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紙の支援記録をExcelへ移したいものの、「どの項目を列にすればよいか」「複数職員で安全に共有できるか」と迷う事業所は少なくありません。
Excelは身近で柔軟に変更でき、支援記録の電子化を小さく始める方法です。一方、ファイルの複製、同時編集、誤削除、閲覧権限など、紙とは異なる課題もあります。
この記事のフォルダには、基本15項目、プルダウン、確認状況を備えた 支援記録テンプレート.xlsx を用意しました。全国共通の法定様式ではないため、自事業所に適用される指定基準や自治体条例に合わせて調整してください。
私たちCareViewerは、様式だけでなく、誰が記入し、誰が確認し、どこへ保存し、支援へどう活かすかまで設計することが重要だと考えています。
ここでは、Excelテンプレートの使い方、入力しやすい設定、複数職員で共有する際の注意点、記録ソフトへ移行する判断基準を解説します。
この記事の目次

添付したExcelファイルは、障害福祉事業所が現在の記録項目を整理するための汎用ひな形です。そのまま使う前に、サービス種別、個別支援計画、自治体の運用、加算に必要な記録を確認してください。まずシート構成と入力の流れを見ていきます。
支援記録テンプレート.xlsx には、次の3シートがあります。
支援記録: 日々の入力に使用する一覧
使い方: 記入の流れ、個人情報、同時編集などの注意
設定: プルダウン候補を保存する非表示シート
支援記録シートには次の15項目を用意しました。
1. サービス提供日
2. 開始時刻
3. 終了時刻
4. 利用者名
5. 場所
6. 支援担当者
7. 記録者
8. 利用者の状態・本人の言葉
9. 実施した支援
10. 利用者の反応・結果
11. 評価・気づき
12. 申し送り・次回対応
13. 個別支援計画の関連目標
14. 確認者
15. 確認状況
日時、利用者、記録者、状態、支援、反応を基本項目として薄緑で示しています。場所と確認状況にはプルダウンを設定し、「差戻し」を選ぶと確認状況のセルが薄黄になります。先頭行を固定し、101行目までフィルターを設定しているため、利用者や日付で絞り込めます。
この項目数がすべての事業所に最適とは限りません。不要な項目を残すと空欄や定型文が増えます。反対に、サービス種別や加算で必要な項目がある場合は追加してください。
支援記録の登録・確認に使える、編集可能なExcelテンプレートです。
「テンプレート」「記入例」「使い方」の3シートを収録しています。
※事業所の運用、個別の支援方針、最新の指示に合わせて調整してください。
入力は「状態→支援→反応→評価→次回対応」の順で行うと、支援前後のつながりを確認しやすくなります。
たとえば就労継続支援B型で、利用者さんが作業開始をためらった場面は次のように記録できます。
状態・本人の言葉: 9時30分、作業席の前で立ち止まり着席せず。「細かい作業は疲れそう。箱運びならできる」と発言
実施した支援: 写真付きの作業一覧から、箱運びとタオルたたみを示して希望を確認
反応・結果: 箱の写真を指さし、職員と5箱を運んだ後、一人で10箱を運搬。ふらつきなし
評価・気づき: 作業全般の拒否ではなく、当日の状態に合う作業を選びたい意向があると考えられる
申し送り: 次回も開始前に選択肢を提示。疲れの訴えが続く場合はサビ管へ共有
「声かけした」「作業した」だけで終わらず、何を見て、どのように支援し、本人がどう反応したかを残します。評価は観察事実を根拠にし、本人の内面や病名を断定しません。
一つの行に情報を詰め込みすぎると読みにくくなります。一日に複数の重要な出来事があった場合は、同じ利用者・日付で行を分け、時間を記載する方法もあります。事業所で統一してください。
Excelの列を変更する前に、現在使っている帳票とルールを集めます。次の三つに分類すると整理しやすくなります。
1. 法令・請求・加算・自治体運用上必要な項目
2. 個別支援計画、申し送り、モニタリングに使う項目
3. 使い道が不明なまま慣例で残っている項目
厚生労働省の指定障害福祉サービス運営基準では、たとえば居宅介護について、サービス提供日、内容その他必要な事項を提供の都度記録することが定められています。サービス種別ごとの個別条文・準用規定や、自治体条例も確認します。
Excelファイルを「全国共通の様式」として配布するのではなく、自事業所で必要事項を確認するためのたたき台として使ってください。変更後は、管理者、サビ管・児発管、実際に入力する職員で確認します。
また、列を削除・追加した履歴と変更日を残します。年度途中に様式を変更した場合、過去記録と新しい記録の項目が異なることを説明できるようにしておきましょう。

Excelの強みは、入力規則、フィルター、条件付き書式、関数などを使い、入力と確認を補助できることです。ただし、複雑なマクロや数式を増やすと、修正できる人が限られます。誰が保守するかを考え、必要な機能へ絞りましょう。
表記が決まっている項目は、プルダウンにすると入力のばらつきを減らせます。添付ファイルでは、場所と確認状況に設定しています。
プルダウンに向く項目の例です。
場所
支援区分
勤務帯
確認状況
個別支援計画の目標番号
申し送りの要否
一方、利用者の状態、本人の言葉、具体的な支援、反応は、選択肢だけでは個別性が失われます。よく使う区分を選んだ後、自由記述で補える構成にします。
フィルターは、利用者、日付、記録者、確認状況で記録を探す際に便利です。見出し行を固定すると、下へスクロールしても列の意味を確認できます。入力中に行や列の並べ替えを行うとデータがずれる場合があるため、並べ替えを行う担当者と手順を決めましょう。
入力規則は誤入力を完全に防ぐものではありません。候補の更新、コピー貼り付けによる規則の上書き、行追加時の設定漏れを定期的に点検してください。
すべてを必須にすると、変化がない日にも長い定型文が並びます。基本的に必要な項目と、状況に応じて記載する項目を分けましょう。
基本項目の例は、提供日、利用者、記録者、状態、支援、反応です。評価・気づき、申し送り、家族連絡、別途報告書などは、変化や判断があった場面で使用する運用が考えられます。
色で必須項目を示す場合は、色だけに頼らず、「必須」「任意」などの説明を使い方シートにも書きます。印刷時や色覚の違いによって、色の意味が伝わらない場合があるためです。
自由記述欄には、次の問いを列名や入力マニュアルに添えると、必要な内容を思い出しやすくなります。
状態: 本人は何と話し、何をしていたか
支援: 職員は何を、なぜ、どのように行ったか
反応: 支援後に何が変わったか
評価: 事実から支援上どう考えたか
申し送り: 誰が、いつ、何をするか
文章量ではなく、次の職員が状況を理解し、行動できるかを基準にします。
Excelを一覧形式にすると検索・集計しやすい反面、自由記述が多いと横に長くなり、印刷しにくくなります。入力用一覧と印刷用帳票を分ける方法がありますが、数式や参照が増えるため保守担当を決めます。
印刷する場合は、次を確認してください。
印刷範囲と改ページ
見出し行の各ページへの繰り返し
利用者名などが不要なページへ出ないか
文字が小さくなりすぎないか
出力物の回収・廃棄ルール
検索や集計は、日付を文字列ではなく日付形式で入力し、利用者名の表記を統一することが前提です。氏名の誤入力を防ぐため、利用者マスターから選択する方法もありますが、ファイル内に全利用者名を保持するため、閲覧権限に注意します。
件数や区分の集計は業務改善に使えますが、自由記述の内容を単純な数値だけで評価しないでください。記録は利用者さんの支援を理解するための情報であり、職員評価のためだけに使うと記載行動がゆがむおそれがあります。

Excel運用で起きやすいのが、「どのファイルが正本か分からない」「別の職員の入力を上書きした」「誰が修正したか追えない」という問題です。共有フォルダに置くだけで解決するとは限りません。正本、権限、バックアップを一体で決めます。
最初に、正式な記録として扱うファイルの保存先を一つに決めます。各端末のデスクトップやメール添付で複製したファイルを編集しないようにします。
ファイル名には、年度、事業所、対象範囲、版を含めると見分けやすくなります。例として 2026年度_支援記録_○○事業所.xlsx のようにします。ただし、毎日別ファイルへ保存すると正本が増えるため、更新単位を決めてください。
クラウドストレージ上のExcelは同時編集できる場合がありますが、利用するサービス、ファイル形式、アプリのバージョン、権限設定によって挙動が異なります。実際の端末で、同時入力、オフライン時、競合時、復元方法をテストします。
同時編集を使わない場合は、入力時間帯や担当利用者を分ける、ファイルを開く前にチャットで宣言するなどのルールが必要です。利用者ごとにファイルを分けると競合は減りますが、検索・集計・バックアップ対象が増えるというトレードオフがあります。
支援記録には、障害や健康状態、家族状況などの個人情報が含まれます。個人情報保護委員会のガイドラインでは、個人データの漏えい、滅失、毀損を防ぐため、必要かつ適切な安全管理措置を求めています。
確認したい項目は次のとおりです。
閲覧・編集できる職員
共有リンクの範囲
退職・異動時の権限削除
端末のログイン、画面ロック、持ち出し
私物端末への保存禁止
メールや個人向けチャットへの添付禁止
印刷物とUSBメモリの管理
Excelのファイルパスワードだけで安全管理が完了するわけではありません。パスワードの共有方法、変更、紛失時の対応、バックアップにも同じ配慮が必要です。
アクセス権限は「全職員が見られる」「管理者だけが見られる」の二択ではなく、支援に必要な範囲を考えます。クラウドサービスを使う場合は、法人契約、管理者設定、監査ログ、データ保存地域、障害時の対応なども確認してください。
Excelファイルが一つだけでは、誤削除、破損、ランサムウェア、端末故障などに備えられません。バックアップの頻度、保存先、復元担当、復元テストを決めます。
バックアップは、元ファイルと同じ端末・同じ共有フォルダだけに置くと、同時に失う可能性があります。法人の情報セキュリティ方針に沿って、別の管理領域や世代管理を検討します。
クラウドストレージのバージョン履歴が使える場合も、保持期間や復元方法を確認してください。誰がいつどのセルを変えたかまで記録できるとは限りません。重要な修正は、修正理由、修正者、修正日を別欄や運用記録に残します。
少なくとも月に一度は、バックアップからファイルを開けるか確認します。作成しているつもりでも、同期停止や容量不足で更新されていないことがあります。保存年限はサービス種別と自治体条例を確認し、期間中に読み出せる形式を維持してください。

Excelは柔軟で始めやすい一方、利用者・職員・拠点が増えるほど、権限、同時編集、検索、変更履歴の管理が複雑になります。Excelを続けるか記録ソフトへ移行するかは、費用だけでなく、記録全体の運用負担で判断しましょう。
Excelが向きやすいのは、利用者・入力者が少ない、入力端末が限られる、記録項目が比較的単純、ファイル管理担当者がいる、という状況です。新しい様式を短期間試す用途にも向きます。
次の状態が増えたら、運用見直しのサインです。
同じ情報を複数ファイルへ転記している
最新ファイルを探す時間が増えた
同時編集の競合や上書きが起きる
利用者別の過去記録を探しにくい
管理者の確認状況を把握しにくい
拠点・職種ごとに閲覧権限を分けたい
個別支援計画や実績との連携が必要
変更履歴や操作ログを確認したい
Excelを使い続けること自体が問題ではありません。リスクを把握し、管理できているかが重要です。小規模でも、ファイル管理に長い時間がかかるなら、記録ソフトの費用と比較する価値があります。
記録ソフトへ移行するとき、既存Excelの列をすべてそのまま再現すると、不要な項目と転記まで持ち込んでしまいます。移行前に、必須、支援に活用、慣例の三つへ分けます。
次に、データを整えます。
利用者名・職員名の表記ゆれを統一
日付・時刻を正しい形式へ変換
一つのセルに複数項目が混在していないか確認
重複行と空白行を確認
不要な個人情報を整理
移行対象期間を決定
元ファイルの保管方法を決定
記録ソフト側が取り込める形式、項目、文字数、添付ファイル、過去データの扱いは製品ごとに異なります。デモや相談時に、サンプルデータを匿名化して確認しましょう。
移行後も、Excelを並行して長期間使うと二重入力が残ります。テスト期間、切替日、正本、旧ファイルの閲覧方法を決めます。
CareViewer challengeの支援記録登録機能は、スマートフォン、タブレット、PCから記録を入力し、クラウド上で共有できる仕組みです。音声入力にも対応しています。
Excelから移行を検討するときは、機能の数だけでなく、次を確認してください。
1. 現場の端末で入力しやすいか
2. 利用者別・日付別に記録を探せるか
3. 申し送りと確認の流れを作れるか
4. 権限とアカウントを管理できるか
5. データを必要な形式で出力できるか
6. 導入・運用サポートがあるか
まず、現在のExcelで最も困っている作業を三つ選びます。「入力時間」「過去記録の検索」「確認状況」など、改善したい基準を決めて試用すると比較しやすくなります。
デジタル化の目的は、Excelをやめることではありません。記録に使う時間とリスクを抑え、利用者さんへの支援とチームの判断に情報を戻すことです。

Excelは支援記録の電子化を小さく始める方法です。プルダウン、フィルター、必須項目の色分けを使えば入力をそろえやすくなります。
一方、正本、同時編集、閲覧権限、バックアップ、変更履歴を決めなければ、複製や誤削除のリスクが残ります。添付の 支援記録テンプレート.xlsx は、事業所の様式を検討するたたき台として利用してください。
利用者数や拠点数が増え、同時入力、細かな権限、計画との連携が必要になったら、CareViewer challengeのような記録ソフトも比較しましょう。

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この記事を書いた人

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当社は、介護保険制度が開始された当初より、北海道札幌近郊エリアで地域密着型サービスを主軸とした介護施設の運営に携わってまいりました。
その経験の中で生まれた「介護現場から紙をなくしたい」という強い思いから、AI・介護記録ソフト「CareViewer」を自社開発いたしました。
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