公開日:2026/9/10

更新日:

2026/9/10

グループホーム加算一覧【2026年度】単位数と要件・届出を解説

グループホーム加算一覧【2026年度】単位数と要件・届出を解説

2ユニット18名のグループホームで、加算の全体像を掴みたいと考えている管理者の方なら、

「満床なのに利益が出ていない、加算は全部取れているのだろうか」

「一覧を探しても、介護保険と障害福祉の記事が混ざっていて分からない」

このような戸惑いを抱えていらっしゃるかもしれませんね。

グループホームの加算一覧は、まず制度の切り分けから始まります。

「介護保険の認知症対応型共同生活介護」と「障害福祉の共同生活援助」では、要件も単位数もまったく別物なのです。

本記事は前者を対象に、加算・減算の全項目を単位数・要件・届出要否まで一覧化いたしました。

自所の指定通知書を手元に置いて一覧を上から照らせば、次に取りに行く加算がその場で決まります。

日単位の加算は「単位数×地域単価×人数×日数」で年額に換算でき、定員18名なら経営会議に出せる数字が今日中に作れるでしょう。

この記事では、自事業所の加算を漏れなく棚卸ししたい管理者や請求事務の方に向けて、

  • 認知症対応型共同生活介護と共同生活援助の見分け方

  • 2026年度版の加算一覧と単位数・届出要否

  • 令和8年度改定で動いた処遇改善加算のポイント

  • 減算一覧と返還を防ぐ記録・証跡の残し方

  • 体制届の提出時期と収益に変える手順

上記について、介護現場のICT化を20年以上支援してきた筆者の視点を交えながら解説しています。

加算一覧は知識ではなく、経営判断の材料である。

制度を切り分け、要件・届出・記録の三点で自所を照らせば、「算定済み」「未届出」「要件未達」がはっきりと見えてきます。

次の体制届に間に合わせるためにも、ぜひ参考にして、まずは一覧に印をつけるところから始めてみてください。

この記事は「介護保険のグループホーム(認知症対応型共同生活介護)」を対象としています。

自所がどちらの制度か分からない場合は、指定通知書の「サービスの種類」欄をご確認ください。「認知症対応型共同生活介護」と記載されていれば、本記事が該当します。

「共同生活援助」と記載されている場合は障害福祉の制度です。見分け方と参照先は、次の章でご案内します。

「共同生活援助」と記載されている場合は障害福祉の制度です。見分け方と参照先は、次の章でご案内します。

この記事の目次

グループホームの加算一覧は制度の切り分けから始まります

グループホームの加算一覧は制度の切り分けから始まります

グループホームの加算一覧を調べるとき、最初の一手は制度の切り分けです。

「グループホーム」という呼び方は、二つの制度にまたがる通称だからです。

介護保険の認知症対応型共同生活介護と、障害福祉の共同生活援助。

この二つは要件も単位数も別物で、取り違えたまま読み進めれば時間だけが失われます。

まずは自所がどちらに当たるのかを、確実な方法で見分けておきましょう。

認知症対応型共同生活介護と共同生活援助は別制度です

同じ「グループホーム」でも、根拠となる法律が違えば加算の体系は別物になります。

認知症対応型共同生活介護は、介護保険法にもとづく地域密着型サービス。

一方の共同生活援助は、障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスです。

報酬の呼び名も、指定を出す行政も、加算を定める告示の体系も分かれています。

主な違いを整理しました。

比較項目

認知症対応型共同生活介護

共同生活援助

根拠法

介護保険法

障害者総合支援法

サービス区分

地域密着型サービス

障害福祉サービス

報酬の呼び名

介護報酬

障害福祉サービス等報酬

主な対象者

認知症のある要介護者

障害のある方

指定権者

市町村

都道府県・指定都市など

厄介なのは、両制度に名前のよく似た加算が存在することです。

たとえば夜間の支援体制を評価する加算は、どちらの制度にも設けられています。

ところが名称が近いだけで、求められる人員配置も単位数も同じではありません。

「似た名前なのだから、どちらの記事を読んでも大差ないだろう」。

そう感じるかもしれませんが、その思い込みこそが算定誤りの入口になります。

検索して見つかる解説記事も、両制度が区別されないまま並んでいるのが実情です。

加算の中身に入る前に、まず制度の土台を確かめる。

遠回りに見えて、これがいちばん確実な進め方ではないでしょうか。

指定通知書のサービス名称で自所の制度を見分ける

指定通知書のサービス名称で自所の制度を見分ける

自所がどちらの制度かは、指定通知書のサービス名称で確実に判別できます。

記憶や推測ではなく、行政から交付された書面で確かめるのが最も安全です。

手順は次の3ステップだけ。

1. 指定通知書(指定書)を手元に用意する

2. 「サービスの種類」または「事業の種類」の欄を開く

3. 記載されたサービス名称で制度を判定する

「認知症対応型共同生活介護」と書かれていれば、介護保険の制度になります。

「共同生活援助」であれば、障害福祉の制度です。

指定通知書がすぐに出てこないときは、次の書類でも見当がつきます。

  • 運営規程・重要事項説明書

冒頭に記載されたサービス名称の表記を確認します。

  • ご利用者様の証書

介護保険被保険者証をお持ちなら介護保険、障害福祉サービス受給者証なら障害福祉です。

  • 介護サービス情報公表システム

自所名で検索し、公表されているサービス種別から確認できます。

「就任したばかりで、こんな基本的なことを今さら聞きにくい」。

そう感じている方も、決して少なくないはずです。

書面で確かめられる事柄は、誰かに尋ねる前にご自身で確定させれば十分でしょう。

なお本記事が扱うのは、介護保険側の認知症対応型共同生活介護です。

共同生活援助(障害福祉)の加算は、共同生活援助の報酬・加算解説(CareViewer challenge)で整理しています。

本記事が対象とする範囲と情報の基準日

本記事は、介護保険の認知症対応型共同生活介護を対象としています。

情報の基準日は2026年(令和8年)9月時点で、それ以降の改定は反映していません。

加算の一覧は、厚生労働省の告示および留意事項通知を出典として整理しました。

読み進める前に、次の4点を前提として押さえてください。

  • 対象サービス

認知症対応型共同生活介護および介護予防認知症対応型共同生活介護

  • 情報基準日

2026年(令和8年)9月時点。2027年度改定の内容は含みません。

  • 主な出典

厚生労働大臣が定める告示、留意事項通知、各指定権者が公表する要領

  • 金額への換算

単位数に地域区分ごとの単価を乗じて算出します。単価は地域で異なります。

特に注意していただきたいのが、地域密着型サービスであるという点です。

指定と指導監督を担うのは市町村であり、届出様式や運用の細部に自治体差が生じます。

本記事の一覧は全国共通の骨格として使い、最終確認は指定権者の要領で行いましょう。

現場のご担当者と話していても、判断は最後に「どの書面で確かめたか」へ行き着きます。

「せっかく時間をかけて調べたのに、古い情報だった」。

制度を扱う記事で、これほど徒労感の残る出来事はありません。

だからこそ本記事では、基準日と出典を先にお示ししています。

2027年度(令和9年度)改定の審議はすでに始まっており、内容の確定後に更新する予定です。

【2026年度版】グループホームの加算一覧と単位数

【2026年度版】グループホームの加算一覧と単位数

ここからが本記事の中核となる、認知症対応型共同生活介護で算定できる加算の一覧です。

情報の基準日は2026年9月8日とし、令和6年度介護報酬改定の告示・留意事項通知に、令和8年6月施行の処遇改善加算の拡充を反映しています。

加算は数が多いため、性質ごとに分けたほうが頭に入ります。

そこで本記事では、夜間の体制・専門的なケア・入退居時・職員体制という4つのまとまりに整理して並べました。

まず一覧表で全体像をつかみ、気になった行だけを読み込む。

そんな読み方をしていただければ、限られた時間でも自所の抜けが見えてくるはずです。

一覧表の見方:単位数・算定単位・届出要否

一覧表は、単位数よりも先に「算定単位」と「届出要否」の2列をご覧ください。

この2列に、加算が実際の収益になるかどうかの分かれ目が詰まっているからです。

同じ100という数字でも、1日あたりなら定員18名で月に数万円、1月あたりなら数千円にとどまります。

届出要否も同じくらい重要である。

要件を満たしていても、体制届を出していなければ1単位も入ってこないのですから。

本記事の一覧表で使う5つの列は、それぞれ次の意味です。

  • 加算名

告示上の名称で表記しています。(Ⅰ)(Ⅱ)などの区分は、要件の充足度で分かれます。

-単位数

  • 単位数

1単位あたりの金額は地域区分で異なります。金額への換算手順は、後半の年額シミュレーションで扱います。

  • 算定単位

「1日」「1月」「1回」の別です。日単位の加算は、人数と稼働日数の分だけ積み上がります。

  • 主な要件

判断の入口となる代表的な条件のみを記載しています。細目は告示と留意事項通知でご確認ください。

  • 届出要否

体制届(介護給付費算定に係る体制等に関する届出)が必要かどうかの目安です。

出典は、厚生労働省の令和6年度介護報酬改定に係る告示および留意事項通知と、令和8年度の処遇改善加算の拡充に関する通知です。

なお、体制届の様式と記載区分は指定権者ごとに異なります。

「うちの様式にはこの項目がない」というお声も現場からよく伺いますので、提出前には必ず自治体の様式で最終確認をお願いします。

夜間支援体制加算など夜間の体制に関する加算

夜間と医療連携に関する加算は、日単位で積み上がるため収益インパクトが最も大きいグループです。

1日あたりの単位数に、人数と稼働日数が掛け算されるからにほかなりません。

たとえば夜間支援体制加算(Ⅰ)の50単位は、1ユニット・定員9名・1単位10円で仮置きすると、月におよそ13万5千円の差になります。

ここに医療連携体制加算が重なれば、年間では決して小さくない金額です。

加算名

単位数

算定単位

主な要件

届出要否

夜間支援体制加算(Ⅰ)

50単位

1日

1ユニットの事業所で夜勤職員を加配

夜間支援体制加算(Ⅱ)

25単位

1日

2ユニット以上の事業所で夜勤職員を加配

医療連携体制加算(Ⅰ)イ

57単位

1日

看護師を常勤換算1名以上配置

医療連携体制加算(Ⅰ)ロ

47単位

1日

看護職員を常勤換算1名以上配置

医療連携体制加算(Ⅰ)ハ

37単位

1日

看護師を確保し24時間連絡体制を整備

医療連携体制加算(Ⅱ)

5単位

1日

(Ⅰ)を算定し対象状態の入居者がいる

協力医療機関連携加算

100単位/40単位

1月

協力医療機関と定期的に情報を共有

高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)

10単位

1月

第二種協定指定医療機関等との連携体制

高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)

5単位

1月

医療機関から定期的に実地指導を受ける

新興感染症等施設療養

240単位

1日

感染症発生時に施設内で療養(月1回・5日限度)

協力医療機関連携加算の単位数が2区分に分かれるのは、相談・診療体制の確保状況によって評価が変わるためです。

なお同じ名前の加算でも、介護保険施設(特養・老健・介護医療院)では令和7年度以降に上位区分が50単位へ引き下げられています。

グループホームは据え置きですが、単位数は指定権者が公表する最新の一覧でご確認ください。

このグループは、いずれも人の確保と医療機関との合意が前提になります。

「夜勤の人員をこれ以上増やせない」というお声は、私たちも現場で数多く伺ってきました。

だからこそ単位数だけで決めず、必要な体制と追加コストを並べたうえで判断されることをおすすめします。

認知症専門ケア加算など専門的なケアに関する加算

専門的なケアに関する加算は、研修修了者の配置と記録の運用が要件の中心になります。

言い換えれば、新たに人を採用しなくても、いま在籍している職員の研修受講で届く可能性があるグループです。

単位数は小さめですが、日単位のものは1年で見ると印象が変わります。

加算名

単位数

算定単位

主な要件

届出要否

認知症専門ケア加算(Ⅰ)

3単位

1日

対象者が半数以上、実践リーダー研修修了者を配置

認知症専門ケア加算(Ⅱ)

4単位

1日

(Ⅰ)に加え認知症介護指導者研修修了者を配置

認知症チームケア推進加算(Ⅰ)

150単位

1月

対象者が半数以上、チームでBPSDに対応

認知症チームケア推進加算(Ⅱ)

120単位

1月

(Ⅰ)と同様の取組(研修要件が異なる)

若年性認知症利用者受入加算

120単位

1日

担当者を定めてニーズに応じたケアを実施

生活機能向上連携加算(Ⅰ)

100単位

1月

外部の専門職の助言を得て計画を作成(3月に1回を限度)

生活機能向上連携加算(Ⅱ)

200単位

1月

外部の専門職が訪問し共同で計画を作成

栄養管理体制加算

30単位

1月

管理栄養士が栄養ケアの技術的助言を実施

口腔衛生管理体制加算

30単位

1月

歯科医師等の助言に基づき計画を作成

口腔・栄養スクリーニング加算

20単位

1回

6月に1回、口腔と栄養の状態を確認し記録

科学的介護推進体制加算

40単位

1月

LIFEへ情報を提出しフィードバックを活用

なお、認知症専門ケア加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定している場合、認知症チームケア推進加算は算定できません。

どちらを選ぶかは、対象となる方の状態像と体制を見比べて判断することになります。

認知症専門ケア加算(Ⅱ)の4単位は、一見すると誤差のように映るかもしれません。

しかし定員18名・年365日で計算すると、26,280単位、金額にしておよそ26万円になります。

「たった4単位のために記録を増やすのか」と迷われる場面もあるでしょう。

年額に直してから判断する。

この一手間が、加算の取捨選択では驚くほど効いてきます。

初期加算・退居時相談援助加算など入退居時の加算

入退居時の加算は、体制ではなく日々の記録そのものが算定根拠になる点が特徴です。

事前の届出を要しないものが多く、要件を満たした都度算定できます。

その代わり、いつ・誰に・何を行ったかの記録がなければ、運営指導で根拠を示せません。

加算名

単位数

算定単位

主な要件

届出要否

初期加算

30単位

1日

入居した日から30日以内の期間

不要

退居時相談援助加算

400単位

1回

入居1月超の方の退居時に相談援助(1人1回

不要

退居時情報提供加算

250単位

1回

医療機関へ入院する際に心身の状況等を提供

不要

看取り介護加算(死亡日)

1,280単位

1日

医師の診断と本人・家族の同意のもと実施

看取り介護加算(死亡日の前日・前々日)

680単位

1日

同上

看取り介護加算(死亡日以前4〜30日)

144単位

1日

同上

看取り介護加算(死亡日以前31〜45日)

72単位

1日

同上

認知症行動・心理症状緊急対応加算

200単位

1日

短期利用で医師が緊急の入居を必要と判断(7日限度)

不要

入院時費用(利用者の入院期間中の体制)

246単位

1日

入院期間中も再入居できる体制を確保(1月6日限度)

初期加算は1人あたり最大900単位、およそ9千円です。

退居や入院が重なる年は、退居時相談援助加算と退居時情報提供加算が意外なほど積み上がります。

「退居のときはとにかくバタバタしていて、記録どころではない」。

これは多くの現場に共通する実感ではないでしょうか。

だからこそ、退居前後にやることを様式に落とし込み、担当者が変わっても同じ記録が残る形にしておきたいところです。

サービス提供体制強化加算と処遇改善加算

職員体制に関する加算は、動く金額の桁が他のグループと異なります。

サービス提供体制強化加算は日単位で全入居者に加算され、処遇改善加算は総単位数に率を乗じて算定するからです。

つまり、基本報酬が大きい事業所ほど効いてくる構造になっている。

加算名

単位数

算定単位

主な要件

届出要否

サービス提供体制強化加算(Ⅰ)

22単位

1日

介護福祉士70%以上等

サービス提供体制強化加算(Ⅱ)

18単位

1日

介護福祉士60%以上

サービス提供体制強化加算(Ⅲ)

6単位

1日

介護福祉士50%以上または常勤職員75%以上等

生産性向上推進体制加算(Ⅰ)

100単位

1月

テクノロジーを複数導入し効果のデータを提出

生産性向上推進体制加算(Ⅱ)

10単位

1月

テクノロジーを1つ以上導入し委員会で改善

介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)イ/ロ

総単位数の21.0%/22.8%

1月

3要件の充足に加え令和8年度特例要件

計画書

介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)イ/ロ

総単位数の20.2%/22.0%

1月

同上

計画書

介護職員等処遇改善加算(Ⅲ)

総単位数の17.9%

1月

キャリアパス要件・職場環境等要件を充足

計画書

介護職員等処遇改善加算(Ⅳ)

総単位数の14.9%

1月

同上(充足範囲が異なる)

計画書

サービス提供体制強化加算(Ⅰ)を定員18名・稼働率100%・1単位10円で仮置きすると、年間およそ144万円になります。

処遇改善加算は、その月の総単位数(処遇改善加算を除く加減算後)に区分ごとの加算率を乗じて算出する仕組みです。

「加算率が上がったとは聞いたが、自所がどの区分なのか分からない」。

改定直後は、そうした状態になりやすいのも無理はありません。

イとロの違いや令和8年度の特例要件については、続く見出しで整理します。

2026年度(令和8年度)改定で動いた加算のポイント

2026年度(令和8年度)改定で動いた加算のポイント

一覧の中で、2026年度にもっとも大きく動いたのは処遇改善加算です。

令和8年度の改定は、3年ごとの本改定とは別に行われた臨時の改定です。

改定率は+2.03%で、うち処遇改善分の+1.95%が令和8年6月に施行されました(食費の基準費用額の見直し+0.09%は8月施行)。

この改定で、介護職員等処遇改善加算に上位の区分が加わりました。

裏を返せば、前回改定のままの一覧で算定を続けている事業所は、取れるはずの加算率を取り逃している可能性があります。

「うちの算定内容、いつ見直したかな…」と手が止まった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは令和8年度の特例要件と加算率の考え方、そして2027年度改定に向けた審議の動きを順に整理します。

処遇改善加算の令和8年度特例要件と加算率の考え方

令和8年度改定の要点は、特例要件を満たすと加算率が上がる仕組みが設けられた点にあります。

介護職員等処遇改善加算に、加算(Ⅰ)ロと加算(Ⅱ)ロが新たに加わりました。

令和8年度特例要件を満たすことで、加算(Ⅰ)イは(Ⅰ)ロへ、加算(Ⅱ)イは(Ⅱ)ロへ引き上げられる扱いです。

特例要件は、次の3つのいずれかを満たす形になっています。

  • ア)ケアプランデータ連携システムへの加入

訪問・通所サービス等が対象です。加入したうえで実績報告を行います。

  • イ)生産性向上推進体制加算(Ⅰ)または(Ⅱ)の取得

施設サービス等が対象で、グループホームは実務上こちらに該当します。

  • ウ)社会福祉連携推進法人への所属

法人単位の要件のため、単独法人では選びにくい選択肢といえるでしょう。

「どれも自所には縁がなさそう…」と感じられたかもしれません。

しかしグループホームで現実的なのは、イの生産性向上推進体制加算を取得する道です。

同加算は、見守り機器等のテクノロジー導入、委員会の設置、業務改善の効果を示すデータの提出が柱になります。

つまり処遇改善加算の上位区分は、現場のICT化とセットで設計されているのです。

認知症対応型共同生活介護の加算率は、以下のとおりです。

加算区分

加算率

引き上げの条件

加算(Ⅰ)ロ

22.8%

特例要件を満たす

加算(Ⅰ)イ

21.0%

-

加算(Ⅱ)ロ

22.0%

特例要件を満たす

加算(Ⅱ)イ

20.2%

-

加算(Ⅲ)

17.9%

-

加算(Ⅳ)

14.9%

-

※情報基準日:2026年9月8日/出典:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」および処遇改善加算関係資料

(Ⅰ)イと(Ⅰ)ロの差は1.8ポイント。

処遇改善加算は所定単位数の合計に加算率を乗じて算出するため、この差は月々の総単位数に比例して効いてきます。

なお申請の段階では、加入または取得の誓約による算定が認められています。

体制が整っていないから諦める、という判断は少し早いかもしれません。

ただし、計画書と実績報告の期限管理は欠かせません。

処遇改善計画書は原則として算定開始月の前々月末までに提出し、実績報告書は最終の加算支払があった月の翌々月末までに提出します。

根拠資料の保存も求められるため、届出と記録をひとつづきの作業として組み立てておきたいところです。

2027年度改定の審議動向と今から備えられること

2027年度改定は、加算の中身そのものが動く可能性のある単独改定です。

令和9年度介護報酬改定は2027年4月の施行が見込まれ、診療報酬との同時改定ではありません。

社会保障審議会介護給付費分科会では2026年に入って本格的な審議が始まり、サービス種別ごとの論点整理が進んでいます。

「また制度が変わるのか…」と身構えてしまう気持ちも、正直よく分かります。

ただ、論点を先に知っておけば、慌てずに準備できる部分は少なくありません。

現時点で公表されている審議の流れを、時期ごとに整理しました。

時期

審議・決定の内容

2026年5月

地域密着型サービスを議論

2026年9月

認知症対応力強化・LIFEなど5テーマ

2026年内

改定率の決定(見込み)

2027年1〜3月

諮問・答申・告示(見込み)

2027年4月

改定の施行(見込み)

※情報基準日:2026年9月8日/出典:社会保障審議会介護給付費分科会の公表資料

グループホームを含む地域密着型サービスの回では、医療ニーズへの対応強化と介護人材の有効活用が論点として示されました。

認知症をテーマとした回では、研修のあり方や算定率の低い加算の見直しが検討事項に挙がっています。

LIFEをめぐっては、現場の入力負担が限界に達しているという指摘も出ました。

では、今から備えられることは何でしょうか。

確定していない要件を先取りする必要はありません。

一方で、どの改定でも問われ続けるものがあります。それは記録です。

  • 医療連携の記録

カンファレンスの開催記録や医療機関とのやり取りを、日付と参加者まで残しておきます。

  • 研修受講の管理

修了者の氏名・課程・修了年月を台帳化し、要件の割合をいつでも示せる状態にします。

  • 業務改善のデータ

記録業務や夜勤帯にかかる時間を測っておくと、生産性向上に関する要件へ転用できます。

いずれも、新しい制度の公表を待つ必要のない準備ばかりです。

記録が整っている事業所ほど、改定後の要件変更に短い期間で対応できます。

制度の変化を追いかけるのではなく、変化に耐える土台を先に作る。

そう考えると、次の改定までの期間は準備期間として悪くないのではないでしょうか。

減算一覧と返還を防ぐ記録・証跡の残し方

減算一覧と返還を防ぐ記録・証跡の残し方

加算で積み上げた収益は、減算ひとつで大きく目減りします。

加算が1つずつ加わっていくのに対して、減算は所定単位数の全体に率で効いてくるからです。

しかも対象は入居者全員、期間は事実が生じた月の翌月から解消される月まで続きます。

「取りにいく」話と同じ強さで、「取られない」話も押さえておきたいところです。

この章では認知症対応型共同生活介護に設けられた減算を一覧で確認し、そのうえで返還を防ぐ記録の残し方まで踏み込んでいきましょう。

高齢者虐待防止措置未実施減算と身体拘束廃止未実施減算

この2つは、体制と記録が整っていなければ自動的に適用される減算です。

高齢者虐待防止措置未実施減算は令和6年度改定で新設されたもの、身体拘束廃止未実施減算はそれ以前から認知症対応型共同生活介護が対象です。

いずれも現在は経過措置が終わっており、要件を満たさなければそのまま減算となります。

減算名

減算率

未実施と判断される主な事由

身体拘束廃止未実施減算

所定単位数の10%

委員会を3月に1回以上開催していない/指針がない/研修を定期的に実施していない/拘束時の記録がない

高齢者虐待防止措置未実施減算

所定単位数の1%

委員会を定期的に開催していない/指針がない/研修を実施していない/担当者を定めていない

※情報基準日:2026年9月8日/出典:厚生労働省告示「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準」

減算率の差に、まず目を留めてください。

身体拘束廃止未実施減算の10%は、前節までに見た加算をいくつ積み上げても追いつかない水準です。

1日あたり数十単位の加算を丁寧に取りにいっても、基本報酬の10%が全入居者から引かれれば、まとめて消えてしまいます。

身体拘束廃止未実施減算を避けるために求められるのは、次の4点です。

  • 記録

緊急やむを得ず身体的拘束等を行う場合に、その態様・時間・入居者の心身の状況・やむを得なかった理由を記録すること。

  • 委員会

身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催し、結果を職員へ周知徹底すること。

  • 指針

身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。

-研修

  • 研修

従業者に対し、適正化のための研修を定期的に実施すること。

高齢者虐待防止措置のほうは、委員会・指針・研修に加えて「担当者を定めること」が要件に含まれます。

担当者名が空欄のまま運用されている事業所を、ときどきお見かけします。

減算が適用されるのは、事実が生じた月の翌月から、改善が認められた月まで。

対象は入居者全員です。

「委員会は開いていたが、議事録が残っていなかった」。

運営指導でつまずくのは、たいていこの一点ではないでしょうか。

開催した事実そのものより、開催を後から示せるかどうかが問われます。

業務継続計画未策定減算・定員超過・人員基準欠如

こちらは体制そのものが崩れたときに適用される、より重い減算です。

減算名

減算率

減算となる主な事由

定員超過利用減算

所定単位数の30%

入居者の数が利用定員を超えた場合

人員基準欠如減算

所定単位数の30%

介護従業者の員数が基準に満たない場合

業務継続計画未策定減算

所定単位数の3%

感染症・災害の業務継続計画を策定していない、研修・訓練・定期的な見直しを行っていない

夜勤職員の勤務条件基準を満たさない場合

所定単位数の3%(97%を算定)

夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たさない場合

3ユニットで夜勤職員を2人以上とする場合

1日につき50単位

3ユニットの事業所で夜勤職員を2人以上とする特例を適用した場合

※情報基準日:2026年9月8日/出典:厚生労働省告示「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準」

30%という数字の重さは、加算と並べてみるとよく分かります。

夜間支援体制加算も認知症専門ケア加算も、1日あたり数十単位の世界。

一方の定員超過利用減算・人員基準欠如減算は、基本報酬の3割を入居者全員から、要件を満たすまで引き続けます。

加算をいくつ取っていても、ひと月で相殺されてしまう規模なのです。

人員基準欠如は、退職・産休・急な休職がきっかけになりやすい減算でもあります。

配置の考え方そのものは人員基準の記事で詳しく整理していますので、あわせてご確認ください。

一方の業務継続計画未策定減算は、3%と率こそ低いものの見落とされやすい減算です。

計画を作ったことで安心してしまい、研修・訓練・定期的な見直しが止まっている事業所は少なくありません。

策定していることと、運用していることは別。

減算の判断は、後者で行われます。

表の最後の行だけは、性質が異なります。

3ユニットで夜勤職員を2人以上とする取り扱いは、基準違反への罰則ではなく特例を選んだ場合の調整です。

他の減算と混同しないよう、区別して覚えておきましょう。

加算ごとに求められる記録項目と保存期間

減算と返還を遠ざける実務は、突き詰めると記録の設計に行き着きます。

運営指導で問われるのは、「その日にその体制であったこと」を第三者が追えるかどうかだからです。

記録は、大きく3つに分けて考えると整理しやすくなります。

  • 体制を示す記録

勤務形態一覧表、資格証、研修修了証、指針、委員会の議事録。

  • 実施を示す記録

日々のケア記録、カンファレンス記録、計画書と同意書。

  • 届出に関する記録

体制届の控えと、受理を確認できる書類。

加算ごとに、特に確認されやすい記録は次のとおりです。

加算

特に求められる記録

夜間支援体制加算

勤務形態一覧表、夜勤・宿直の勤務実績(全ての開所日分)

認知症専門ケア加算

対象となる方の日常生活自立度の判定資料、研修修了証、会議の記録

医療連携体制加算

看護職員の資格証、雇用または連携の契約書、24時間連絡体制の記録、重度化対応の指針と同意書

看取り介護加算

医師の診断記録、ご本人・ご家族への説明と同意、看取りの計画と経過記録

科学的介護推進体制加算

LIFEへの提出データ、フィードバックの活用を示す記録

処遇改善加算

処遇改善計画書、実績報告書、賃金改善の根拠資料

保存期間には、少し注意が必要です。

厚生労働省令では「その完結の日から2年間」と定められています。

ところが地域密着型サービスの運営基準は市町村の条例で定めるため、5年間としている自治体が少なくありません。

つまり、全国一律ではないということ。

自所の所在市町村の条例を必ず確認し、迷う場合は長いほうに合わせておくのが安全でしょう。

運営指導で確認される証跡と記録の標準化

運営指導で何を見られるかは、実は事前に分かります。

厚生労働省の運営指導マニュアルで、標準確認項目と標準確認文書が示されているからです。

原則としてそれ以外の書類は求めない運用とされており、準備の範囲を絞り込めます。

まずは自所が算定している加算の行だけを抜き出し、標準確認文書と突き合わせてみてください。

そのうえで、記録を「探さなくても出てくる」状態にしておきたいところです。

現場を回っていて感じるのは、書類が無いことより「どこにあるか分からない」ことのほうが多い、という現実。

標準化の勘どころは、次の3点に集約されます。

  • 様式をそろえる

加算ごとに記入項目を固定し、担当者が替わっても同じ粒度で残るようにします。

  • 記入者と日付を必ず残す

いつ誰が記録したかが分かって初めて、証跡として機能します。

  • 保管場所を一本化する

紙と電子が混在していると、指導当日に探す時間が最も削られます。

そして、月に一度の定点確認を請求業務の流れに組み込みます。

配置人数、研修修了者の在籍、委員会や研修の実施状況を、同じ様式で毎月残していく。

記録ソフトをお使いであれば、加算の要件に対応する項目を入力フォームへ組み込んでおくと、確認の手間はさらに減らせます。

要件が崩れた月に、その月のうちに気づけること。

それが、遡及返還という最も避けたい事態から事業所を守ってくれるはずです。

算定に迷いやすい3つの加算の要件を詳しく解説

算定に迷いやすい3つの加算の要件を詳しく解説

一覧で候補を絞り込んだら、次に確認するのは要件の中身です。

なかでも判断に迷いやすいのが、夜間支援体制加算・認知症専門ケア加算・医療連携体制加算の3つ。

いずれも「人員」「研修・体制」「記録」の三層で要件が組まれており、どれか一つが欠けるだけで算定は成り立ちません。

ここでは順に、どこでつまずきやすいのかを具体的に見ていきましょう。

夜間支援体制加算:人員配置と勤務実績の要件

この加算の分かれ目は、人員基準を上回る夜間の体制を「全ての開所日で」維持できているかどうかです。

単位数は共同生活住居(ユニット)の数によって区分が変わります。

区分

単位数

対象となる事業所

夜間支援体制加算(Ⅰ)

50単位/日

共同生活住居が1の場合

夜間支援体制加算(Ⅱ)

25単位/日

共同生活住居が2以上の場合

要件の中心は、事業所ごとに常勤換算方法で1人以上の夜勤職員または宿直職員を加配することです。

常勤換算とは、職員の勤務時間を常勤職員の勤務時間で割って人数に置き換える考え方をいいます。

ここで見落とされやすいのが、宿直職員の勤務実態ではないでしょうか。

宿直職員は事業所内で宿直している必要があり、併設事業所と同時並行で宿直勤務を行う場合は対象になりません。

あわせて、全ての開所日において夜間・深夜の時間帯の体制が人員配置基準を上回っていることが求められます。

「加配はしていたつもりだったが、欠勤の穴埋めができず1日だけ基準どおりだった」。

この一日の抜けが月単位の返還につながりかねないところに、この加算の怖さがあります。

令和6年度改定では、要件の緩和も行われました。

見守り機器を利用者の10%以上に導入しているなどの条件を満たす場合、夜勤職員の最低基準を0.9人以上上回っていれば算定できる取り扱いが加わっています。

機器の導入を検討中の事業所にとっては、追い風といえるでしょう。

裏づけとなるのは勤務実績そのもの。

勤務形態一覧表と実際のシフト実績を毎月突き合わせ、基準を下回った日がないかを確認する習慣をおすすめします。

認知症専門ケア加算:研修修了者の割合と会議の要件

この加算は、ご入居者の状態像・研修修了者の配置・会議の開催という3点がそろって初めて算定できます。

単位数は(Ⅰ)が3単位/日、(Ⅱ)が4単位/日。

日単位では小さく見えますが、定員18名で1年積み上げると無視できない額になります。

(Ⅰ)の要件を分解すると、次の3つに整理できます。

  • 対象となる方の割合

日常生活に支障を来すおそれのある症状や行動が認められ介護を必要とする方、いわゆる認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の方が、利用者の2分の1以上であること。

  • 研修修了者の配置

認知症介護実践リーダー研修の修了者を、対象者が20人未満なら1人以上、20人以上なら1人に、対象者の数が19を超えて10または端数を増すごとに1人を加えた数以上配置すること。

  • 会議の開催

認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導に係る会議を、定期的に開催していること。

定員18名の事業所であれば、対象となる方が9名以上いるかどうかが最初の関門になります。

対象者が20人未満であれば、実践リーダー研修の修了者は1人以上で足りる計算です。

(Ⅱ)には、ここに二つの要件が加わります。

認知症介護指導者研修の修了者を1人以上配置して事業所全体の指導にあたること、そして介護職員・看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、実施または実施を予定していることです。

つまずきやすいのは、人ではなく記録の側かもしれません。

「研修修了者は在籍しているのに、会議を開いた記録が残っていなかった」という行き違いは、実際に起こり得ます。

なお、令和6年度に新設された認知症チームケア推進加算とは併算定できません。

認知症専門ケア加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定している場合、チームケア推進加算は算定できない取り扱いです。

どちらが自所に合うかは、対象となる方の状態像と体制を見比べて判断していきましょう。

医療連携体制加算:看護職員の確保と連携体制の要件

この加算で区分を分けているのは、看護師をどう確保しているかという一点です。

グループホームの人員基準では看護職員の配置が必ずしも求められていないため、確保の方法に段階を設けて評価する設計になっています。

区分

単位数

看護職員の確保方法

医療連携体制加算(Ⅰ)イ

57単位/日

看護師を常勤換算1名以上配置

医療連携体制加算(Ⅰ)ロ

47単位/日

看護職員を常勤換算1名以上配置

医療連携体制加算(Ⅰ)ハ

37単位/日

看護師を1名以上確保(職員または連携)

医療連携体制加算(Ⅱ)

5単位/日

(Ⅰ)を算定し、医療的ケアの受入実績がある場合

(Ⅰ)のイ・ロ・ハは看護職員の確保方法に応じた段階であり、いずれか一つを選ぶ形になります。

看護師か、准看護師を含む看護職員かで区分が変わるため、届出内容と免許証の記載がそろっているか確認しておきたいところ。

ハについては、病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携によって確保する方法も認められています。

「看護師を雇用できないから」と算定を見送っていた事業所こそ、連携という選択肢を検討する価値があるのではないでしょうか。

区分を問わず共通して求められるのが、24時間の連絡体制の確保と、重度化した場合の対応に係る指針の整備です。

指針は定めるだけでは足りません。

入居時にご入居者・ご家族へ説明し、同意を得たうえで記録に残す必要があります。

一方、(Ⅱ)は性格の異なる区分です。

(Ⅰ)のいずれかを算定していることを前提に、喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアを受けた方を受け入れた実績を評価するものです。

体制が整っていることと、実際に受け入れた実績があることは別だということ。

「(Ⅰ)を取っているのだから(Ⅱ)も当然」とはならない点に、どうかご注意ください。

なお、実績を数える期間と、加算を入居者全員に算定するのか該当する方に限るのかは、解説記事によって説明が分かれています。

ここは告示と留意事項通知の本文で確かめ、迷う場合は指定権者へ事前照会してください。

区分の選び方や訪問看護ステーションとの契約実務については、医療連携体制加算を単独で扱った記事で詳しく解説しています。

体制届の提出時期と加算を収益に変える手順

体制届の提出時期と加算を収益に変える手順

要件を満たしていても、届出を提出しなければ加算は1単位も算定できません。

しかも認知症対応型共同生活介護は地域密着型サービスに位置づけられ、届出先は都道府県ではなく市町村です。

ここを取り違えると、せっかく整えた体制がまるごと空振りになってしまいます。

この章では、届出の期限と算定開始月の関係、定員18名での年額試算、自所を仕分けるチェックリストの順に確認していきましょう。

届出月と算定開始月の関係、自治体ごとの運用差

算定開始月を決めるのは、体制が整った日ではなく届出が受理された時期です。

体制を整えた月までさかのぼって算定する、という考え方は成り立ちません。

ここで注意していただきたいのが、認知症対応型共同生活介護には「毎月15日まで」のルールが当てはまらない点です。

訪問系・通所系のサービスであれば、15日以前に受理されれば翌月から、16日以降なら翌々月からという取り扱いになります。

一方の認知症対応型共同生活介護は、特定施設入居者生活介護や介護保険施設、短期入所サービスと同じ区分です。

届出が受理された日が属する月の翌月から、算定を開始します。

ただし受理された日が月の初日であれば、その月から算定できます。

届出が受理された日

算定を開始できる月

4月1日(月の初日)

4月分から

4月2日〜4月30日

5月分から

分かれ目は15日ではなく、月をまたぐかどうかだとお考えください。

1か月遅れたときの重みは、決して小さくありません。

定員18名で医療連携体制加算(Ⅰ)ハを算定する場合、1か月のずれはおよそ20万円に相当します。

「要件は整っていたのに、提出が月末にずれ込んで1か月分を逃した」。

そうした声を、現場でうかがうこともあります。

ただし、受付方法や様式、事前相談の要否は保険者ごとに案内が異なります。

年度替わりの2月から4月は窓口が混み合いやすく、事前相談の予約そのものが取りにくい時期でもあります。

提出の前に、事業所所在地の市町村の介護保険担当課へ一度ご相談いただくのが確実です。

なお、複数の市町村からご入居者を受け入れている場合でも、届出先は事業所所在地の市町村になります。

定員18名で試算する加算収入の年額シミュレーション

加算の価値は、単位数ではなく年額に直したときに初めて見えてきます。

計算式そのものは、とてもシンプルです。

単位数 × 1単位の単価 × 対象人数 × 日数

1単位の単価は、全国一律ではありません。

認知症対応型共同生活介護は人件費割合45%の区分に該当し、級地に応じて1単位あたり10.00円から10.90円の幅があります。

ここでは分かりやすさを優先し、その他地域(1単位10円)・定員18名・稼働率100%・年365日という前提で置いてみます。

加算

単位数

年額の目安

夜間支援体制加算(Ⅱ)

25単位/日

約164万円

認知症専門ケア加算(Ⅰ)

3単位/日

約20万円

医療連携体制加算(Ⅰ)ハ

37単位/日

約243万円

3加算の合計

65単位/日

約427万円

たとえば夜間支援体制加算(Ⅱ)なら、25単位×10円×18人×365日で1,642,500円という計算になります。

1日25単位という数字だけを見て「小さい」と判断していたら、この年額は視野に入ってきません。

もっとも、この試算はあくまで上限の目安として扱ってください。

実際には稼働率が下がれば対象人数が減りますし、医療連携体制加算(Ⅱ)のように対象となる方に限って算定する加算もあります。

さらに、看護職員の確保や研修受講には人件費・研修費という原資が必要です。

年額から必要なコストを差し引いた差額こそが、経営会議に出すべき数字ではないでしょうか。

上の表の前提を自所の級地・定員・稼働率に差し替えれば、理事会や金融機関への説明資料にそのまま転用できるはずです。

算定済み・未届出・要件未達で自所を仕分ける

最後は、一覧に自所を照らして3つに仕分ける作業です。

すべてを同時に検討しようとすると、決まって手が止まります。

着手順を決めるために、加算を次の3分類へ振り分けてみてください。

  • 算定済み

すでに届出を提出し、現に算定している加算です。ここで確認するのは増収ではなく、要件を今も満たしているかという点。人員の異動や契約終了で要件を欠いていないかを点検します。

  • 要件は満たすが未届出

体制は整っているのに、届出だけが出ていない状態です。追加コストなしで収益に変わるため、最優先で着手します。

  • 要件未達

人員配置・研修・契約のいずれかが不足している加算です。必要な投資額と年額の増収を比べ、着手するかどうかを判断します。

この3分類は、二つの場面で働いてくれます。

一つは、経営会議での説明。

「未届出が2件、要件未達が3件、今期は未届出から着手します」と言えれば、加算の話が数字の話に変わります。

もう一つが、運営指導への備えです。

算定済みの列を要件・届出・記録の三点で点検しておけば、返還リスクの大半は事前に潰せます。

まずは加算一覧を印刷し、各行の右端に「済」「未届」「未達」と書き込むところから。

そのひと手間が、次の体制届で何を出すかを決めてくれるはずです。

【FAQ】グループホームの加算に関するよくある質問

【FAQ】グループホームの加算に関するよくある質問

最後に、残りやすい疑問を6つに絞ってお答えします。

いずれも「制度の切り分け」「届出」「記録」のどこかに関わる質問です。

短答形式でまとめましたので、気になる項目だけ拾い読みしてください。

自分の事業所はどちらの制度のグループホームですか?

指定通知書のサービス名称を見れば、確実に判別できます。

「認知症対応型共同生活介護」とあれば、介護保険のグループホームです。

「共同生活援助」とあれば、障害者総合支援法にもとづく事業所になります。

同じ通称で呼ばれていても、根拠となる法律が違うのです。

法律が違えば、加算の体系も名称も単位数も別物になります。

「似た名前の加算があるから、たぶん同じだろう」という推測は避けましょう。

手元に指定通知書が見当たらないときは、次の3点でも確認できます。

- 運営規程の冒頭

  • 運営規程の冒頭

指定を受けた事業の種類が、サービス名称で明記されています。

  • 請求している給付費の種類

介護給付費か障害福祉サービス費かで、制度が分かれます。

- 指定権者の公表情報

  • 指定権者の公表情報

自治体の事業所一覧には、サービス種別が掲載されています。

本記事が対象とするのは、介護保険の認知症対応型共同生活介護です。

障害福祉の共同生活援助については、別途専用の記事をご確認ください。

加算はいつから算定できますか?

要件を満たした日ではなく、体制届が受理された時期で決まります。

正式には「介護給付費算定に係る体制等に関する届出」と呼ばれる書類です。

ここを取り違えている事業所は、実は少なくありません。

認知症対応型共同生活介護は、届出が受理された日が属する月の翌月から算定を開始します。

受理された日が月の初日であれば、その月から算定できます。

訪問系・通所系でよく知られた「毎月15日までなら翌月から」という区切りは、このサービスには当てはまりません。

ただし、受付方法や起算の細部には自治体ごとの差があります。

必ず指定権者(都道府県または市町村)の要領で確認してください。

「要件はそろっていたのに、届出が間に合わず1か月分を逃した」。

これは避けたい失敗ではないでしょうか。

体制を整える段取りと同時に、締切から逆算した提出計画を立てましょう。

新規指定や区分変更のときは、提出書類が増える場合もあります。

添付書類の一覧を早めに取り寄せておくと、直前の慌ただしさを減らせます。

併算定できない加算の組み合わせはありますか?

あります。

ただし、すべてを網羅した公式の一覧が示されているわけではありません。

制限がかかりやすいのは、同じ根拠を共有する加算どうしです。

同一の職員配置や同一のサービス提供を要件とする場合、重ねて評価されません。

また、同じ加算の区分(ⅠとⅡなど)は、いずれか一方の算定が原則となります。

判断に迷ったときは、次の順序で確認すると早く片づきます。

1. 一覧表で、算定候補となる加算を先に絞り込む。

2. 厚生労働省の告示で、当該加算の算定要件の本文を確認する。

3. 留意事項通知やQ&Aで、併算定の可否を個別に確認する。

4. それでも判断がつかなければ、指定権者に事前照会を行う。

事前照会の記録は、のちの運営指導で説明材料になります。

「聞いた覚えはあるが、いつ誰に確認したか思い出せない」では心もとないでしょう。

照会日・担当部署・回答内容をセットで残す習慣が、事業所を守ってくれます。

要件を満たさなくなった場合はどうなりますか?

要件を満たさなくなった時点から、その加算は算定できなくなります。

職員の退職や研修修了者の異動など、きっかけは日常の中にあります。

気づかないまま算定を続ければ、過大請求として返還を求められかねません。

しかも返還は、その月だけにとどまらない場合があります。

要件を欠いた時点まで遡って対象となり得るため、影響は小さくありません。

「知らないうちに要件が崩れていたら」という不安は、多くの管理者が抱えています。

大切なのは、欠けたときにすぐ気づける仕組みを持っておくことです。

現場を見てきた実感として、有効なのは月次の定点確認でした。

請求作業と同じ月次の流れに、要件の確認を組み込んでしまうのです。

配置人数、研修修了者の在籍、会議や記録の実施状況を同じ様式で残します。

満たさなくなったと判明したら、速やかに変更の届出を提出しましょう。

自主的に届け出て是正した経緯そのものが、誠実な運営の証跡になります。

単位数の小さい加算も取る価値はありますか?

単位数の大小だけで判断すると、見誤ることがあります。

日単位で算定する加算は、利用者数と稼働日数の分だけ積み上がるからです。

年額の目安は「単位数×地域単価×人数×日数」で試算できます。

小さく見える加算でも、12か月を通せば無視できない金額になり得ます。

一方で、加算には必ずコストが伴います。

人員配置、研修受講、会議の開催、記録の作成と保存。

これらの人件費と時間を差し引いて、初めて実質の増収が見えてきます。

判断の物差しは「年間の増収見込み − 追加コスト」の一本で十分でしょう。

そのうえで、着手のしやすさを加味して順番を決めていきます。

すでに満たしている要件が多い加算ほど、投資対効果は高くなります。

まずは一覧に印をつけ、上位3つに絞って試算してみてはいかがでしょうか。

加算の最新情報はどこで確認できますか?

一次情報は、次の3か所を押さえておけば十分です。

  • 厚生労働省のウェブサイト

介護報酬改定に関する告示、留意事項通知、Q&Aが公表されています。

  • 指定権者のウェブサイト

体制届の様式、提出期限、自治体独自の運用が案内されています。

  • WAM NET(福祉医療機構)

制度改正の情報が整理され、通知の所在を探すときに役立ちます。

まとめ記事や解説記事は、当たりをつけるための道具として使いましょう。

最終的な確認は、告示と留意事項通知の本文にあたってください。

その際、情報がいつ時点のものかを必ず確かめる習慣をつけたいところです。

年号や更新日の記載がない解説は、前回改定のままである可能性があります。

また、改定の審議は改定年度の前年から動き始めます。

年度の変わり目と改定の前後は、確認の頻度を上げておくと安心です。

まとめ:加算一覧は制度の切り分けから始まります

まとめ:加算一覧は制度の切り分けから始まります

今回は、自事業所の加算の取りこぼしに不安を感じている方に向けて、

  • グループホームの制度を見分ける方法

  • 2026年度版の加算一覧と単位数

  • 減算を防ぐ記録・証跡の残し方

  • -算定に迷いやすい加算の要件

    算定に迷いやすい加算の要件

  • 体制届の提出時期と収益試算の手順

上記について、介護現場のICT化に長く携わってきた筆者の視点を交えながらお話してきました。

グループホームの加算は、要件を満たすだけでは収益になりません。

体制届を出して初めて算定でき、要件・届出・記録の三点がそろって成り立つものなのです。

制度を切り分けて一覧に自所を照らせば、「算定済み」「未届出」「要件未達」が輪郭を持って見えてきます。

次の会議でも、勘ではなく制度にもとづいて自分の言葉で説明できるようになります。

まずは一覧を印刷し、当てはまる行に印をつけるところから始めてみてはいかがでしょうか。

その一歩が次の体制届につながり、皆様の事業所の一年を確かに変えていくはずです。

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