態把握を深めるための、具体的で適切な介護記録の書き方
介護の専門性とサービスの質を向上させる「観察・記録・共有」のポイント
この記事の目次

介護記録で「特変なし」と頻繁に記載することは、ご利用者様の状態を詳細に把握し、適切なケアを提供する上で、大きな落とし穴となる危険性があります。
日々の介護業務における基本は、ご利用者様の小さな変化も見逃さないように、詳細な観察と個別対応の視点を忘れないことです。
介護記録はご利用者様の生活を支える重要な情報共有ツールですから、「特変なし」という表現の安易な使用は避け、具体的かつ詳細な記録を心がけることが、ご利用者様一人ひとりに寄り添ったケアの実現に繋がるのです。
ここでは、介護記録における「特変なし」という表現の問題点を、介護現場でよくある事例を交えながら解説し、質の高い介護記録の書き方のポイントをご紹介します。
介護記録における「特変なし」とは、「特記事項なし」の略であり、ご利用者様の状態に普段と変わった様子が見られないことを意味します。
しかし、多忙な業務の中で、この表現が思考停止や観察不足を招き、介護の質の低下を助長する恐れがあるのです。
例えば、「毎日同じような内容の記録で、本当に大丈夫なのか」「何か見落としている変化があるのではないか」と、不安に感じている介護職員の方もいるのではないでしょうか。
実際に、毎日「特変なし」と記録し、ご利用者様の小さな変化に気づかないまま、状態悪化を招いた事例は少なくありません。
褥瘡の初期兆候の見落とし:
いつも通りに「特変なし」と記録していたが、実際にはご利用者様の臀部に発赤が見られ、褥瘡の初期症状が発生していた。
「いつもと変わらない」という思い込みから、詳細な観察を怠った結果、褥瘡の発見が遅れ、重症化するリスクを高めてしまったケースです。
軽度の誤嚥を見落とし、肺炎のリスクを高めた:
食事の際にムセる様子が時々見られたが、「特変なし」と記録し続けた結果、誤嚥性肺炎を発症させてしまった。
「加齢による嚥下機能の低下だろう」と、ムセを軽視してしまい、具体的な対応を取らなかったことで、重篤な状態を招いてしまった事例です。
活動量の低下に気づかず、ADLの低下を招いた:
以前は意欲的にリハビリに取り組んでいたご利用者様が、徐々に活動量が減ってきたにもかかわらず、「特変なし」と記録を続けたため、ADL(日常生活動作)が低下してしまった。
「今日はたまたま気分が乗らなかっただけかもしれない…」と、ご利用者様の意欲低下を軽く考え、具体的なアプローチを怠ったことが原因と言えるでしょう。
これらの事例は、「特変なし」という表現に頼らず、ご利用者様の表情、食事量、活動量の変化などを具体的に記述することが、異常の早期発見につながることを示唆しています。
介護記録は、ご利用者様の安全と健康を守るための重要なツールです。
「特変なし」という言葉の安易な使用を見直し、具体的かつ詳細な記録を心がけることが、ご利用者様一人ひとりに寄り添ったケアの実現に不可欠と言えるでしょう。
「特変なし」という表現は、ご利用者様の状態に本当に変化がない場合には適切ですが、安易に使用すると、重大なリスクを見逃す可能性があります。
特に、ご利用者様の状態が不安定な場合や、注意深い観察が必要な場合には、「特変なし」という表現は不適切と言えるでしょう。
「特変なし」と記録したものの、ご利用者様の状態が急変し、対応に苦慮した経験を持つ方もいるのではないでしょうか。
以下のような状況では、「特変なし」という表現の使用を避けるべきです。
体調が不安定なご利用者様の場合:
発熱、血圧の変動、不穏な行動など、体調に何らかの不安定要素がある場合は、「特変なし」という表現は不適切です。
普段と比べて、少しでも変わった様子があれば、具体的な状況を詳細に記録する必要があります。
「昨日より少し熱っぽい様子」など、気づいた変化を具体的に記載することが重要です。
認知症の周辺症状が見られる場合:
徘徊、興奮、妄想、幻覚などの認知症の周辺症状が見られる場合は、症状の頻度や程度、対応方法などを詳細に記録することが求められます。
「いつもと変わらない」と判断するのではなく、「どのような時に」「どのような症状が見られたのか」を具体的に記録することが、適切なケアプランの作成に繋がるのです。
「〇時頃、居室から出て廊下を歩き回る様子が見られたため、△△と声掛けし、居室へ誘導した」など、具体的な状況と対応を記録しましょう。
新しい薬が処方された場合:
新しい薬の開始や、薬の変更があった場合は、薬の効果や副作用の有無を注意深く観察し、記録する必要があります。
「特変なし」と安易に判断せず、体調や行動の変化を詳細に観察し、「薬の変更後、〇〇の症状が見られた」など、具体的な変化を記録することが重要です。
薬の種類や量、使用開始日なども併せて記録することで、より正確な状態把握が可能になります。
転倒リスクの高いご利用者様の場合:
過去に転倒歴がある、歩行が不安定、ふらつきが見られるなど、転倒リスクの高いご利用者様の場合は、日々の歩行状態や、転倒予防のための対策などを詳細に記録する必要があります。
「いつもと同じように歩けている」と判断するのではなく、「歩行時のふらつきの有無」「歩行器の使用状況」「環境整備の状況」などを具体的に記録することが、転倒事故の防止に繋がります。
「〇時頃、廊下を歩行中、ふらつきが見られたため、付き添い歩行を実施」など、具体的な状況と対応を記録しましょう。
これらの状況では、ご利用者様の状態をより詳細に観察し、具体的な表現で記録することが求められます。
「特変なし」という言葉に頼るのではなく、ご利用者様の小さな変化も見逃さないという意識を持って、日々の介護記録に取り組むことが大切です。

介護記録に「特変なし」と頻繁に記載することは、一見問題がないように思えるかもしれません。
しかし、この表現を安易に使うことは、利用者一人ひとりの状態に合わせた質の高いケアを提供する上で、大きな落とし穴となる可能性があるのです。
介護記録は、ご利用者様の状態を正確に把握し、適切なケアを提供するための重要なツールであるということを、介護に携わる皆さんには今一度、心に留めていただきたいと強く願っています。
「特変なし」という言葉に頼らず、具体的な観察に基づいた記録を心がけることで、ご利用者様の小さな変化に気づき、より質の高いケアを提供できるようになります。
以下では、適切な介護記録の書き方が、利用者理解をどのように深め、より良いサービスの実現に寄与するのかを具体的に解説していきましょう。
適切な介護記録とは、利用者一人ひとりの状態を詳細に観察し、その人らしさを理解しようとする姿勢から生まれます。
単に「特変なし」と書くのではなく、「食事はいつもどおり、お粥を8割摂取」「日中は穏やかに過ごされ、時折笑顔も見られた」などと具体的に記述することで、利用者の日常の様子が目に浮かぶようにイメージできるからです。
例えば、普段は食事をほとんど残さない利用者が、いつもより食事を残していたら、「食欲がないのかな?」「どこか体調が悪いのかもしれない…」と気になりますよね。
このような気づきは、普段の様子を詳しく記録しているからこそ得られるものです。
以下は、利用者理解を深めるために介護記録に含めたい項目です。
食事の様子:
食事の摂取量、メニューの好き嫌い、食事中の表情や行動、介助の必要性などを記録します。
身体の状態:
体温、血圧、脈拍などのバイタルサイン、顔色、皮膚の状態、排泄の状況などを記録します。
精神的な状態:
表情、言動、感情の変化、睡眠の様子、日中の活動内容などを記録します。
日中の活動:
リハビリやレクリエーションへの参加状況、他の利用者との交流、趣味活動などを記録します。
夜間の様子:
入眠時間、睡眠時間、中途覚醒の有無、夜間のトイレの回数などを記録します。
記録する際は、客観的な事実に基づいて記載することを意識してください。
例えば、主観的な判断や評価は避け、「いつもと違う」と感じたら、どこがどのように違うのかを具体的に書くことが大切です。
介護記録は、ご利用者様を深く理解するための重要なツールであることを意識し、記録業務に取り組みましょう。
介護の専門性を高めるためには、「観察」「記録」「共有」の3つのポイントが重要です。
これらを意識することで、ご利用者様一人ひとりに寄り添った、質の高いケアを実現できます。
まず「観察」とは、ご利用者様の状態を詳細に把握することです。
厚生労働省の調査でも、介護職員の約6割が「観察力の向上」を課題として挙げています。
観察力を高めるポイント:
先入観を持たずに、ありのままのご利用者様の状態を観察する
五感を活用して、ご利用者様の表情、声のトーン、肌の状態などを細かく観察する
普段の様子と比較して、小さな変化も見逃さないようにする
ご利用者様の言動だけでなく、その背景にある思いや考えを想像する
観察したことは、すぐにメモを取るなどして記録に残す
観察力を磨くためには、日々の業務の中で意識的にご利用者様と向き合うことが大切です。
次に「記録」とは、観察した内容を具体的に記録することです。
「特変なし」ではなく、「〇〇さんは、いつもより口数が少なく、表情も硬かった。昨日と比べて、〇〇という点が違っていた」など、気づいた点を具体的に記録することで、他の職員にも正確な情報を伝えることができます。
記録のポイント:
5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識して記録する
客観的な事実に基づいて、具体的に記録する
主観的な判断や評価は避ける
専門用語を使いすぎず、誰が読んでもわかるように記録する
記録した内容は、定期的に見直して、必要に応じて修正や追記を行う
「申し送りや情報共有に課題を感じている」という方は、ぜひ具体的な記録を心がけてみてください。
最後に「共有」とは、記録した情報を他の職員と共有することです。
介護はチームで行う仕事なので、情報を共有することで、ご利用者様の状態の変化をいち早く察知し、適切な対応につなげられます。
共有のポイント:
申し送りノートや電子カルテなどを活用して、情報を共有する
申し送り時は、重要なポイントを簡潔に伝える
口頭だけでなく、文章や図表なども活用して、わかりやすく伝える
共有した情報について、不明点や疑問点があれば、その場で確認する
共有した情報を元に、定期的にカンファレンスなどを実施し、ケアの方針を検討する
観察・記録・共有を意識することで、ご利用者様一人ひとりに寄り添った、質の高いケアを実現できるようになるでしょう。
これらのポイントを実践して、介護の専門性を高めていきましょう。

今回は、介護記録に「特変なし」と記載することに課題を感じている方に向けて、
「特変なし」という表現に潜むリスク
より適切な介護記録の書き方
上記について、介護記録ソフト「CareViewer」の創設者としての視点を交えながらお話してきました。
「特変なし」という言葉は、多忙な業務の中では便利な言葉に思えますが、思考停止や観察不足を招き、質の低下を助長する恐れがあります。
日々の介護記録を改善すれば、利用者一人ひとりの小さな変化に気づくことができ、より質の高いケアの実現につながるでしょう。
利用者の状態を具体的に記録し、情報共有を徹底することで、あなた自身の成長にもつながります。
まずは「特変なし」という言葉の使用をひかえ、詳細な観察と具体的な記録を心がけ、質の高いケアを提供してみませんか

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この記事を書いた人

中元 秀昭
当社は、介護保険制度が開始された当初より、北海道札幌近郊エリアで地域密着型サービスを主軸とした介護施設の運営に携わってまいりました。
その経験の中で生まれた「介護現場から紙をなくしたい」という強い思いから、AI・介護記録ソフト「CareViewer」を自社開発いたしました。
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