公開日:2026/9/10

更新日:

2026/9/10

 グループホームの医療連携体制加算とは?算定要件・単位数・訪問看護との連携を解説

グループホームの医療連携体制加算とは?算定要件・単位数・訪問看護との連携を解説

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の運営に携わる方なら、

「うちの事業所は医療連携体制加算を算定できるのだろうか…」

「令和6年度の改定で区分が変わったらしいが、確認できていない」

このような不安を抱えていらっしゃるかもしれませんね。

この加算は、令和6年度改定で4つの区分に再編されました。

体制を評価する(Ⅰ)の3区分を分けているのは、看護職員をどう確保しているかという一点です。

ここさえ押さえられれば、自事業所が算定できるかは判断できます。

自事業所の看護体制と指針の整備状況を区分表に照らせば、立ち位置が見えてきます。

区分が定まれば、訪問看護ステーションへの相談も体制届の提出も、一歩ずつ進められるでしょう。

それは、ご入居者を最期まで支える体制づくりの土台にもなるはずです。

この記事では、自事業所が算定できるかを見極めたい方に向けて、

  • 令和6年度改定後の区分と単位数の早見表

  • 算定要件を自己診断する5つのチェック項目

  • 訪問看護ステーションとの連携と契約の実務

  • 体制届の提出から算定開始までの進め方

  • 運営指導で問われる記録の残し方

上記について、介護現場のICT化に20年以上携わってきた立場から、実務の勘どころを交えながら解説しています。

医療連携体制加算は、単位数を覚えるためだけの制度ではありません。

医療ニーズの高まるご入居者を、住み慣れた場所で支え続けるための仕組みではないでしょうか。

ぜひ参考にして、自事業所の看護体制を見直す一歩を踏み出してください。

この記事の目次

この記事は介護保険の「認知症対応型共同生活介護」向けです

「グループホーム」と呼ばれる事業所には、介護保険法に基づくものと障害者総合支援法に基づくものの2種類があります。医療連携体制加算は、それぞれに名前の似た別々の加算が設けられており、区分も単位数も要件も異なります。

本記事が扱うのは、介護保険法に基づく認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)の医療連携体制加算です。

障害者総合支援法に基づく共同生活援助(障害者グループホーム)の事業所さまは、障害者グループホームの医療連携体制加算の解説記事をご覧ください。

グループホームの医療連携体制加算とは?対象制度を確認

グループホームの医療連携体制加算とは?対象制度を確認

医療連携体制加算は、看護師をどのように確保しているかで区分が決まる加算です。

ただ、単位数を調べる前に確認しておきたいことがあります。

同じ「グループホーム」でも、指定の根拠となる法律が違えば、加算の中身はまったく別物になるからです。

この章では、対象となる制度の切り分けから、この加算が何を評価しているのか、そして令和6年度改定でどう再編されたのかまでを整理していきます。

認知症対応型共同生活介護と共同生活援助では別の加算です

医療連携体制加算は、介護保険と障害福祉のそれぞれに設けられた、名前の似た別々の加算です。

「グループホーム」という呼び名が共通しているだけで、区分も単位数も要件も異なります。

見分ける手がかりは、事業所が指定を受けている根拠法です。

事業所の種類

根拠となる法律

参照すべき報酬区分

認知症対応型共同生活介護

介護保険法

本記事で解説する介護報酬の区分

共同生活援助(障害GH)

障害者総合支援法

障害福祉サービス等報酬の別区分

本記事が扱うのは、上の表の介護保険法に基づく認知症対応型共同生活介護です。

障害者総合支援法に基づく共同生活援助の事業所は、別記事をご覧ください。

「検索してみたら障害福祉の解説ばかりで、うちの話なのか分からない…」。

そう感じた方がいらっしゃるとしたら、それはご自身の理解不足ではありません。

検索結果に両方の制度が混在しているためで、まず制度を確かめる姿勢はむしろ正解といえるでしょう。

この加算が評価しているのは看護体制と医療的ケアの受入です

この加算が評価しているのは、看護職員が関わる体制と、医療的ケアが必要な方を受け入れた実績の2つです。

2つの軸がある理由は、グループホームの人員基準にあります。

認知症対応型共同生活介護では、看護職員の配置が必ずしも求められていません。

それでも現場では、ご入居者の重度化が静かに、しかし確実に進んでいます。

在宅酸素療法やインスリン注射、そして看取り。

数年前まで「医療機関へ」と考えられていた場面が、いまは日常のなかにあります。

だからこそ制度は、自事業所での雇用に限らず、外部との連携も含めて看護体制を評価する形をとっているのです。

もう一方の軸が、医療的ケアが必要なご入居者を実際に受け入れたことへの評価。

体制を整えるだけでなく、その体制を使って受け入れた事実にも報酬上の裏づけが用意されています。

「最期までここで過ごしていただきたい」。

ご家族からそう言われたとき、現場が抱く不安は決して小さくないはずです。

この加算は、その不安を体制づくりへと変えていくための後押しだと、私たちは受け止めています。

 

令和6年度改定で4つの区分に再編されました

令和6年度の介護報酬改定により、この加算は4つの区分に再編されました。

内訳は、体制を評価する(Ⅰ)イ・ロ・ハと、受入を評価する(Ⅱ)です。

  • 医療連携体制加算(Ⅰ)イ・ロ・ハ

看護職員の確保方法に応じて、看護体制そのものを評価する区分です。イ・ロ・ハの順に単位数が変わります。

  • 医療連携体制加算(Ⅱ)

喀痰吸引などの医療的ケアが必要なご入居者を受け入れたことを評価する区分です。

ここで注意していただきたいのが、令和3年度までの区分との関係。

改定前は(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の3区分でしたが、番号がそのまま横滑りしたわけではありません。

旧(Ⅱ)を算定していたから新(Ⅱ)になる、という読み替えは成り立たないのです。

「改定は知っていたが、請求ソフトの設定は前のままかもしれない」。

そんな心当たりがある場合は、届出内容と現在の算定区分を早めに突き合わせておきたいところです。

各区分の単位数と、旧区分からの読み替えは次の章の早見表で確認できます。

なお、実際の適用にあたっては、告示・解釈通知と保険者からの案内を必ずご確認ください。

医療連携体制加算の単位数一覧【令和6年度改定後】

医療連携体制加算の単位数一覧【令和6年度改定後】

令和6年度の改定後、医療連携体制加算は(Ⅰ)イ・ロ・ハと(Ⅱ)の4区分に整理されました。

1日あたりの単位数は、(Ⅰ)イが57単位、ロが47単位、ハが37単位、(Ⅱ)が5単位です。

(Ⅰ)の3区分を分けている軸は、看護職員をどのように確保しているか。

ここでは単位数と主な要件を一覧で押さえ、令和3年度までの区分からの読み替えまで確認していきましょう。

体制を評価する(Ⅰ)イ・ロ・ハの単位数と主な要件

(Ⅰ)のイ・ロ・ハは、看護職員の確保が手厚いほど単位数が高くなる3段階の構成です。

自事業所で看護師を雇用しているのか、それとも外部との連携で確保しているのか。

その違いが、10単位刻みの差となって表れます(イとハでは1日あたり20単位の差)。

まずは区分ごとの単位数と、看護職員の確保方法を並べてご覧ください。

区分

単位数(1日)

看護職員の確保方法

(Ⅰ)イ

57単位

事業所の職員として看護師を常勤換算1名以上配置

(Ⅰ)ロ

47単位

事業所の職員として看護職員を常勤換算1名以上配置

(Ⅰ)ハ

37単位

事業所の職員として、または病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携により看護師を1名以上確保

イとロを分けるのは、准看護師を含む「看護職員」でよいかどうかという点です。

一方のハは、外部との連携による確保も認められる区分。

ただしハの場合も、確保すべきは「看護師」であり、准看護師では要件を満たしません。

そのうえで、イ・ロ・ハのいずれにも共通して求められる要件が3つあります。

  • 看護職員の確保

事業所の職員としての配置、または病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携により確保します。

  • 24時間の連絡体制

事業所の職員である看護師、または病院・診療所・訪問看護ステーションの看護師との連携により、夜間や休日を含め常時連絡がとれる体制を確保しておく必要があります。ここでも求められるのは「看護師」ですので、准看護師のみを配置している(Ⅰ)ロの事業所は、外部の看護師との連携で連絡体制を組むことになります。

  • 重度化した場合の対応に係る指針

指針を定め、入居の際にご入居者・ご家族へ説明し、同意を得ておくことが求められます。

「まずは単位数の高い区分から検討したい」と考えたくなるかもしれませんね。

ただ、この3つが揃っていなければ、どの区分であっても算定には至りません。

なお、正式な要件は告示と解釈通知に定められています。

最終的な適用は、必ず一次情報と保険者の案内でご確認ください。

医療的ケアの受入を評価する(Ⅱ)の単位数と対象者

(Ⅱ)は1日あたり5単位で、医療的ケアが必要なご入居者を受け入れた実績を評価する区分です。

体制そのものを評価する(Ⅰ)とは、性格がまったく異なります。

(Ⅰ)が「整えた体制」への評価であるのに対し、(Ⅱ)は「実際に受け入れた事実」への評価。

そのため、算定にあたっては次の3点を押さえておきたいところです。

  • (Ⅰ)の算定が前提

(Ⅱ)は単独では算定できず、(Ⅰ)イ・ロ・ハのいずれかを算定していることが土台になります。

  • 受入実績の期間

算定日が属する月の前3月間に、告示に定める状態に該当するご入居者が1人以上いることが求められます。令和3年度までは「前12月間」でしたが、令和6年度改定で「前3月間」に短縮されました。

  • 要件は事業所単位で判定します

告示は「前3月間において、次のいずれかに該当する状態の入居者が1人以上であること」と定めており、算定対象を当該ご入居者に限る規定は置かれていません。体制等に関する届出(体制届)で届け出る加算であり、要件を満たしている月について1日5単位を算定する取扱いです。

ここで気をつけたいのは、「一度届け出れば、その後もずっと算定できる」という思い込みです。

実績が途切れて要件を満たさなくなれば、その期間は算定できません。

実際、保険者のQ&Aでも「前3月間に医療的ケアの受入実績がない場合は、体制届の対象とはならない」と示されています。

5単位という数字は決して大きくありませんが、要件の判定を誤れば返還の対象になり得ます。

月ごとに実績を確認できる状態にしておきましょう。

対象となる状態は告示で11項目が列挙されており、令和6年度改定で2項目が追加されました。

加わったのは、留置カテーテルを使用している状態と、インスリン注射を実施している状態です。

1. 喀痰吸引を実施している状態

2. 呼吸障害等により人工呼吸器を使用している状態

3. 中心静脈注射を実施している状態

4. 人工腎臓を実施している状態

5. 重篤な心機能障害、呼吸障害等により常時モニター測定を実施している状態

6. 人工膀胱又は人工肛門の処置を実施している状態

7. 経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養が行われている状態

8. 褥瘡に対する治療を実施している状態

9. 気管切開が行われている状態

10. 留置カテーテルを使用している状態(令和6年度追加)

11. インスリン注射を実施している状態(令和6年度追加)

ご入居者ごとに、この11項目と照らし合わせて確認していきましょう。

令和3年度までの(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)からの読み替え早見表

令和3年度までの(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)は、番号がそのまま新しい区分に対応するわけではありません。

むしろ、単位数の並びは逆順に対応していると捉えたほうが正確です。

旧(Ⅲ)59単位がもっとも手厚い体制を評価していたため、改定後は(Ⅰ)イに対応します。

改定前後の対応関係を、単位数と併せて整理しました。

令和3年度までの区分

単位数

改定後の対応区分

単位数

(Ⅰ)

39単位

(Ⅰ)ハ

37単位

(Ⅱ)

49単位

(Ⅰ)ロ

47単位

(Ⅲ)

59単位

(Ⅰ)イ

57単位

(該当なし)

-

(Ⅱ)(新設)

5単位

改定前は、旧(Ⅱ)・(Ⅲ)が「看護職員の配置」と「医療的ケアが必要な方の受入実績」の両方を要件としていました。

令和6年度改定では、この2つの要件が切り分けられます。

体制の評価は(Ⅰ)イ・ロ・ハとして単位数を2単位ずつ下げたうえで残し、受入実績の評価を(Ⅱ)として独立させた形です。

そのため、旧(Ⅱ)・(Ⅲ)を算定していた事業所は、実績要件を満たさない月でも(Ⅰ)ロ・イは算定できることになります。

見落としが起きやすいのは、請求ソフトの区分設定ではないでしょうか。

「改定は知っていたが、設定は現場任せだった」というお話をうかがうこともあります。

改定後に一度も設定を見直していない場合は、この表と請求明細を突き合わせてみてください。

(Ⅰ)の区分を分けるのは看護職員の確保方法です

ここまでの整理をひと言でまとめると、(Ⅰ)の区分を決めているのは看護職員の確保方法です。

覚えるべき軸は、2つしかありません。

雇用か連携か。

そして、看護師か看護職員か。

  • 雇用か、連携か

事業所の職員として配置しているか、医療機関や訪問看護ステーションとの連携で確保しているか。

  • 看護師か、看護職員か

准看護師を含む看護職員でよい区分と、看護師であることが求められる区分に分かれます。

この2軸を自事業所に当てはめれば、狙える区分はおおよそ絞り込めるはずです。

逆にいえば、単位数の高い区分を目指すなら、体制設計そのものから考える必要があるということ。

「今の体制のままで、いちばん高い区分を取りたい」という発想では、どこかで行き止まりになります。

私たちが現場の皆様とお話ししていても、ここを最初に整理できた事業所ほど、その後の判断は速いと感じています。

次は、この確保方法を含めた要件を、自事業所の状況に照らして確認していきましょう。

算定要件を自己診断する5つのチェック項目

算定要件を自己診断する5つのチェック項目

自事業所が算定できるかどうかは、5つの項目を順に確認していけば、おおよその見当がつきます。

区分がいくつあっても、土台となる要件は共通しているからです。

看護職員の確保、24時間の連絡体制、そして重度化した場合の対応に係る指針の整備と説明・同意。

ここに、(Ⅱ)の実績要件の確認を加えた5点が、自己診断の骨格になります。

まずは全体像を一覧で押さえてから、一つずつ「はい」「いいえ」で答えてみてください。

No

チェック項目

確認するポイント

1

看護職員の確保

雇用または外部連携で確保できているか

2

24時間の連絡体制

夜間・休日も看護師に連絡がつくか

3

指針の整備

重度化時の対応方針を文書化しているか

4

説明と同意

入居の際に説明し同意を得た記録があるか

5

(Ⅱ)の実績確認

前3月間の受入実績を月ごとに確認できるか

一つでも「いいえ」が残るなら、そこが優先して整えるべき箇所です。

看護職員を確保できていますか

最初の分岐点は、看護職員を確保できているかどうかです。

ここでいう確保は、必ずしも「自事業所で雇用すること」だけを指しません。

病院や診療所、訪問看護ステーションとの連携によって確保する方法も認められています。

確保の形は、大きく3つに整理できます。

  • 職員として看護師を配置する

自事業所で看護師を採用し、職員として常勤換算1名以上配置する形です。もっとも手厚い区分を狙えます。

  • 職員として看護職員を配置する

准看護師を含む看護職員を、自事業所の職員として常勤換算1名以上配置する形になります。

  • 医療機関・訪問看護ステーションと連携する

外部との連携により看護師を確保する形です。雇用が難しい事業所にとって現実的な選択肢といえるでしょう。

「うちには看護師がいないから、この加算は関係ない」。

そう思い込んでいらっしゃる事業所は、決して少なくありません。

けれども実際には、要件を満たせないのではなく、これまで誰も検討してこなかっただけという場合もあります。

まずは自事業所がどの形に当てはまるのかを、落ち着いて確かめてみてください。

なお、協力医による往診だけでは看護職員の確保にはあたりません。

見落としの多い論点ですので、次章であらためて詳しく整理します。

判定:いずれかの形で確保できている → はい/確保していない・分からない → いいえ

24時間の連絡体制は整っていますか

24時間の連絡体制は、どの区分を狙う場合でも共通して求められる要件です。

ここで問われているのは、看護師が24時間常駐していることではありません。

夜間や休日であっても看護師に連絡がつき、必要な助言や指示を受けられる状態を指します。

つまり、人の配置ではなく「つながる仕組み」が評価されているわけです。

体制として説明できる状態にするには、次の4点を確認しておきたいところ。

  • 連携先との間で、24時間の連絡に応じる旨の取り決めがある

  • 連絡先と連絡手順が、文書として定められている

  • 夜勤者がすぐ使える形で、連絡先が共有・掲示されている

  • 連絡した日時と内容を、記録に残せる状態になっている

「番号は知っているが、夜中に電話をかけたことは一度もない」。

そんな状態は、はたして体制と呼べるでしょうか。

現場の実感として、誰へ連絡するかが決まっていない事業所ほど、夜勤者の心理的な負担は重くなります。

逆に、手順が一枚の紙にまとまっているだけで、現場の安心感は驚くほど変わるものです。

要件を満たすためだけでなく、日々のケアを支える仕組みとして整えていきましょう。

判定:取り決めと手順が文書で整っている → はい/口頭の了解にとどまる → いいえ

重度化した場合の対応に係る指針はありますか

3つ目のチェックは、「重度化した場合の対応に係る指針」を定めているかどうかです。

指針とは、ご入居者の状態が重くなったときに事業所としてどう対応するのかを、あらかじめ文書にまとめたもの。

これも全区分に共通する要件であり、指針がなければ算定は成り立ちません。

一般的には、次のような内容を盛り込んでおくと、実務でも使える指針になります。

  • 重度化したときの基本方針

どこまでを事業所で支え、どこからを医療機関に委ねるのかという考え方を示します。

  • 医療機関・連携先との連携方法

協力医療機関や訪問看護ステーションへの連絡経路と、それぞれの役割分担を明記します。

  • 看取りに関する方針と体制

看取りを希望された場合の対応と、そのときに整える体制について記載します。

  • 退居・入院を検討する場合の考え方

判断の目安と手続きの流れを、ご家族にも伝わる言葉で書いておきます。

注意したいのは、ひな形をそのまま使っているケース。

「作ったきり、一度も開いていない」という指針では、運営指導の場で説明しきれません。

記載されている看護体制や協力医療機関の名称が、現在の実態と合っているか見直してみてください。

指針は要件であると同時に、事業所の姿勢をご家族へ伝える文書でもあります。

判定:自事業所の実態に合った指針がある → はい/未整備・ひな形のまま → いいえ

指針をご入居者・ご家族に説明し同意を得ていますか

指針は「定めるだけ」では要件を満たしません。

入居の際にご入居者・ご家族へ内容を説明し、同意を得て、その記録を残すところまでが一体です。

運営指導では、この同意の記録がもっとも確認されやすい部分といえるでしょう。

確認していただきたいのは、次の4点。

  • 説明した日付と、説明者の氏名が残っている

  • ご入居者またはご家族の署名・記名が揃っている

  • 対象となる方の分がそろい、保管場所が決まっている

  • 新たに算定を始める場合、現に入居されている方への説明・同意も済んでいる

「同意書が一部見当たらない…」。

書類を確認していて、そう気づいた瞬間の心細さは、経験された方でなければ分からないかもしれません。

ただ、不備に気づけたこと自体は確かな前進です。

過去分の取扱いや、遡っての対応をどうするかは、判断が分かれる場面もあります。

自己判断で処理を進めず、保険者の案内を確認したうえで是正されることをおすすめします。

判定:説明・同意の記録がそろっている → はい/欠落や不明がある → いいえ

(Ⅱ)の受入実績を月ごとに確認できていますか

最後は、(Ⅱ)を算定する場合の実績確認です。

(Ⅱ)は「算定日が属する月の前3月間に、告示の11項目に該当する状態のご入居者が1人以上いること」が要件。

つまり、体制さえ整っていればよい(Ⅰ)とは違い、月ごとに実績の有無が変わり得ます。

そのうえで、日々の算定を判断する際は次の点にご注意ください。

  • 入院や外泊で不在となった日の取扱い

  • 月の途中で入居・退居された方の算定日数

  • 短期利用の受入がある場合の考え方

  • 請求ソフトの区分設定が、現在の届出内容と一致しているか

これらは保険者によって案内の細部が異なる場合もあります。

「今の運用は黒か白か」をはっきりさせたい場面だからこそ、思い込みでの判断は避けたいところです。

5つの項目をすべて「はい」で通過できたなら、算定に向けた土台は整っているといえます。

そして「いいえ」が残った項目こそ、次に着手すべき課題そのものではないでしょうか。

判定:前3月間の実績と算定日数を説明できる → はい/整理できていない → いいえ

訪問看護ステーション・協力医療機関との連携実務

訪問看護ステーション・協力医療機関との連携実務

看護職員を自事業所で雇用していない場合、外部との連携が現実的な選択肢になります。

ただし、連携によって確保できる区分には上限があります。

契約の形をどう組み立てるかで、狙える区分も、依頼先との話の進め方も変わってくるからです。

ここでは契約形態と区分の関係から、依頼時の説明材料、医療保険との給付調整、そして往診との違いまでを整理していきましょう。

契約の形で算定できる区分が変わります

訪問看護ステーションや医療機関との連携で看護師を確保する場合、対象となるのは(Ⅰ)ハです。

1日あたり37単位の区分。

(Ⅰ)イ・ロは、いずれも事業所の職員として看護師・看護職員を常勤換算1名以上配置することが前提になります。

つまり、外部との契約だけでイやロに届くわけではありません。

確保の形と区分の対応を、あらためて並べてみます。

看護職員の確保の形

該当する区分

単位数(1日)

職員として看護師を常勤換算1名以上配置

(Ⅰ)イ

57単位

職員として看護職員を常勤換算1名以上配置

(Ⅰ)ロ

47単位

病院・診療所・訪問看護STとの連携で看護師を確保

(Ⅰ)ハ

37単位

「契約さえ結べば、いちばん高い区分が取れると思っていた…」。

そうした受け止めをうかがうこともありますが、ここは切り分けて考えたいところです。

一方で、24時間連絡できる体制のほうは、外部の看護師との連携で確保する形が認められています。

雇用がなければ連絡体制も組めない、というわけではありません。

契約は書面で交わし、委託する業務の範囲を明記しておきましょう。

届出の際に、連携を裏づける書類を求められる場合があるためです。

訪問看護ステーションへ依頼するときの説明材料

依頼が前に進むかどうかは、お願いしたい内容をどこまで具体化できているかで決まります。

訪問看護ステーションにとって、グループホームとの契約は日常業務の延長線上にあるとは限りません。

だからこそ、相手が判断できる材料をそろえて伺うことが近道になるのです。

事前に整理しておきたい項目を挙げてみます。

  • 事業所とご入居者の状況

ユニット数と定員、在宅酸素や喀痰吸引など医療的ケアの現状を具体的にお伝えします。

  • 依頼したい業務の範囲

24時間の連絡対応、急変時の相談、重度化した場合の対応に係る指針への助言など、担っていただきたい役割を明確にします。

  • 連絡・訪問の想定頻度

月あたりどの程度の連絡や訪問を見込むのか、時間帯の想定も含めて提示します。

  • 費用負担と契約の形

事業所が費用を負担する業務委託の形が一般的です。金額の考え方も事前に整理しておきましょう。

  • 届出に必要な書類

加算の届出で契約書等の提出を求められる場合があるため、その旨も共有しておきます。

「断られたらどうしよう」という不安から、話を切り出せずにいる方もいらっしゃるかもしれませんね。

ただ、相手が知りたいのは、責任の範囲と負担の見通しではないでしょうか。

そこを先回りしてお示しできれば、対話はぐっと進みやすくなります。

制度の理解は、交渉の場でそのまま説明材料になってくれるものです。

医療保険の訪問看護との給付調整の考え方

グループホームにお住まいの方は、介護保険の訪問看護を利用できないのが原則です。

認知症対応型共同生活介護そのものが、介護保険のサービスだからです。

居宅サービスである訪問看護費とは、原則として併給されない仕組みになっています。

では、看護師の訪問が必要になったときはどうなるのか。

一定の条件のもとで、医療保険の訪問看護が利用できる場合があります。

  • 厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合

末期の悪性腫瘍や難病など、いわゆる別表第7に定められた疾病等が対象となります。

  • 特別訪問看護指示書が交付されている場合

主治医が急性増悪などで頻回の訪問が必要と判断した場合で、交付日から最長14日間が対象です。

  • 精神科訪問看護基本療養費を算定する場合

精神疾患を有する方への訪問看護が該当します。ただし、病名が認知症のみの場合は原則として対象外で、精神科在宅患者支援管理料の算定など別途の条件が必要です。グループホームのご入居者では該当する場面が限られる点にご注意ください。

ここで整理しておきたいのが、加算にもとづく連携との関係。

医療連携体制加算が評価しているのは、事業所が契約によって確保した看護体制です。

費用は事業所が負担する形が一般的で、医療保険から給付される訪問看護とは財源が異なります。

同じ訪問について両方から給付を受けるような重複は、避けなければなりません。

「訪問看護が入っているのだから加算も当然取れる」という理解は、いったん脇に置いてみてください。

給付調整は、ご入居者の状態や契約内容によって判断が分かれる領域です。

迷う場面では、保険者や地方厚生局に確認しておくと安心でしょう。

協力医の往診だけでは要件を満たしません

協力医療機関の医師による往診があっても、それだけでこの加算の要件は満たせません。

加算が求めているのは、看護師の確保と、看護師との24時間連絡体制だからです。

医師と看護師は、制度上まったく別の職種として整理されています。

実際、国のQ&Aでも「看護師を確保することなく、単に協力医療機関により医師による定期的な診療が行われているだけでは算定できない」旨が示されています。

「協力医の先生とは、夜間でも連絡がつくのだが…」。

そうお話しくださる管理者の方は、決して少なくありません。

しかし、24時間連絡できる体制として求められるのは、事業所の職員である看護師との連絡体制。

あるいは、病院・診療所・訪問看護ステーションの看護師との連携による体制です。

主治医との関係が良好であることと、加算の要件を満たしていることは、別の話なのです。

もちろん、協力医療機関との連携そのものは、運営基準上あらかじめ定めておくことが求められる大切な枠組みといえます。

往診体制がご入居者とご家族の安心を支えていることに、疑いの余地はありません。

そのうえで加算を算定するのであれば、看護師の確保という軸を、あらためて設計する必要があります。

日々のケアと並行して体制づくりを進めておられる皆様には、頭が下がる思いです。

だからこそ、遠回りにならないよう、要件は要件として切り分けて整えていきたいところではないでしょうか。

体制届の提出から算定開始までの進め方

体制届の提出から算定開始までの進め方

要件が揃っていても、届出を提出しなければ加算の算定は始まりません。

体制届は、算定を始めたい月の初日までに受理されている必要があります。

提出先は都道府県ではなく、事業所が所在する市町村。

ここを取り違えると、せっかく整えた体制が1か月分空振りになってしまいます。

この章では、提出先と期限、そろえておきたい書類、算定開始月の決まり方を順に確認していきましょう。

届出の提出先と提出期限

体制届の提出先は、事業所が所在する市町村(保険者)です。

認知症対応型共同生活介護は地域密着型サービスに位置づけられ、指定と指導監督を市町村が担っているためです。

都道府県へ提出するサービスと混同しやすいところ。

複数の市町村からご入居者を受け入れている場合でも、届出先は事業所所在地の市町村になります。

提出期限は、算定を開始したい月の初日までです。

認知症対応型共同生活介護では、届出が受理された日の属する月の翌月から算定を開始する取扱いです。

例外は、月の初日に受理された場合のみ。

このときに限り、その月から算定できます。

届出が受理された日

算定を開始できる月

4月1日

4月分から

4月2日以降

5月分から

たった1日の差で、算定開始が1か月ずれてしまうわけです。

「要件は整っていたのに、提出が数日遅れただけで1か月分を逃した」。

そうした声を、現場でうかがうこともあります。

ここで注意したいのが、訪問系・通所系サービスとの違いです。

それらのサービスでは「15日以前の届出は翌月から、16日以降は翌々月から」という取扱いが用いられます。

認知症対応型共同生活介護は、この15日ルールの対象ではありません。

複数のサービスを併設している事業所ほど、混同が起きやすいところです。

実際、保険者の案内でも認知症対応型共同生活介護など居住系サービスだけ「月の初日までに受理されれば当該月から算定開始」と別扱いで示されています。

ただし、受付方法や初日が休日にあたる場合の取扱いは保険者ごとに異なります。

年度替わりの2月から4月は、窓口が混み合いやすい時期でもあります。

提出の前に、市町村の介護保険担当課へ一度ご相談いただくのが確実といえるでしょう。

なお、(Ⅱ)については「前3月間の受入実績がない状態では体制届の対象とならない」と案内している保険者もあります。

届出の時点で実績を示せるかどうかも、あわせて確認しておきたいところです。

そろえておきたい届出書類と添付資料

届出でそろえる書類は、様式一式と、要件を裏づける添付資料の2種類に分かれます。

窓口が確認したいのは、書類の体裁ではなく体制が実際に存在するかどうか。

だからこそ、契約書や指針といった実物の写しが求められます。

多くの保険者で共通して求められる書類を挙げてみます。

  • 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書

全サービス共通の様式で、届出の表紙にあたる書類です。

  • 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表

算定する加算と区分を記載します。医療連携体制加算の欄で(Ⅰ)イ・ロ・ハ、(Ⅱ)のいずれかを選びます。

  • 医療連携体制加算に係る届出書(別紙様式)

看護職員の確保方法や24時間の連絡体制を記載する様式が用意されています。

  • 看護職員の資格を確認できる書類

免許証の写しなどです。看護師か准看護師かで区分が変わるため、届出内容と揃っているか確認しましょう。

  • 確保方法を裏づける書類

雇用契約書の写し、または訪問看護ステーション・病院・診療所との契約書や協定書の写しです。

  • 重度化した場合の対応に係る指針

事業所で定めた指針そのものの写しを求められることがあります。

ここで見落としが起きやすいのが、契約書の中身ではないでしょうか。

「契約は交わしたが、24時間の連絡体制について文言がなかった」という行き違いは起こり得ます。

加算の要件に対応する内容が盛り込まれているか、提出前に読み返しておきたいところです。

様式は保険者のホームページで公開されているのが一般的。

改定や運用の変更で更新されることがあるため、必ず最新版を入手してください。

算定開始月の決まり方と注意点

算定開始月を決めるのは、体制が整った日ではなく、届出が受理された時期です。

体制を整えた月までさかのぼって算定する、という考え方は成り立ちません。

つまり、届出の締切から逆算して動くことが実務上の要点になります。

体制整備から算定開始までの流れを、時系列で並べてみましょう。

1. 看護職員の確保方法を決め、雇用または連携先との契約手続きを進める

2. 重度化した場合の対応に係る指針を整備する

3. 指針をご入居者・ご家族へ説明し、同意を得て記録に残す

4. 保険者へ事前に相談し、様式と締切日を確認する

5. 算定を始めたい月の初日までに受理されるよう届出を提出する

6. 受理後、算定開始月に合わせて請求ソフトの区分設定を変更する

最後の設定変更も、どうか忘れずに。

届出は済んでいるのに設定が旧区分のまま、という取り違えは実際に起こります。

もうひとつ大切なのが、体制が変わったときの届出です。

看護職員の退職や契約終了で要件を満たさなくなった場合は、速やかに変更の届出を行います。

要件を欠いたまま算定を続ければ、過誤調整や返還につながりかねません。

区分を上げるときも下げるときも、届出が伴うと覚えておきましょう。

体制の変化をそのつど届出に反映させる習慣が、加算を安心して算定し続ける支えになるはずです。

運営指導で問われる記録の残し方

運営指導で問われる記録の残し方

要件を満たしていても、それを裏づける記録がなければ算定の根拠は示せません。

運営指導で確認されるのは、届出の内容そのものよりも、日々どう運用してきたかです。

なお、かつて「実地指導」と呼ばれていた仕組みは、令和4年度から「運営指導」に名称が改められています。

書類確認やオンラインの活用も想定された形になりましたが、確認される中身の考え方は変わりません。

体制は整えた、届出も出した。

それでも記録が欠けていれば、説明の足場が崩れてしまいます。

この章では、残しておきたい記録の種類、指摘につながりやすい不備、そして記録の負担を軽くする工夫を順に見ていきましょう。

日々残しておきたい記録の種類

医療連携体制加算の記録は、体制を示すものと日々の関わりを示すものの2層で捉えると整理しやすくなります。

2層に分ける理由は、更新のタイミングがまるで違うからです。

契約書や指針は年単位でしか動きませんが、看護職員とのやり取りは毎日積み上がっていきます。

性格の異なる記録を同じ場所に混ぜてしまうと、求められたときに取り出せません。

記録の層

主な記録

残すタイミング

体制を示す記録

契約書・勤務表・連絡網・指針・同意書

契約時、入居時、見直し時

日々の関わりの記録

看護職員の訪問や助言、夜間の連絡、医療的ケア

その都度

  • 看護職員の訪問・助言・相談の記録

いつ、誰が、どのご入居者について、どのような助言を行ったのかを残します。訪問看護ステーションとの連携で確保している場合は特に重要です。

  • 夜間・休日に連絡した日時と内容

24時間の連絡体制は、体制があることと使われていることの両方で説明できると安心です。

  • 医療的ケアの実施記録

喀痰吸引などの対応は、(Ⅱ)の実績要件を判定する際の根拠にもなります。

  • 主治医・協力医療機関とのやり取り

受診や指示の内容を残しておくと、重度化への対応経過が一本の線でつながります。

「記録はあるはずなのに、どこにあるかすぐには答えられない…」。

そんな状態に心当たりがあるとしたら、まず整えるべきは記録の量ではなく置き場所です。

誰が見ても同じ順路で辿れること。

それが、記録を守る第一歩といえるでしょう。

指摘や返還につながりやすい不備の類型

指摘の多くは制度の理解不足ではなく、「あるはずのものが揃っていない」という形で起こります。

体制そのものは適切でも、それを示す一枚が抜けている。

この加算では、そうした取りこぼしが不備として表面化しやすいのです。

現場でうかがう話や公表されている指導事例からは、次のような類型が見えてきます。

  • 同意の記録が一部だけ欠けている

指針の説明と同意は、ご入居者ごとに必要です。長く入居されている方の分が見当たらない、という形で発覚します。

  • 指針の内容が古いまま

作成後に一度も見直していないと、現在の協力医療機関や連絡体制の記載と食い違うことがあります。

  • 連絡体制が書面だけで終わっている

連絡網は整えたものの、実際に連絡した記録が残っていないケースです。

  • 届出区分と実際の体制がずれている

改定後に請求ソフトの設定を見直さないまま、旧区分の感覚で算定が続いている場合などが該当します。

  • (Ⅱ)の実績要件を判定した根拠が残っていない

医療的ケアの内容と実施状況が記録から追えないと、前3月間の実績を説明できません。

不備が確認された場合、過去に遡って返還を求められることもあります。

「一つ見つかると、他にもあるのではないか…」。

そう感じてしまうお気持ちは、私もよく分かります。

ただ、判断に迷う点があるなら、指導日を待たずに保険者や顧問の専門家へ相談する道もあるはずです。

不備の多くは、日々の記録の置き方を整えるだけで防げるものだと感じています。

記録の負担を軽くするICT活用のヒント

記録は増やすのではなく、日々のケア記録のなかに自然と残る形へ変えていくのが現実的です。

加算のための記録を別立てで作ろうとすると、まず続きません。

現場はただでさえ、記録に追われています。

私たちが全国の事業所とお話ししてきたなかでも、記録業務が勤務時間を押し広げているという声は決して少なくありませんでした。

そこに加算対応の書類が上乗せされれば、負担はさらに重くなってしまいます。

だからこそ、記録の入口そのものを見直したいところです。

  • 入力の入口をひとつにまとめる

看護職員への連絡や助言も、介護記録と同じ場所に残します。別のノートに書き分けるほど、後から探せなくなります。

  • あとから抽出できる形にする

ご入居者や期間で絞り込めれば、提出書類の準備にかかる時間は大きく変わります。

  • 紙の書類は電子で紐づける

同意書などはスキャンし、ご入居者の記録と結びつけておくと確認が速くなります。指定基準では、書面に代えて電磁的記録による作成・保存が認められています。

 保存年限とバックアップを決めておく

国の基準は完結の日から2年間ですが、条例で5年間と定めている自治体も少なくありません。自事業所の所在地の規定を確認しておきましょう。

「記録のための記録が増えるのは避けたい」。

その感覚は、まったく正しいと思います。

記録は運営指導のために残すものではなく、ご入居者を支えた事実を残すもの。

テクノロジーの力でその重荷を軽くできれば、本来向き合うべきケアの時間を取り戻せるのではないでしょうか。

【FAQ】グループホームの医療連携体制加算のよくある質問

【FAQ】グループホームの医療連携体制加算のよくある質問

ここまでの内容を踏まえ、現場の皆様からよくいただく質問を6つにまとめました。

いずれも、要件を読み込んだうえでなお迷いやすい論点です。

「制度は理解したつもりでも、自事業所に当てはめると急に自信がなくなる」。

そう感じるのは、決して珍しいことではありません。

判断の拠りどころとなるよう、確認先も添えながら回答していきます。

自事業所はこの記事の対象になりますか?

判断の基準は、事業所が指定を受けている根拠法です。

介護保険法に基づく認知症対応型共同生活介護であれば、本記事の区分が対象になります。

障害者総合支援法に基づく共同生活援助の場合は、障害福祉サービス等報酬の別区分をご覧ください。

呼び名が同じでも、単位数も要件も別の制度として設計されています。

手元で確かめる方法は、次の3つが確実でしょう。

  • 指定通知書

都道府県または市町村から交付された書類に、指定を受けたサービスの種類が記載されています。

  • 運営規程

事業の目的や運営方針の冒頭に、根拠法とサービス名が明記されています。

  • 国保連へ伝送しているサービスコード

請求データのサービス種類コードから、どちらの制度かを判別できます。

「いまさら根拠法から確認するのは気が引ける」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。

けれども、制度の取り違えは最も大きな事故につながります。

最初に一度だけ確かめておけば、その後の判断はすべてこの土台の上に積み上がっていくはずです。

加算はご入居者全員に算定できますか?

(Ⅰ)も(Ⅱ)も、事業所として要件を満たしている期間について、ご入居者に算定する加算です。

体制を評価する(Ⅰ)イ・ロ・ハは、看護体制という事業所単位の条件を評価しています。

(Ⅱ)についても、告示の要件は「算定日が属する月の前3月間に、該当する状態の入居者が1人以上であること」。

つまり事業所単位の実績要件であり、算定対象を当該ご入居者に限る旨の規定は置かれていません。

ただし、(Ⅰ)と(Ⅱ)では要件の性格が違います。

(Ⅰ)は体制が続く限り安定していますが、(Ⅱ)は前3月間の実績次第で月ごとに変わり得るのです。

もう一点、注意していただきたいのが「要件を満たさない期間は算定できない」という原則です。

たとえば、連携先との契約が終了してしまった場合。

あるいは、24時間の連絡体制が一時的に途切れてしまった場合。

こうした変化があれば、その期間の算定可否を改めて確認する必要があります。

体制が動いたときは、請求作業に入る前に保険者へ確認しておくと安心ではないでしょうか。

看護師は事業所で雇用しなければなりませんか?

いいえ、雇用に限られません。

病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携により、看護師を確保する方法も認められています。

看護職員の配置が必ずしも求められていない、グループホームの人員基準を踏まえた設計といえるでしょう。

ただし、確保の方法によって算定できる区分が変わります。

  • 事業所の職員として配置する場合

(Ⅰ)イまたはロが対象です。看護師か看護職員かによって区分が分かれます。

- 外部との連携で確保する場合

  • 外部との連携で確保する場合

(Ⅰ)ハが対象です。連携先としては病院・診療所・訪問看護ステーションが想定されています。

なお、協力医療機関の往診だけでは要件を満たしません。

この点は訪問看護ステーションとの連携実務を扱った章で詳しく触れていますので、契約を検討する前にご確認ください。

「看護師を雇用できないから」と算定を諦めていた事業所こそ、連携という選択肢を検討する価値があります。

(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できますか?

はい、同時に算定できます。

そもそも(Ⅱ)は、(Ⅰ)イ・ロ・ハのいずれかを算定していることが前提の区分です。

体制を整えたうえで、医療的ケアが必要な方を実際に受け入れる。

その積み重ねを評価する仕組みだからです。

たとえば(Ⅰ)イを算定している事業所が(Ⅱ)の要件も満たす場合。

1日あたり57単位に5単位が上乗せされ、合計62単位となります。

一方で、(Ⅰ)のイ・ロ・ハを重ねて算定することはできません。

イ・ロ・ハは看護職員の確保方法に応じた段階であり、いずれか一つを選ぶ形になります。

「(Ⅰ)を算定しているのだから(Ⅱ)も当然」ではなく、前3月間の実績確認が別に必要。

この違いを押さえておけば、請求時の迷いはかなり減るはずです。

区分を変更したいときはどうすればよいですか?

体制等に関する届出を、新しい区分の内容で提出し直します。

看護体制を強化して上位区分を目指す場合も、体制の縮小により下位区分へ移る場合も、手続きは同じです。

提出のタイミングによって算定を開始できる月が変わりますので、届出の手順を扱った章もあわせてご覧ください。

見落としが起きやすいのは、むしろ下位区分へ変更するケースではないでしょうか。

連携先との契約が終了したにもかかわらず、届出も請求区分もそのまま。

この状態で算定を続ければ、後日の返還につながりかねません。

届出を見直すきっかけになる場面を、あらかじめ想定しておくと安全です。

  • 看護職員を新たに雇用した、あるいは退職により配置状況が変わったとき

  • - 訪問看護ステーション等との連携契約を開始した、または終了したとき

    - 連携先の変更により、24時間の連絡体制の確保方法が変わったとき

    訪問看護ステーション等との連携契約を開始した、または終了したとき

  • 連携先の変更により、24時間の連絡体制の確保方法が変わったとき

体制が動いたら、届出を見直す。

この習慣こそが、運営指導での指摘を未然に防ぐいちばんの近道だと感じています。

単位数や区分はいつ見直されますか?

介護報酬は、原則として3年ごとに改定されます。

直近の改定は令和6年度で、医療連携体制加算もこのときに4区分へ再編されました。

次の改定は令和9年度(2027年度)が予定されています。

ただし、改定と改定の間にも動きはあります。

解釈通知やQ&Aが発出され、要件の取扱いが明確化されることがあるためです。

日頃から確認しておきたい情報源は、次の3つ。

  • 厚生労働省の告示・解釈通知・Q&A

制度の一次情報であり、最終的な判断はここに立ち返ります。

  • 保険者からの案内

都道府県・市町村の介護保険担当課から、届出様式や取扱いが示されます。

  • 集団指導の資料

指摘の多い項目が共有されるため、自事業所の運用を点検する材料になります。

改定のたびに区分は動く。

その前提に立って、届出内容と請求ソフトの設定を定期的に確認していただきたいと思います。

この一手間が、数年後の安心につながっていくのではないでしょうか。

まとめ:医療連携体制加算は看護職員の確保方法で決まります

【FAQ】グループホームの医療連携体制加算のよくある質問

今回は、自事業所が医療連携体制加算を算定できるか見極めたい方に向けて、

  • 令和6年度改定後の区分と単位数の早見表

  • 算定要件を自己診断する5つのチェック項目

  • 訪問看護ステーションとの連携と契約の実務

  • 体制届の提出から算定開始までの進め方

  • 運営指導で問われる記録の残し方

上記について、介護現場のICT化に20年以上携わってきた立場からお話してきました。

医療連携体制加算(Ⅰ)は、看護職員の確保方法で区分が決まります。

雇用か連携か、看護師か看護職員か。

この2つの軸を自事業所に当てはめれば、狙える区分はおのずと見えてくるでしょう。

そして(Ⅱ)は、前3月間の受入実績で判断する別の軸。

区分が定まれば、訪問看護ステーションへの相談も体制届の提出も、一歩ずつ進められます。

要件充足・届出・記録の三点が揃った運用は、運営指導の場でも揺らぐことはありません。

まずは自事業所の看護体制と指針の整備状況を、この記事の区分表に照らしてみてください。

制度を正しく理解することは、ご入居者を最期まで支える体制づくりの土台になるはずで

皆様の現場が一歩前へ進むことを、心より願っております。

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