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施設・サービス別に理解する公開日:2026/9/11
更新日:
2026/9/11

グループホームで毎日記録を書いている方なら、
「介護記録テンプレートがなくて、毎回ゼロから書いている」
「書き方は教わったのに、様式ごとに何を書けばよいか分からない」
こんなもやもやを抱えたまま、ペンを走らせているかもしれませんね。
記録が終わらない原因は、書く速さにはありません。
何をどこまで書けば足りるのか、その基準が施設内で共有されていないことにあります。
基準さえ決まれば、書く量を増やさないまま、指摘されない記録へ近づけます。
削ってよい記録と削ってはいけない記録の線引きが、職員全員の共通言語になるでしょう。
この記事では、グループホームの介護記録テンプレートを探している方に向けて、
場面別にそのまま使える記録の例文
記録様式・テンプレートの使い分けと一覧
介護計画と結びつける記録の書き方
記録の法的根拠と保存期間、運営指導での扱い
記録にかかる時間を短くする見直しの手順
上記について、介護現場のICT化に長く携わってきた筆者の視点を交えながら解説しています。
記録は、ご利用者様の生活を残す仕事であり、職員と施設を守る備えでもあります。
ぜひ参考にして、次の勤務で使える一行を持ち帰ってください。
この記事は介護保険のグループホーム(認知症対応型共同生活介護)向けです
障害福祉サービスのグループホーム(共同生活援助)は、根拠となる法令も記録の様式も異なります。障害福祉の支援記録については、支援記録の保存期間、何年?【障害福祉サービス】をご覧ください。
この記事の目次

グループホームの介護記録が書きにくいのは、職員一人ひとりの文章力の問題ではありません。
同じ「グループホーム」という言葉が二つの制度をまたいでいること、そして施設内に使える介護記録テンプレートがないことが重なっているためです。
まずは対象となる制度をはっきりさせ、迷いの正体をひとつずつほどいていきましょう。
本記事が扱うのは、介護保険制度の認知症対応型共同生活介護、いわゆる介護保険のグループホームです。
認知症の診断を受けた方が5〜9人のユニットで暮らし、家庭的な環境のなかで介護を受ける地域密着型サービスにあたります。
対象を限定するのは、記録に求められる中身がサービスの性格と強く結びついているからです。
グループホームでは、身体介助の量よりも「その方らしい生活が続いているか」が支援の中心に置かれます。
そのため記録も、処置の記述だけでは足りません。
生活の様子や意欲の変化を残してはじめて、支援の妥当性を説明できるようになります。
一般的な介護記録の解説を読んでもしっくりこなかった方は、この違いが理由だったのかもしれませんね。
同じ「グループホーム」でも、障害福祉サービスの共同生活援助はまったく別の制度です。
根拠となる法令が介護保険法ではなく障害者総合支援法であり、記録の様式も保存の考え方も異なります。
検索すると両方の情報が混ざって表示されるため、誤った様式を参考にしてしまう例は珍しくありません。
そう感じた方は、障害福祉サービス側の事業所の情報を参考にしている可能性があります。
判断に迷ったら、指定を受けているサービス名を運営規程で確かめてみてください。
以降は、介護保険のグループホームを前提に読み進めていただければと思います。
指導する先輩によって書き方が変わるのは、どちらかが間違っているからではありません。
記録の書式を法令が指定していないため、判断のよりどころが各職員の経験になっているからです。
運営基準が求めているのは「記録の整備」であり、文章の型ではないのです。
だからこそ「様子は細かく」という先輩も、「要点だけ簡潔に」という先輩も、それぞれの経験のなかでは正しいことを言っています。
問題は、どちらが正しいかではありません。
施設として一つの到達点を決めていないことにあります。
基準がないまま新しい職員が入れば、教える人の数だけ流儀が増えていくでしょう。
まず決めるべきは文章のうまさではなく、「何が残っていれば足りるのか」という線です。
現場に根強く残っている記録の誤解が、大きく二つあります。
一つ目は、長く詳しく書くほど良い記録だという思い込みです。
求められているのは分量ではなく、後から事実を再現できることだといえるでしょう。
読み返しても要点が特定できない長文は、事故や運営指導の場面でかえって使えません。
二つ目は、SOAP形式で書かなければならないという誤解です。
SOAPとは、主観的情報・客観的情報・評価・計画の順に整理する医療由来の書式を指します。
考えを整理するには有用ですが、法令が形式まで指定しているわけではありません。
施設内で書式が統一され、必要な事項が残っていること。
そこが本質だと、筆者は現場を見ていて感じています。
迷いをほどく手がかりは、例文・様式・介護計画の3点に絞られます。
場面別の例文をなぞり、様式ごとに書き分け、介護計画の目標と結びつける。
この三つがそろうと、書く量を増やさないまま記録の中身が変わっていきます。
例文:
場面ごとに「時刻・事実・反応」という並びを決めておくと、書き出しで手が止まる時間がなくなります。
様式:
日誌・個別ケース記録・バイタル表などの役割を分けると、同じ内容を二度書く無駄が減ります。
介護計画:
目標に対する実施内容と本人の反応が残っていれば、「足りているか」を自分で判断できます。
この3点を背骨として、次の章からテンプレートに沿った例文に入ります。

ここからは、一日の流れに沿って場面別の例文を並べていきます。
どの場面も「悪い例」「不適切な理由」「良い例」の3点セットで示しますので、ご自身の記録と見比べてみてください。
共通する型は「時刻・事実・反応」の三つだけです。
この並びさえ守れば、文章が得意でなくても後から追える記録になります。
食事の記録で残すのは、摂取量と、そこから見えた本人の様子です。
「全量摂取」だけでは、自力で食べられたのか、介助が必要だったのかが分かりません。
区分 | 記載例 |
|---|---|
悪い例 | 昼食全量摂取。水分もとれている。 |
不適切な理由 | 介助の有無と本人の様子が残らず、変化に気づけない |
良い例 | 12:10 昼食、主食10割・副食8割。声かけのみで自力摂取。汁物でむせ込み1回あり。 |
摂取量を割合で書くのは、食事形態を変えるかどうかの判断材料になるからです。
水分は「とれている」ではなく、一日の合計量を数値で残すと、脱水の兆候を早く拾えます。
むせ込みや食事時間の延びは、嘸下機能の変化を知らせるサインになることがあります。
気づいた事実をそのまま置いておけば、看護職員や医師が判断できる形になるでしょう。
排泄と入浴では、どこまで手を貸したかという介助量が要点になります。
介助量が残っていないと、状態が変わったときに「いつから」をたどれません。
区分 | 記載例 |
|---|---|
悪い例 | 入浴介助。特に問題なし。 |
不適切な理由 | 介助の程度と本人の反応が分からず、前回と比べられない |
良い例 | 15:20 入浴。浴槽のまたぎに一部介助。洗身は背部のみ介助し、他は自力。「気持ちよかった」と発言あり |
「一部介助」「見守り」といった言葉は、施設内で意味をそろえておくことが前提です。
排泄では、失禁の有無だけでなく誘導のタイミングと本人の訴えを残すと、支援の改善につながります。
皮膚の発赤や便の性状は、見たままを事実として書いてください。
判断ではなく観察を残す。
この姿勢が、記録の信頼性を支えます。
服薬とバイタルは、数値と「誰が確認したか」がそろってはじめて記録になります。
事故が起きた場面で最初に確認されるのが、この二つだからです。
区分 | 記載例 |
|---|---|
悪い例 | 朝食後薬、服薬済み。血圧やや高め。 |
不適切な理由 | 実施者が不明で、数値がないため経過を追えない |
良い例 | 8:15 朝食後薬を手渡し、内服を確認(介護職員・佐藤)。血圧138/82、脈折72、体或36.4℃。 |
「やや高め」のような主観的な表現は、読む人によって幅が出てしまいます。
普段の値と比べた評価は、数値を書いたうえで添えると誤解が生まれません。
飲み忘れや拒薬があった場合は、その事実と、その後の対応まで書ききることが大切です。
夜間巡視は、「特変なし」で終わらせないことが最大のポイントです。
何を確認したのかが残らないと、事故が起きたときに巡視した事実そのものを説明できません。
区分 | 記載例 |
|---|---|
悪い例 | 2:00 巡視、特変なし。 |
不適切な理由 | 確認した内容が不明で、実施の証跡として弱い |
良い例 | 2:00 居室訪問。ベッド上で入眠、呼吸は規則的。3:10 トイレへ移動され、ふらつきなく自室へ戻られる。 |
時刻・観察した事実・本人の反応の順に並べれば、文の長さを変えずに根拠が残ります。
夜勤は一人で回る時間帯が長く、記録に割ける時間も限られるでしょう。
だからこそ、書く順番を決めておくことが時間短縮につながります。
「今日は何を書こう」と考えている時間が、いちばん長いのですから。
BPSDや介助の拒否は、行動そのものより「前後の状況」を残すことに意味があります。
BPSDとは、認知症に伴う行動・心理症状を指す言葉です。
きっかけが分かれば、次に同じ場面を避けられるからです。
区分 | 記載例 |
|---|---|
悪い例 | 帰宅願望強く、興奮状態。対応困難。 |
不適切な理由 | 評価だけで事実がなく、対応を再現できない |
良い例 | 16:40 玄関前で「家に帰る」と繰り返される。夕食準備の物音が続いていた。台所へ誘導し盛り付けを一緒に行うと、表情が和らぐ。 |
「困難」「大変」といった言葉は職員の感想であり、次の支援には使えません。
きっかけ・かかわり・その後の変化という順で書くと、チーム共有の財産になっていきます。
拒否された場合も、無理に介助しなかった判断とその理由を残しておいてください。
受診同行と家族対応は、外部とのやり取りとして必ず記録に残す場面です。
言った言わないの食い違いを防ぐ役割を持つためです。
区分 | 記載例 |
|---|---|
悪い例 | 受診。薬が変わった。家族に連絡済み。 |
不適切な理由 | 医療機関名・変更内容・伝えた相手が特定できない |
良い例 | 10:00 ○○内科受診(同行:介護職員・田中)。降圧剤が朝1回へ変更。14:00 長女へ電話で報告、次回受診日を確認。 |
医療機関とのやり取りは、指示の内容と受けた職員名までそろえてください。
家族対応では、誰に・いつ・何を伝え、どんな返答があったかを書きます。
要望や苦情を受けた場合は、その場の対応と、施設内で共有した事実まで残しましょう。
この積み重ねが、いざというときに施設と職員を守ります。
最後に、記録に置いてはいけない表現を整理しておきます。
記録は家族や行政の目に触れる前提の文書だからです。
区分 | 記載例 |
|---|---|
悪い例 | 相変わらずわがままで、職員を困らせる。 |
不適切な理由 | 人格への評価であり、開示された際に信頼を損ねる |
良い例 | 入浴の声かけに「今日はやめておく」と返答。1時間後に再度声かけし、応じられる。 |
避けたい表現は、大きく三つに分けられます。
侮蔑的・評価的な表現:
「わがまま」「問題行動」など、人格への評価と受け取られる言葉は使いません。
根拠のない推測:
「〜と思われる」で終わらせず、そう考えた根拠となる事実を先に置きます。
あいまいな量の表現:
「たくさん」「少し」ではなく、数値や割合に置き換えます。
書き間違えたときは、修正液や塗りつぶしを使わないでください。
二重線と訂正者名を残す方法は、第5章で詳しく取り上げます。

記録が終わらない原因の多くは、様式の役割が決まっていないことにあります。
どの様式に何を書くかが曖昧だと、同じ内容を日誌にもケース記録にも書く「二度書き」が生まれます。
ここでは代表的な様式の役割を整理し、最後に一覧表としてまとめます。
日誌はユニット全体の出来事を、個別ケース記録は一人ひとりの経過を残す様式です。
同じ日の出来事でも、視点が「場」なのか「人」なのかで置き場所が変わります。
日誌に書くのは、勤務者、入居者全体の状況、来訪者、設備の不具合、申し送り事項などです。
一方、個別ケース記録には、その方の心身の状態、介護計画に沿った実施内容、本人の言葉や反応を残します。
「日誌に全部書いているから、ケース記録は簡単でいい」
この運用が、後から特定の方の経過を追えなくする原因になります。
運営指導や家族への説明で求められるのは、たいてい個人単位の経過だからです。
迷ったら「一人分を抜き出して読めるか」を基準にすると、置き場所が決まりやすくなります。
バイタル表と服薬記録は、数値と実施者を一覧で追うための様式です。
文章の記録と分けておくと、変化の傾向が一目で分かります。
バイタル表には、体温・血圧・脈拍・呼吸・酸素飽和度などを、測定した時刻とともに残します。
服薬記録では、朝昼夕・眠前といった与薬のタイミングごとに、実施者が分かる形で確認印やサインを入れてください。
数値に異常があったときは、その事実を個別ケース記録側にも一行残し、対応の経過をつなげます。
一覧で傾向を見て、文章で経緯を追う。
この二段構えにすると、どちらの様式も短く済むでしょう。
事故とヒヤリハットの報告書は、原因分析と再発防止のための様式です。
日々の記録とは目的が違うため、様式を分けて残す必要があります。
書くのは、発生日時と場所、発見時の状況、本人の状態、実施した対応、連絡した相手と時刻です。
そのうえで、なぜ起きたのかという要因と、施設として決めた再発防止策を記載します。
ヒヤリハットは事故に至らなかった出来事ですが、集めておくと事故の予兆が見えてきます。
「報告すると責められる」という空気があると、ヒヤリハットは集まりません。
報告した職員を責めない運用とセットにしてはじめて、様式が機能するようになります。
なお、市町村へ報告すべき事故の範囲は自治体ごとに定められているため、指定権者の要領を確かめてください。
ここまでの内容を、様式ごとに一覧で整理します。
自施設の運用と見比べて、抜けている様式がないか確認してみてください。
様式名 | 記載内容 | 主な記入者 | 保存期間の考え方 |
|---|---|---|---|
日誌 | ユニット全体の状況・申し送り | 勤務した職員 | 法令の列挙外。施設で年数を決める |
個別ケース記録 | 心身の状態・実施内容・本人の反応 | 担当した職員 | サービス提供の記録として保存対象 |
介護計画 | 目標・支援内容・評価 | 計画作成担当者 | 保存対象 |
バイタル表・服薬記録 | 数値と与薬の実施・確認者 | 測定・与薬した職員 | サービス提供の記録として保存対象 |
事故・ヒヤリハット報告書 | 発生状況・対応・再発防止策 | 発見者と管理者 | 保存対象 |
苦情の受付記録 | 内容・対応・結果 | 受け付けた職員 | 保存対象 |
保存対象となる記録の年数は、国の基準では「完結の日から2年間」とされています。
ただし市町村の条例で5年間と定める例があり、起算日の考え方も異なる場合があります。
具体的な年数と確認先は、第5章で改めて整理します。
様式を分ける目的は、同じ内容を二度書かないことにあります。
転記が減れば、書き方を変えなくても記録の総量は軽くなるからです。
見直すときは、次の順で棚卸ししてみてください。
1. 同じ事実が二つ以上の様式に登場していないか洗い出す
2. その事実の「正本」をどの様式に置くか決める
3. 他の様式では参照だけにするか、記入欄そのものを削る
たとえば食事量は、一覧表に数値を残し、個別ケース記録には変化があったときだけ書く運用にできます。
すべての様式に同じ濃さで書こうとすると、時間はいくらあっても足りません。
どこに正本を置くかを決めることが、様式設計のいちばん大事な部分だといえるでしょう。

ここからは、一般的な介護記録論ではあまり書かれない、グループホームならではの記録に入ります。
少人数のユニットで生活を支えるという性格上、残すべき内容が他のサービスとは少し違うためです。
介護計画との紐づけまで押さえると、「足りているか」の判断が自分でつくようになります。
グループホームの記録で軸になるのは、生活の様子と意欲の変化です。
支援の目的が、できないことの穴埋めではなく、その方の暮らしを続けることに置かれているからです。
たとえば洗濯物をたたむ場面。
「一緒にたたんだ」だけでは、支援としての意味が残りません。
「洗濯物を渡すと自分からたたみ始め、20分ほど手が動き続けた」と書けば、意欲が保たれている事実が残ります。
意欲の変化は、日ごとの差より一週間から一か月の幅で見ると分かりやすくなります。
「以前は自分から声をかけていたが、今週は誘っても断ることが増えた」
こうした比較の一文があると、体調の変化や環境の影響を疑うきっかけになるでしょう。
ユニット内の人間関係も、グループホームでは立派な記録の対象です。
少人数で生活を共にする以上、他の入居者との関係が本人の落ち着きに直結するからです。
書き残したいのは、席の位置、よく会話する相手、避けている相手、職員との相性などです。
「食卓でAさんの隣に座ると発語が増える」といった事実は、次の職員がそのまま使える情報になります。
家族や以前の暮らしとのつながり、いわゆるなじみの関係も同様です。
写真や馴染みの品を前にしたときの反応は、支援の手がかりとして残す価値があるでしょう。
人間関係を書くときは、評価ではなく観察に徹してください。
「相性が悪い」ではなく「同じテーブルでは食事が進まない」と書けば、対応の検討につながります。
日々の記録は、介護計画の目標と結びついてはじめて「足りている」といえます。
計画に沿った支援が実際に行われたことを示せるのが、記録だけだからです。
紐づけは、次の三段階で進めると無理がありません。
1. 介護計画の目標を、日々の記録で観察できる言葉に置き換える
2. その言葉を記録の項目名やチェック欄として様式に組み込む
3. 評価の時期に、記録を並べて目標の達成状況を判断する
たとえば「自分でできる家事を続ける」という目標なら、記録側は「本人が行った家事と所要時間」に置き換えます。
目標が抽象的なままだと、何を書けばよいか職員が判断できません。
計画を立てる段階で「この目標はどの記録で確認するのか」を決めておくと、現場の迷いが減ります。
モニタリングの時期に記録を読み返し、目標を見直す。
この往復ができている施設は、記録の量が多くなくても説明に困りません。
加算を算定している場合は、日々の記録とは別に、要件に対応した記録が必要になります。
加算は「実施したこと」を書面で示せてはじめて認められるためです。
たとえば看取り介護に関する加算では、本人や家族への説明と同意、多職種での話し合いの経過が求められます。
医療連携に関する加算では、看護職員の確保や医療機関との連携体制が分かる記録が必要です。
科学的介護の推進に関する加算では、所定の項目をデータとして提出した記録が根拠になります。
算定要件は加算ごとに定められ、報酬改定でも見直されます。
必ず、算定している加算の告示と留意事項通知、または指定権者の手引きで確かめてください。
「日々の記録に書いてあるから大丈夫」と考えるのは、おすすめできません。

ここからは、記録の法的な位置づけを整理します。
「どこまで書けば足りるのか」という問いに、最終的な線を引くのがこの章です。
根拠が分かれば、職員に統一ルールを示すときの後ろ盾にもなるでしょう。
グループホームの記録は、運営基準によって整備が義務づけられています。
根拠となるのは、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)です。
ここで求められているのは、次のような記録を整備し、一定期間保存することです。
介護計画:
認知症対応型共同生活介護計画そのもの。
提供したサービスの内容等の記録:
日々の支援の実施内容と本人の状態。
身体的拘束等の態様及び時間、その際の入居者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録:
身体的拘束等を行った場合の態様・時間・心身の状況・理由。
市町村への通知に係る記録:
不正な行為などに関する通知の記録。
苦情の内容等の記録:
受け付けた苦情と、その対応の経過。
事故の状況及び採った処置の記録:
事故発生時の状況と対応。
報告、評価、要望、助言等の記録:
運営推進会議などで得た報告・評価・要望・助言などの記録。
注目したいのは、この列挙に「文章の型」が一つも含まれていない点です。
求められているのは形式ではなく、事実が残っていることだといえます。
裏を返せば、これらが残っていない記録は、どれだけ長く書いても足りていないことになります。
保存期間は、国の基準では「その完結の日から2年間」とされています。
ただし、この年数をそのまま使えるとは限りません。
地方分権に関する法改正により、運営基準は市町村の条例で定める事項になりました。
その結果、条例で5年間の保存を求める自治体が数多く生まれています。
起算日の考え方が変わる例もあり、「サービスを提供した日から5年間」と定めている自治体もあります。
つまり年数と起算日の両方を、指定を受けている市町村の条例で確かめる必要があるのです。
「完結の日」とは、一般にそのサービスの一連の提供が終わった日を指します。
退居や契約終了をどの時点と見るかも、あわせて確認しておくと安心です。
迷ったら長いほうにそろえておく。
実務上は、それがいちばん安全な選択になります。
保存期間と保管方法の詳しい整理は、介護記録の保存期間と保管方法もあわせてご覧ください。
運営指導では、記録が「基準を満たして運営している証拠」として確認されます。
提示を求められる書類は、おおむね三つに分けられます。
人員・設備に関するもの:
勤務表、資格証、研修の実施記録など。
サービス提供に関するもの:
介護計画、個別ケース記録、モニタリングの記録など。
- 運営に関するもの:
運営に関するもの:
契約書と重要事項説明書、苦情の記録、事故の記録、身体的拘束等に関する記録など。
事前に通知が届いたら、まず個別ケース記録と介護計画のつながりを点検してください。
計画に書かれた支援が記録に見当たらない、という食い違いが最も指摘を受けやすい部分です。
確認項目や様式は自治体によって異なるため、通知に同封される一覧に沿って準備しましょう。
普段の記録がそろっていれば、指導のための特別な書類を作る必要はありません。
事故が起きたときは、時系列で事実を残すことが最優先になります。
家族への説明も行政への報告も、時系列の記録がなければ組み立てられないからです。
残す項目は次のとおりです。
1. 発見した時刻と、発見時の本人の状態
2. その直前に把握していた状況(最後に確認した時刻を含む)
3. 実施した対応と、対応した職員名
4. 医療機関の受診や救急要請の有無と時刻
5. 家族・管理者・市町村へ連絡した時刻と伝えた内容
推測は書かず、見た事実と行った対応だけを並べてください。
原因の分析は、事故報告書のなかで別項目として整理します。
「転倒したと思われる」ではなく「居室内で床に座り込んでいるところを発見」と書く。
この違いが、後の説明の質を大きく変えます。
なお、市町村へ報告すべき事故の範囲と様式は、自治体ごとに定められています。
書き間違えたときは、消さずに訂正の履歴を残します。
記録は事後に改ざんされていないことが前提の文書だからです。
紙の記録では、修正液や塗りつぶし、書き直しは使いません。
誤った箇所に二重線を引き、正しい内容を書き添えたうえで、訂正した日付と訂正者名を残してください。
電子記録の場合は、修正履歴が自動的に保持される仕組みかどうかを確認しておくことが大切です。
上書きされて前の内容が消える仕様では、訂正の経緯を説明できません。
後から思い出して追記する場合も、追記であることと記入日を明記します。
小さな作法に見えますが、事故や開示請求の場面ではこの積み重ねが施設の信頼を支えます。

最後に、記録にかかる時間そのものを短くする手順を整理します。
書き方が整っても、量が多いままでは勤務時間内に終わりません。
削るのではなく、重複と手戻りを減らすという発想で進めていきましょう。
見直しの第一歩は、記録を目的別に仕分けることです。
一律に簡素化すると、法令や加算の根拠になる記録まで削ってしまう恐れがあるからです。
仕分けの軸は二つあります。
残さなければならない記録:
運営基準や加算の要件、事故対応の根拠になるもの。削れません。
申し送りのための記録:
次の勤務者へ伝えるための情報。伝わり方を変えれば形を変えられます。
前者は削らず、後者は口頭やホワイトボード、共有システムへ移す余地があります。
現在の記録を1週間分ならべて、この二つに色分けしてみてください。
「なんとなく続けてきた欄」が想像以上に多いことに気づくはずです。
その欄が誰の役に立っているかを確かめてから、やめる判断をしましょう。
仕分けができたら、次は書き方そのものを軽くします。
毎回ゼロから文章を考える時間が、記録作業の大部分を占めているからです。
有効なのは、定型文とチェック方式の組み合わせです。
食事・入浴・排泄のように毎日同じ項目を書く場面は、チェック欄と数値欄にしてしまいます。
そのうえで、いつもと違うことがあったときだけ文章を足す運用にすると、書く量が大きく減ります。
夜間巡視のように文章が要る場面には、「時刻・事実・反応」の型を定型文として用意しておきましょう。
定型文は、施設内で作って共有することに意味があります。
言葉がそろうと、読む側の理解も早くなるからです。
手を動かす時間を減らす方法として、音声入力と記録アプリの活用があります。
介助の直後にその場で残せると、思い出して書く時間がなくなるためです。
音声入力は、移動しながらでも記録できる点が現場と相性の良い方法です。
記録アプリを使うと、バイタルや食事量が自動で一覧に反映され、転記そのものが不要になります。
介護計画の目標を記録画面に表示できる仕組みであれば、第4章で触れた紐づけも自然に行えるでしょう。
私たちが提供しているCareViewerも、こうした現場の負担を減らすために作られた介護記録ソフトです。
導入を検討する際は、今の様式をそのまま再現できるか、そして職員が迷わず操作できるかを確認してください。
道具を入れても運用が変わらなければ、記録の時間は減りません。
手書きからの移行は、段階を踏むと現場が混乱しません。
一度に全部を切り替えると、慣れない操作と紙の運用が二重に走ってしまうからです。
進め方は次の4段階が目安になります。
1. バイタルや食事量など、入力項目が決まっている記録から電子化する
2. 個別ケース記録を移し、紙との併用期間を1か月程度に区切る
3. 介護計画とモニタリングを連動させる
4. 日誌と申し送りを移し、紙の運用を終了する
費用は、初期費用と月額利用料に分かれるのが一般的です。
利用者数や端末の台数で変わるため、複数社に同じ条件で見積もりを依頼すると比較しやすくなります。
介護分野のICT導入には、都道府県が実施する補助制度が設けられている場合があります。
公募の時期や補助率、対象となる機器は年度ごとに変わるため、必ず自治体の最新の公募要領を確認してください。
グループホームの運営全般については、グループホームの運営でも取り上げています。

最後に、現場からよく寄せられる質問をまとめます。
本文で触れきれなかった細かい疑問に、実務の視点でお答えします。
### 何を書けば「足りている」と言えますか?
日々の記録の最低ラインは、次の内容が残っていることだと考えてください。
介護計画の目標に対する実施内容と本人の反応、心身の状態の変化、事故やヒヤリハット、家族や医療機関とのやり取り、そして苦情への対応です。
身体的拘束等を行った場合や、運営推進会議などで報告・評価・要望・助言を受けた場合は、その記録も必要になります。
これらがそろっていれば、分量が少なくても説明はできます。
逆に、どれか一つでも欠けていると、長文であっても足りない記録になってしまいます。
加算を算定している場合は、その要件に対応する記録が別途必要になる点にも注意してください。
どちらでも差し支えありません。
運営基準では、記録を電磁的な方法で作成し、保存することが認められています。
ただし電子で保存する場合は、改ざんされていないことを示せる仕組みが必要です。
修正履歴が残るか、誰が入力したかが分かるか、この二点を確認しておきましょう。
バックアップの方法と、システム障害時の代替手段も決めておくと安心できます。
なお、自治体によって運用上の確認事項が示されている場合があるため、指定権者の手引きもあわせてご覧ください。
日々の記録について、全国共通の指定様式は定められていません。
そのため、次のような入手先から自施設に合うものを選ぶことになります。
指定権者のホームページ:
自治体が様式例や記載例を公開している場合があります。
事業者団体や介護関係の協会:
会員向けに様式集を配布していることがあります。
介護ソフト会社の配布資料:
テンプレートや記載例を無料で公開している例があります。
大切なのは、入手した様式をそのまま使うのではなく、自施設の介護計画とつながる形に整えることです。
様式は借りられても、書く基準は自分たちで決める必要があります。
優先すべきは、後から再現できない情報です。
具体的には、事故やヒヤリハット、いつもと違う心身の変化、家族や医療機関とのやり取りの三つになります。
これらはその日のうちに書かなければ、事実が失われてしまいます。
一方、日常的な介助の実施記録は、チェック方式であれば短時間で残せます。
どうしても間に合わないときは、時刻と事実だけを先にメモし、詳細は勤務時間内に補ってください。
記憶に頼って翌日以降にまとめて書くことは、内容の正確さを損なうため避けましょう。
まず、施設として定めた開示の手続きに沿って対応します。
個人情報の取り扱いに関する法令では、本人からの開示請求に応じることが原則とされています。
ご家族から求められた場合は、本人の同意や代理権の確認が必要になることがあります。
判断に迷う場面もあるため、重要事項説明書や個人情報の取扱いに関する書面で、あらかじめ手続きを定めておくことが大切です。
そして何より、日頃から開示されても困らない記録を書いておくこと。
これが、いちばん確実な備えになります。
書く内容は変わりませんが、書く場所と手間は大きく変わります。
必要な事実が残っていることという原則は、紙でも電子でも同じだからです。
変わるのは、転記がなくなること、数値が自動で集計されること、そして誰が入力したかが自動で残ることです。
一方で、選択肢を選ぶだけの記録に偏ると、本人の様子が薄くなる傾向もあります。
チェックで済ませる項目と、文章で残す項目を最初に決めておきましょう。
道具が変わっても、何を残すかを決めるのは職員自身です。

今回は、グループホームの介護記録テンプレートを整える方に向けて、
場面別にそのまま使える記録の例文
- 記録様式・テンプレートの使い分け
記録様式・テンプレートの使い分け
介護計画と結びつける記録の書き方
記録の法的根拠と保存期間、運営指導での扱い
- 記録にかかる時間を短くする手順
記録にかかる時間を短くする手順
上記について、介護現場のICT化に長く携わってきた筆者の視点を交えながらお話してきました。
記録が終わらない本当の原因は、書く速さではありません。
何をどこまで書けば足りるのかという基準が、施設内で共有されていないことにあるのです。
基準が定まれば、書く量を増やさないまま、指摘されない記録へ近づいていきます。
削ってよい記録と削ってはいけない記録の線引きが、職員全員の共通言語になるはずです。
まずは次の勤務で、夜間巡視の1行を「時刻・事実・反応」の順に書き替えてみてはいかがでしょうか。
その小さな一歩が、ご利用者様と向き合う時間を取り戻すきっかけになります。

CareViewerは「介護現場の紙をなくすため」に
つくられた地域密着型サービス特化の介護記録
アプリです。
介護事業所運営企業が現場での使いやすさ
にこだわり開発。だれでもかんたんに使えます。
記録
・紙の介護記録をデジタル化
・かんたんテンプレ・音声入力
計画
・計画と記録の連携
・帳票作成の負担が少ない
コミュニケーション
・チャットツール連携
・関係者との連携を円滑に
AI
・健康予測AIでリスク検知
・【時短】AI個別介護計画書

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CareViewerは「介護現場の紙をなくすため」につくられた地域密着型サービス特化の介護記録アプリです。
介護事業所運営企業が現場での使いやすさにこだわり開発。だれでもかんたんに使えます。

この記事を書いた人

中元 秀昭
当社は、介護保険制度が開始された当初より、北海道札幌近郊エリアで地域密着型サービスを主軸とした介護施設の運営に携わってまいりました。
その経験の中で生まれた「介護現場から紙をなくしたい」という強い思いから、AI・介護記録ソフト「CareViewer」を自社開発いたしました。
「CareViewer」は、現場の視点を何よりも大切にし、ITに不慣れな方や外国籍のスタッフでも直感的に使える、分かりやすさにこだわって開発されています。
さらに、障害福祉分野にも事業を拡大し、障害福祉サービス事業所を開設するとともに、同サービスに対応したAI障がい福祉記録ソフト「CareViewer challenge」も開発・提供しております。


CareViewerは「介護現場の紙をなくすため」につくられた地域密着型サービス特化の介護記録アプリです。
介護事業所運営企業が現場での使いやすさにこだわり開発。だれでもかんたんに使えます。

この記事を書いた人

中元 秀昭
当社は、介護保険制度が開始された当初より、北海道札幌近郊エリアで地域密着型サービスを主軸とした介護施設の運営に携わってまいりました。
その経験の中で生まれた「介護現場から紙をなくしたい」という強い思いから、AI・介護記録ソフト「CareViewer」を自社開発いたしました。
「CareViewer」は、現場の視点を何よりも大切にし、ITに不慣れな方や外国籍のスタッフでも直感的に使える、分かりやすさにこだわって開発されています。
さらに、障害福祉分野にも事業を拡大し、障害福祉サービス事業所を開設するとともに、同サービスに対応したAI障がい福祉記録ソフト「CareViewer challenge」も開発・提供しております。


CareViewerは「介護現場の紙をなくすため」につくられた地域密着型サービス特化の介護記録アプリです。
介護事業所運営企業が現場での使いやすさにこだわり開発。だれでもかんたんに使えます。

この記事を書いた人

中元 秀昭
当社は、介護保険制度が開始された当初より、北海道札幌近郊エリアで地域密着型サービスを主軸とした介護施設の運営に携わってまいりました。
その経験の中で生まれた「介護現場から紙をなくしたい」という強い思いから、AI・介護記録ソフト「CareViewer」を自社開発いたしました。
「CareViewer」は、現場の視点を何よりも大切にし、ITに不慣れな方や外国籍のスタッフでも直感的に使える、分かりやすさにこだわって開発されています。
さらに、障害福祉分野にも事業を拡大し、障害福祉サービス事業所を開設するとともに、同サービスに対応したAI障がい福祉記録ソフト「CareViewer challenge」も開発・提供しております。